食品工場で働いている人にとって気になるのが「自分たちの年収が低いのではないか」ということではないでしょうか。

そこで今回は、食品工場で働く人の平均年収を紹介しながら、それが果たして高いのか低いのか、また今よりも給料を上げるための方法について解説します。

食品工場の平均年収はアルバイトなら200万円以下で低い!

食品工場の平均年収は、その雇用形態によって大きく異なります。

そこでここでは、アルバイトと正社員の平均年収を比較しながら、食品工場でアルバイトとして働く人の年収について紹介します。

食品工場正社員の平均年収は394万円!それでも製造業の平均年収よりは低い

求人媒体求人ボックスの調査によると、食品工場正社員の平均年収は394万円となっています。

独身であれば十分生活するのは可能な年収ですが、この年収で結婚して家庭を持つことを考えると、決して高い年収とは言えないでしょう。(参考:「求人ボックス 食品工場の仕事の年収・時給・給料」)

394万円という年収は高すぎず、低すぎず、割と中庸な印象を受けますが、食品工場を含む製造業全般と比較した場合はどうでしょうか。

農林水産省の調べによると、平成30年の製造業全般の平均年収は440万円となっています。(参考:農林水産省職業産業局「食品製造業における 働き方の現状と課題について」)

先ほどの食品工場正社員の平均年収と比較すると46万円ほど食品工場正社員の方が年収が低いことがわかります。製造業全般の中から見ても食品工場正社員の給料が低い傾向にあり、さらに給料を上げたいと考えている人も多いでしょう。

食品工場アルバイトの平均年収は183万円!賞与もなく低い年収に不満を持つ人も

同じ食品工場勤務でも、正社員とアルバイトでは平均年収が大きく異なります。

求人媒体求人ボックスの調査によると、食品工場アルバイトの平均時給は955円となっています。地方の求人の場合は最低賃金が800円台のところも多いため、都心部より低い時給で働いている人も多いでしょう。(参考:「求人ボックス 食品工場の仕事の年収・時給・給料」)

仮に平均時給の955円で月に20日間、8時間勤務した場合の平均年収は、約183万円です。

食品工場正社員と比べると、アルバイトの平均年収は211万円も低く、半分以下の計算になります。この原因は賞与の有無が大きいと思われますが、そもそも労働内容にしては時給が低く、正社員との差がつきやすいとも考えられるでしょう。

年収183万円では、一人暮らしの場合貯金するのも難しいほど低い年収であり、将来的にもアルバイトでは退職金の支給がない場合がほとんですから、正社員との差がどんどん開いていくでしょう。

食品工場の年収が低いのは事実!年収を上げるための方法を徹底解説

食品工場のアルバイトは、確かに年収が低く、将来的な不安が募るばかりです。

そこでここでは、今現在食品工場で働いている人が年収を上げるための方法について解説します。

転職しない場合:正社員登用を目指して役職手当で年収大幅アップを狙う

今働いている食品工場から転職したくない理由があるが、年収はどうしても上げたいという人の場合、アルバイトという非正規雇用枠を脱する必要があります。

食品工場の中には、数は少ないもののアルバイトから正社員に登用する制度がある工場もあります。正社員に登用されれば、ケースとしては稀ですが、役職に就くチャンスが与えられるのです。

正社員になった時点で賞与という年収を大きく伸ばす武器を手にいれることができます。さらに役職に就けば、「役職手当」という名目で月に数万円の収入を得ることができるでしょう。

ただ、気をつけたいのは「自分が働いている工場に正社員登用制度があるか」ということです。

そもそも登用制度は企業の義務ではなく、企業の自由で敷かれる制度であるため、どの食品工場にもある制度ではありません。もっとも安心できるのは、「求人票などに過去の正社員登用実績が記載されていること」です。

求人に「昨年度の正社員登用実績2名」など、具体的な実績が記載されている企業は、積極的にアルバイトを正社員に引き上げようとする姿勢があり、実際に正社員になっている人がいるということです。

正社員登用の方法については企業によって違いがあります。

多くの正社員場合、1年程度働き方を観察して、「この人なら正社員にしたら今より活躍できる」と思える若い世代を正社員枠にスカウトすることがあります。

また別の企業では、数年間働いて工場に貢献してくれているアルバイトを対象に正社員登用試験を実施し、上位数名のみを正社員に引き上げるというやり方で正社員登用を行なっているのです。

まずはあなたが働いている食品工場に正社員登用制度があるかを調べ、さらにある程度関係性が築けている社員に対して「正社員登用制度があると聞いたのですが、どのような手順で採用が決まるかご教示いただけますか」と伺ってみると良いでしょう。

転職しない場合:必須資格を取得して部署異動を実現する

食品工場では、主にアルバイトが行なっているライン作業の他にもたくさんの業務があります。

ライン作業が行われている製造部は給料の水準が低く、年収が低い傾向にあります。それでも転職はせずに今の食品工場で働きたい場合、部署異動の願いを出して給料の高い部署に異動するという方法があります。

アルバイトの場合はこのような異動願が受理されることはほぼないのですが、可能性としてはゼロではありません。正社員同様の仕事内容をこなし、社員からも信頼の厚いアルバイトであれば、就業規則でしっかり禁止されていなければ、部署異動できる可能性もあります。

例えば生産管理部門に異動できれば、管理部門の高い給料水準で働くことができます。

製造部よりも管理部門の方が給料が高く、さらに仕事内容も立ちっぱなしで同じ作業を繰り返すようなことはありません。

ただ、生産管理部門に異動するとなると、特定の資格を保有していることが条件として定められていることがあります。

生産管理の基本を勉強し、ビジネス・キャリア検定の基礎知識レベルを問われる「BASIC級 生産管理」の2級・1級など、必要な資格の中でも上位級を取得しておけば、異動して年収を上げるチャンスも拡大するでしょう。

転職する場合:食品工場から転職しやすい異業種転職を目指す

食品工場の年収の低さに嫌気がさし、そもそも同じ食品工場という場所で働きたくないという場合は、異業種転職を目指すという選択肢があります。

しかし食品工場に勤めて長い方や、食品工場でしか働いたことがない方は、「自分が働ける業界があるのか」と不安になるでしょう。そこでここでは、食品工場から転職しやすい仕事について紹介します。

多様な仕事内容でやりがいアップ!スーパーの販売職

同じ「食品」を取り扱いながらも、さまざまな業務を担当できる「スーパーの販売職」は、実際に元食品工場勤務のアルバイトの方が転職しやすい仕事の1つです。

ライン作業を淡々と行うしかない食品工場での仕事に比べて、スーパーの販売職の仕事は

  • 食品の加工(野菜のカットなど)
  • 商品の陳列
  • 商品の発注

など、複数の仕事が割り振られるため、単純作業だけではなく、食品工場勤務の時よりもやりがいを感じられるようになったという声が多いようです。

年収は勤務先によっても幅がありますが、300万円前後になる場合も多く、食品工場よりも少し年収を上げることが可能です。

食品を取り扱っていたという共通事項があるため、転職活動時の応募書類も作成しやすく、面接時にも自己PRしやすいというメリットもあります。

ただ、全国展開・複数エリア展開しているような大型スーパーの場合は、正社員だと転勤が頻繁に発生する可能性があります。色々な地域に住んでみたい方や、1箇所の勤務先に長く勤めるのが苦手な方には、むしろ向いている仕事だと言えるでしょう。

立ち仕事に疲れた方におすすめ!コールセンタースタッフ

食品工場では勤務時間のほとんどを立って過ごすことになり、それが原因で足腰を傷めてしまい、年収も低いし疲れるから辞めたいと思っている方にオススメなのが、コールセンタースタッフという仕事です。

コールセンターでは業務時間のほとんどを座って過ごすことができます。

また、受電メインのコールセンターの場合、マニュアルが完備されていて、異業種転職希望者を受け入れやすい環境が整っており、食品工場勤務からでも転職しやすいというメリットもあります。

年収は300万円前後ですが、架電メインの営業コールの場合、受注した契約数や取り付けられたアポ数によってインセンティブが発生します。

インセンティブによっては年収400万円を超えることも可能であるため、元々人と話すのが苦ではない方や、年収を上げたいという意気込みの強い方にはオススメの仕事です。

人間関係に疲れた人に!エリア限定ドライバー

食品工場のアルバイトは、正社員からきつく叱られたりすることもあり、縦の人間関係が厳しいこともよくあります。

年収を上げたいし、どうせ転職するなら人間関係に悩まなくていい仕事にしたいという人にオススメなのが、エリア限定ドライバーの仕事です。

宅配便などのドライバーは、ドライバーごとに担当のエリアを振り分けられます。そのエリア内に配達依頼が来た荷物を中央センターで回収し、それぞれの個人宅や企業に届けるという仕事です。

そのため、誰かと長時間関わるということがなく、ほとんどの時間を車内で1人、誰の干渉も受けずに過ごすことができます。

「ルートドライバー」とも呼ばれており、求人広告などでは月収24万円程度のものもよくヒットするため、年収ベースでは賞与も含めると350万円程度を得ることも可能です。

人との関わりは最低限であることや、「未経験歓迎」の求人が多いため、運転免許があって今すぐ食品工場から転職したい方にオススメの仕事です。

まとめ:食品工場アルバイトの年収は確かに低い!正社員登用・部署異動・転職のいずれかで年収アップを狙おう

食品工場勤務で、しかもアルバイトの場合、年収は200万円を下回ることが多いでしょう。

この年収では、一人暮らしして独立することは非常に厳しく、貯金する余裕などない人が多いと考えられます。

年収を上げるために今からできることは、今の勤務先で正社員になるか、給与水準の高い多部署に異動するか、異業種に正社員として転職することの3つが考えられます。

正社員登用後は昇進すれば一気に年収アップを狙えますが、登用の枠はどこの会社も広くはないため、目立った働きぶりがないと困難でしょう。

部署異動を実現するためには、難易度の高い資格を取得する必要がある場合が多く、時間と労力がかかります。

異業種転職であれば、この記事で紹介してきた3つの仕事を狙えば、正社員として今から転職できる可能性はあります。

「初めての転職活動で心配…」という方は、転職エージェントなどの無料サービスを利用して、プロの指南を受けながら、効率的に転職活動を進めることをオススメします。