フリーターとして自由に働くのも悪くはないけど、もっと安定した収入を得るために正社員になりたいと考えている人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、フリーターの中でどれくらいの人がどんな理由で正社員を目指しているのか、またフリーターから正社員として中途採用してもらうためのコツについて解説します。

フリーターになる理由と正社員になりたい理由とは

フリーターとは、パートタイマー勤務やアルバイトとして働く人の総称です。

非正規雇用のため収入は不安定ではあるものの、勤務時間は比較的自由に選ぶことができるため、今尚多くの人がフリーターとして働いています。

ここでは、若者がフリーターになる理由と、フリーターとして働く人の中で正社員を目指す人の割合、そして正社員を目指す理由について紹介します。

若者がフリーターになるのは楽に働きたいか、まだなりたいものが見つからないから

マイナビの調査によると、フリーターになるきっかけのうち、15~24歳の若者がもっとも多く回答したのが「正社員で働くより楽だから」という理由でした。

この回答は25~34歳でも1位の回答であり、多くのフリーターが「正社員で働くのはきつそうだけど、フリーターなら働けるかも」と思った結果、パート・アルバイトという働き方を選択していると言えます。

15~24歳の若者が次に挙げた理由が「明確な職業を思い描けなかった」、その次点が「正社員として雇ってくれるところがなかった」というものでした。

この結果は、25~34歳でも同じ割合で挙がっています。

つまり、最終学歴となる学校を卒業する次点で、「楽に働きたいと思った人」「なりたいもの、やりたい仕事が見つからなかった人」「就活に失敗した人」がフリーターになっていると言えるでしょう。

特に新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた若者たちは、企業の新卒採用控えの波をもろに受けている人たちでもあります。

正社員として就職するために頑張ってきたのに、新卒採用枠が縮小した結果、どこからも内定をもらえないまま「とりあえず」フリーターとして働いた結果、今もフリーターの状況が続いてしまっている人が少なくありません。(参考:マイナビ「フリーターの意識・就労実態調査(2021年)」)

フリーターのうち74%が固定給を求めて正社員を目指している

なりたいものが見つからなくてフリーターになったという人が多いということは、「フリーターになりたい!」という強い動機があった人は少ないということになります。

つまり、何になりたいかわからなくてフリーターになったけど、フリーターであること自体に執着している人が少なく、モチベーションが常に低い状態の人が多いということです。

マイナビの同調査によると、回答者であるフリーターのうち、約50%が「次に雇用されるなら、アルバイトではなく正社員を希望する」と回答しています。

おそらく残りの50%は、俳優や芸人、ミュージシャンなど、夢があってアルバイトを続けている人は、アルバイトでないと夢を追えないため、フリーターであり続けないと困るという人や、実家暮らしで基本的な経済面は親に頼っていて、お小遣い稼ぎのためにアルバイトをしている人などでしょう。

また「次になるなら、アルバイトではなく正社員がいい」と答えた人の74%は、「固定給が欲しいから」という理由を挙げています。

上位3位の理由を見てみると、いずれも「安定した収入が欲しい」「福利厚生が整っている環境で働きたい」など、「安定を望む」という理由が大半を占めています。

フリーター人口のうち、半分が正社員を目指しているとなると、正社員の枠から考えても、高い競争率を勝ち進む必要があるでしょう。

フリーターから中途採用で正社員になる方法3選

フリーター生活を脱出して、安定した収入を得られる正社員になるためには、どのような方法が考えられるでしょうか。

ここでは、今フリーターとして働いている人が、近い将来正社員として中途採用してもらうための方法とコツについて3つ厳選してご紹介します。

アルバイトで1年以内に正社員登用がなければ転職を考える

今フリーターとして働いている人の中には、自分に合う仕事がなかなか見つからず、職場を転々としている人もいるでしょう。

確かに様々な仕事を経験するのは、自分に適合する業種・職種を見つけるためには有効な手段かもしれません。

しかも、フリーターから正社員になることを考えたときにも、「見込みがなかったら辞めて次を探す」ことがポイントになるようです。

労働政策研究・研修機構の調査によると、「フリーターとして働いた期間が長ければ長い人ほど、正社員登用される確率が下がる」という見解が出されています。(参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「大都市の若者の就業行動と意識の分化 - 「第4回 若者のワークスタイル調査」から-」)

この調査によると、5年以上長くフリーターを続けている人の中で、正社員登用される人の割合はたったの20%ということです。

反対に、1年ほどフリーターをしている人の約70%が正社員登用されているというデータもあります。

これはつまり、会社側がフリーターかた正社員に登用させるかどうかを決める際、「1年程度で資質(生産性・スキル・勤務態度など)を見極めている」と言えるでしょう。

フリーターの能力を見るには1年程度あれば十分で、1年経っても正社員登用の声がかからない、あるいは登用試験を受けても落ちるという場合、長く働いたとしても正社員になれない可能性が非常に高いということです。

5年以上フリーターを続けて正社員になった20%の人は、会社の欠員がちょうどいいタイミングで出たり、5年かけてスキルアップした結果が認められた人かもしれません。

効率的にフリーターから正社員になるためには、アルバイト先で1年経過したあたりで正社員登用の声がかかるかどうかが判断のポイントになります。

2年、3年同じアルバイトを続けても、一向にその気配がないのであれば、潔く次の職場を探した方がいいと言えるでしょう。

20代ならインターンから正社員を狙うのもあり

「転職限界年齢」という言葉があるように、フリーターから正社員になれる年齢についても、実は限界があります。

働政策研究・研修機構の調査によると、非正規雇用枠から正社員枠に移行した人の割合は、20代で全体の約58%でした。

ところが、30代後半になると約15%と、一気に正社員へ移行した割合が下がることがわかったのです。(参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状 ③-平成29年版「就業構造基本調査」」)

30代のフリーターが正社員になるのは狭き門であり、正社員を本格的に目指すなら、早いに越したことがないことがわかります。

あなたがまだ20代の場合、まずはインターンとして会社に入り、業務に対する知識を深め、スキルをある程度身につけたうえで中途採用枠に応募するという方法があります。

最近ではインターンからの就職支援を行う転職サービスもあり、会社側も「どんな人材かインターン時にわかっているから採用しやすい」というメリットもあるのです。

インターン制度を使えば、その間は給料も発生しますから、生活に困ることもありません。

また、正社員で転職できても「やっぱり自分には合わなかった」というミスマッチも起こりにくいため、20代のフリーターにおすすめの転職方法でもあります。

自分の強みを把握して中途採用枠に応募する

30代以降になると、インターンに応募できる年齢を超えており、より正社員として働ける可能性は低くなってきます。

この場合、何がネックになっていて、何を押し出していけばいいのかを明確にすることが正社員への近道です。

今のアルバイト先で正社員登用が難しい30代以上のフリーターの場合は、インターンではなく、他の正社員転職者に混じって中途採用枠に応募して転職するという方法がおすすめです。

企業側としては、前職で正社員として働いてきた人と、フリーターを比べて採用するため、正社員経験がないフリーターが基本的には不利になります。

他の応募者には、「正社員として勤務した実績」があり、ある程度の勤務態度やビジネススキルが身についていると保証される一方で、フリーターにはそれがないことがネックになります。

そこで意識したいのが「自分の中でこれだけは誰にも負けないと言えること」です。

アルバイトとして働いてきたこれまでのキャリアの中でも、他の人に比べて優れていると思えることがあるでしょう。

それは大きなことでなくとも構いません。

例えば業務の中でも信頼されていて、計算力が求められるレジ締めの業務を任されていたこと、誰よりも丁寧な仕事ぶりでお客様に指名されるようになったことなどでもいいのです。

フリーターだったからという理由で中途採用枠で不採用にならないためには、「雇用形態はアルバイトだったが、仕事はできた」という事実を採用側に伝えることが大切になります。

まずは自分のフリーター生活を振り返って、会社に誇れるスキル、特徴を書き起こしてまとめてみましょう。自分だけで見つからない場合は、バイト仲間にインタビューしてみるのも有効的です。

あなたが自分で見えていない、「実は正社員に値する得意分野」が見えてくるかもしれません。

まとめ:フリーターだった理由を答えられるよう準備して、年代に合った方法で正社員を目指そう

フリーターから正社員を目指すためには、アルバイトから正社員登用を狙う方法、インターンを経て応募する方法、ほかの正社員応募者に混じって中途採用枠に応募する方法が挙げられます。

正社員登用を目指す場合、アルバイトを長く続けすぎると登用される確率が下がるため、早めに「このバイトでは登用は無理」と判断することが重要になります。

インターンからの正社員を目指すなら、20代のうちに行動に移すのが何よりのコツです。

遅くなればなるほど正規雇用枠への以降が困難になるというデータがあるため、今20代のフリーターの人は、ぜひインターンからの正社員を狙ってみてください。

30代以上の人は、自分の強みを把握し、その上でその強みとマッチする企業の中途採用枠を狙っていきましょう。

強みがよくわからない、自分だけでは不安だという場合は、30代からの転職エージェントを利用するのもおすすめです。