コミュニケーションが苦手な人に人気の食品工場の仕事ですが、実は実際に働いてみるときついと思うポイントがいくつもあります。

特にバイトではなく正社員で食品工場に勤めている人は、正社員にしかない責任や重圧が重くのしかかるという辛さもあるでしょう。

そこで今回は、正社員として食品工場で働くことがきつい理由について、実際に働いている人の声を交えて解説します。

食品工場の正社員がきつい理由10選!バイトよりきついことがたくさん

パン、健康食品、缶詰など、食品工場では食品の加工からパック詰め、不良品検知といった多くの作業が人の手で行われていることがたくさんあります。

AIや機械の導入や増えているものの、まだまだ人の手が必要であるため、正社員には機械ではできないことをこなしていきます。

しかし、実はその作業や、工場内の環境など、きついことがたくさんあるのです。

そこでここでは、食品工場で正社員として働く人がきついと感じる10の理由を紹介します。

正社員なのに給料が低くてきつい

正社員で働いていたというAさんの事例を紹介します。

Aさんは高校を卒業後、バイトで食品会社で働き始めました。
バイトの時代は年収230万円ほどで、休みもある程度自由に申請することができ、気楽に働いていたそうです。

しかし、正社員の離職率が高く、バイトでの評判が良かったAさんに正社員登用の声がかかりました。

正社員になれば、待遇も大幅に良くなるだろうと思い、二つ返事で正社員になったAさんでしたが、正社員になった直後の給与明細を見て驚愕したそうです。
なんと年収ベースでは240万円計算で、バイトのときに比べてわずか10万円ほどしか変わらないことに落ち込み、「これはきつい…」と正社員に登用されたことを一瞬で後悔したそうです。

確かにアルバイトと正社員の間に給料の差がつきにくいという話は、食品工場界隈ではよくあることとされていますが、年収ベースで10万円しか変わらないのはAさんじゃなくてもきついでしょう。

スキルアップ?なにそれ?ずっと同じ仕事の繰り返しがきつい

食品工場の仕事は、正社員になってもそれほど違いがありません。管理職になれば別ですが、平社員の場合はアルバイトと同じような業務内容になります。

友達が一般企業の正社員になって、どんどん新しいスキルを身につけ、給料を上げていく様子を見ながらも、食品工場の場合は「スキルアップ」という概念がほぼありません。

機械のようにパック詰めをする作業の場合、ミスなく綺麗に詰めることが最大のスキルであり、行き着くところまで到達したら、もうあとはこなすだけです。

一日中ずっと同じ作業を繰り返すだけでもきついのに、それに加えてスキルアップに限界があるため、やりがいを持てずにげんなりしながら働く人も多いといいます。

長期間続けていく仕事にやりがいが持てないのは、人として辛く感じることも多いでしょう。

同僚がどんどんいなくなってきつい

食品工場で働いていたBさんの職場は、4人が同期入社でしたが、3年後にも残っていたのはAさんだけでした。

つまり、4人のうち3人が3年以内に離職してしまったということです。

理由は言わず、「一身上の都合」として退職した人もいたそうですが、そのうちの1人は「長く働ける仕事じゃないと思った」「給料が低すぎて、家庭を持つ将来が想像できない」という理由で辞めていったそうです。

Bさんはその退職理由を聞いたことと、同期が自分以外みんな辞めていくことに対してひどく焦りを感じ、このまま働き続けることに不安を覚えたと言います。

バイトの失敗を正社員だからといってかぶるのがきつい

正社員がバイトと違う点が、責任の重さです。

現場で何かトラブルが起きたり、バイトが何かミスをした場合、正社員がそこをカバーする必要があります。バイトはミスをしても、社員に報告して謝れば、決まった時間でバイトをあがることができます。

しかし正社員の場合は、そのミスの報告を受けたら、バイトのミスをカバーして、上長に報告し、必要があれば始末書のようなものを書かされるため、定時ではあがることができません。

同じような給料で、バイトのミスを丸ごとかぶった挙句、残業もしなければならないのが、正社員として非常にきついと思う瞬間だということです。

バイトの育成を実質無料で行うのがきつい

正社員の仕事として、重要だとされているのが、「アルバイトの育成」です。

会社としては、正社員よりも少し安く雇えるアルバイトを雇用したいと考えているものの、バイトはやはり軽い感覚で、比較的短期間で辞めていってしまいます。

会社はその都度バイトの教育をやり直す必要があり、この手間を正社員に丸投げしてしまうのです。

バイトの育成も簡単ではありません。若い学生から、日雇いで掛け持ちしている年配者も応募してくるため、自分よりも年上のバイトへの言葉遣いや、指導の仕方に気を遣います。

下手な言葉遣いをすれば、貴重な人材が辞めてしまう可能性もあるため、育成が大きなストレスになるのです。

バイトの育成をしても、何か特別な手当がつくわけでもなく、給料の範囲内で育成も任され、通常の仕事も普通にこなす必要があるため、きついと感じる人が多いようです。

バイト同士の人間関係を管理するのがきつい

バイトの教育係が社員に一任されることもきついのですが、実際に食品工場で働いていた正社員のAさんが「これはきつい」と思ったのが、バイト同士の人間関係の調整だそうです。

バイトには、老若男女さまざまな人が応募してくるのですが、特に女性のアルバイトの間でトラブルが発生しやすく、「御局様」のような古参のバイトが、新入りのアルバイトの中でも若い女性に目をつけて、ほんの小さなミスでも攻め立てるということが多発していました。

そのため、貴重なアルバイトが御局様のいじめのような攻撃に耐えられず、短期間で辞めてしまいうという事態を、正社員であるAさんが解決しなければならず、御局様とバイトの板挟みになる環境に強いストレスを感じていたそうです。

食品の匂いが体に染み付いてきつい

食品工場の中でも、海産物を扱う工場勤務だったCさんの体験では、甲殻類の匂いが服だけではなく、体に染み込んでいる感じがきつかったと言います。

パンやお菓子などの食品工場では、匂いが染み付いても特に嫌な感じはしないそうですが、魚の生臭い匂いが、体を洗っても洗っても取れた気がしないのです。

自分でも感じるくらいなので、家族からも指摘されることがあり、「自分が臭いと言われているようで、傷ついた」とCさんは振り返ります。

食事中にも生臭い匂いが付きまとい、生活全般にわたってのストレスになったそうです。

衛生管理が厳しすぎてきつい

食品工場はとにかく衛生的な面に配慮しており、社員にも手洗い・消毒が過度と言っていいほど義務付けられています。

コロナ禍ということもあり、特に消毒については敏感になっている工場も多く、社員の手は水分がなくガサガサ・パサパサしていて、季節によってはあかぎれもできるほど手荒れが厳しいそうです。

それだけ消毒したうえで、ゴム手袋をはめて作業に当たるため、「どうせ手袋するのに、こんなに辛くなるほど消毒しなければいけないのか?」と、自分が置かれている環境にストレスを感じる人が多いと言います。

消毒をし直すのが面倒かつ手荒れを防ぎたくて、トイレに行く回数を減らすために、水分補給を控える人もいるくらいなので、よほどストレスに感じる人が多いのでしょう。

腰・首・肩への負担がきつい

食品工場では、基本的にずっと同じ姿勢で、集中力を長時間キープする必要があるため、心身ともにきついのは想像しやすいでしょう。

特に正社員の場合、バイトと一緒に働いている手前失敗が許されないため、さらに集中して同じ姿勢をキープします。

この緊張感が心身に伝わり、仕事の最中はもちろん、勤務後の疲労感が半端なものではないという人が多いようです。

立ちっぱなしの人は、足腰への負担を感じ、一点を見つけ続ける仕事のため、目・首・肩への不安も大きくかかります。

翌日も同じ作業が繰り返されるため、疲労感が取れる感覚がなく、休日は一日中寝たまま終わるという人も多いそうです。

バイト等の管理業務があるから休みが取りづらくてきつい

バイトは希望日でシフトを入れられるため、休みもほぼ希望通りに取得できるというメリットがあります。

しかし正社員の場合はそうはいきません。

シフトの管理も任されている正社員は、バイトが休みの日に出勤して、さらにバイトが当日「病気で休みます」などの連絡を入れてくると、自分がオフでも急遽出勤しなければいけません。

バイトが希望を出したシフトに合わせるため、正社員は希望通りの日に休みを取りにくく、有休消化もできないまま蓄積されていくパターンが多いそうです。

そのため友達との予定も立てづらく、家族旅行にも行けず、プライベートが犠牲になる人が多いと言います。

まとめ:食品工場は確かにきついこともある!性格に合っていて、やりがいを見つけられれば最強

食品工場は、確かに作業中には余計な会話をする必要がないため、性格によっては働きやすい環境かもしれません。

しかし正社員になると途端に責任が重くなり、休みも取りにくいのに、給料はバイトとそれほど変わらないという辛さもあります。

長く勤めるためには、日々の業務の中で小さなやりがいを見つけて、正社員だけにつく退職金などを目標にモチベーションをキープする必要があるでしょう。