正社員になりたいとは思いつつ、アルバイトよりも責任が重い、残業が多いなどの噂を聞いて悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、正社員になることのメリットとデメリットについて、給与以外の休日や仕事内容などの観点から解説します。

年収や福利厚生面で有利って本当?正社員のメリットを解説

まず正社員とは何かについて、改めて振り返っておきましょう。

正社員とは大まかにいうと期間を定めずに雇われている労働者」であり、正規雇用枠としての唯一の働き方が正社員です。

では、そのような正社員のメリットについて、給与以外の面からも解説していきましょう。

正社員のメリット1.年収がアルバイトよりも高い

同じ会社で働いているにも関わらず、正社員とアルバイトでは年収が大きく異なります。

これが正社員として働くことの大きなメリットであり、このメリットのために正社員を目指せいている人も多いでしょう。

アルバイトと正社員の年収差を生み出しているのが、「賞与」いわゆるボーナスです。

賞与については、正社員のみを支給対象としている企業が多く、その額は月給0.7ヶ月分、2ヶ月分、3ヶ月分と企業によって開きがあります。

そうは言っても、この賞与が年1~3回支給されることで、正社員の年収はアルバイトに大きな差をつけています。

厚生労働省の調査によると、2005年時点では非正社員と正社員の差は 1.7倍、また、所定外給与やボーナスなどの特別給与額を含めた年収全体で時給を比較すると、その差は 2倍以上であることが報告されています。

(参考:厚生労働省「働き方の変化と経済・国民生活への影響」)

つまり、正社員とアルバイトの賃金にはもともと1.7倍の違いがあり、さらにその差を大きくしているのがボーナスや期末手当など、正社員にしか支給されない報酬なのです。

月収ベースで考えると、企業によってはシフトがたくさん入っているアルバイトが正社員と同じくらい稼ぐこともありますが、賞与によって年収ベースが上がり、その結果正社員の方がアルバイトよりも賃金面では多くのメリットを受け取ることになるでしょう。

正社員のメリット2.退職金が出るという安心感

退職金は、労働基準法における取り決めがなく、企業にとって支払い義務はありません。

したがって、退職金制度がない企業では、正社員でもアルバイトでも、等しく退職金が支給されることはありません。

しかし、求人欄に「退職金制度あり」と書かれている場合は、ほぼ「正社員にのみ」退職金が支払われるでしょう。

金仕事内容が同じなら、正規雇用でも非正規雇用でも賃金に差をつけてはいけないという「同一労働同一賃」が2021年4月に施行されましたが、そもそもアルバイトよりも正社員の方が労働内容がきつかったり、仕事内容が同じではない場合、正社員の方がここでも優遇されているのが現実です。

退職金の金額は企業によって異なりますが、厚生労働省の調べによると、「大卒の管理・事務・技術職」の退職金平均額は以下の通りです。

  • 定年退職の場合:2,280万円
  • 会社都合の場合:2,125万円
  • 自己都合の場合:1,542万円

定年まで勤め上げた場合と、倒産や企業業績の悪化によるいわゆるリストラのケースを含む会社都合では、いずれも2,000万円を超えています。

育児・介護や自分自身の希望で転職するケースを含む自己都合でも、かなりの退職金を手にしているようです。

(参考:厚生労働省「退職給付(一時金・年金)の支給実態」)

もちろんこの数値は「平均額」ですから、飛び抜けた金額の退職金が平均値を釣り上げている可能性もあります。

それでも、これほどのお金が「正社員である」というだけで支給されるのは、大きすぎるメリットと言えるでしょう。

正社員のメリット3.収入が安定している

アルバイトだと月によって入れるシフトに差があり、その結果月収が月によって上下するという人も多いでしょう。

しかもアルバイトの場合は、企業が経営不振に縁いると、人員整理の対象としてあげられやすく、「うちも厳しいから、来月から来なくていいよ」などと整理解雇されやすいと言えるでしょう。

それに比べて、「正社員」は期限がなく雇用されるという前提条件があり、労働時間が月で定められています。

雇用期限がないということは、転職などの本人都合で退職したり、倒産など会社都合で解雇になったりする以外は、定年までずっと働く権利があることを指します。

そのため収入が安定していて、残業や出張手当などがつくことで、月によって上振れすることはあっても、下振れることはありません。

人員整理が必要になった場合でも、よほど業績が悪かったり、素行が悪かったりしなければ、アルバイトよりも先に解雇されることは少ないでしょう。

将来的に家庭を持ちたいと考えている人や、住宅ローンやカーローンを組みたいと考えている人にとっても収入が安定しているからこそローンも組みやすく、将来の選択肢の幅が広がるというメリットもあります。

正社員のメリット4.大きな仕事に挑戦させてもらえる

正社員はアルバイトよりも仕事の幅が広く、裁量が大きく取れるというメリットもあります。

アルバイトは社員に言われた仕事を行いますが、社員の場合は会社が目指すゴールに向かって、どのような仕事をしたら目標を達成できるのかを考え、PDCAサイクルを回すことができるのです。

社外との大きな取引や、会社の業績に直接的な影響を与えるような仕事もあり、「自分の仕事でここまでたくさんの人が動いている」と実感できるとき、やりがいを感じることができるでしょう。

さらに給料に関するメリットにも関連しますが、正社員の場合は役職があって、大きな仕事が成功すると昇進のチャンスに恵まれることもあります。

同期の中で昇進できるのは一握りではありますが、その分昇進した際には月収ベースが上がり、さらに大きな仕事を回すチャンスに恵まれるでしょう。

やりがいと給料が同時に求められるという意味でも、仕事の幅に広さは正社員にとって大きなメリットだと言えます。

仕事がきつい?辞めにくい?正社員のデメリット

正社員はアルバイトなどの非正規雇用に比べて、年収が高く、退職金が支給されることもあるなど、多くのメリットがあることについて解説してきました。

しかしその一方で、正社員になることで、「アルバイトの方が良かったかも」と思うようなこともあるでしょう。

ここでは、そのような正社員のデメリットについて解説します。

正社員のデメリット1.辞めにくい

アルバイトの場合、どのような人でもシフトが埋められるように、仕事内容がマニュアル的です。

そのため「自分が辞めても他のバイトを雇うだけ」と思い、辞めて次のバイトに移る人も多いでしょう。

しかし、正規雇用である正社員はこうはいきません。

アルバイトよりも臨機応変さが求められ、自分が休んだり抜けたりすると仕事が回らなくなることを考えると、そう簡単に辞められないという人も多いでしょう。

ただ、近年では転職することに対する世間のハードルが下がってきているようです。

令和2年の厚生労働省の調査によると、在籍する一般労働者に対する転職者割合は7.2%でした。

産業別に見ると、サービス業が11.1%と最多の転職者がいて、次いで宿泊業・飲食サービス業が10%、不動産業・物品賃貸業が9.9%となっています。

1000人程度の企業なら、70人近くが転職していると考えると、転職も決して珍しいものではなくなってきているのです。

そのため、辞めにくいと感じている正社員は年々少なくなってきており、正社員として様々な経験を積むチャンスでもあると考えられます。

正社員のデメリット2.転勤・異動がある

正社員の中でも、企業規模が大きく、全国に複数支社ある場合は転勤が発生する可能性があります。

住宅販売の営業や、銀行員なども転勤が多いことで有名で、2~5年程度で全国各地に転勤の辞令が出ることもあるようです。

住み慣れた地元を離れると、友人やパートナー、親とも離れて暮らすことになることや、居住地が変わること自体が大きなストレス源となるため、転勤を嫌がる正社員は多いでしょう。

しかし、どうしても今住んでいる土地から離れるのがイヤだという人は、「エリア正社員」として入社するか、雇用形態を変更してもらうことで転勤を回避することができます。

エリア正社員は、引っ越しが不要な範囲内での転勤しかないため、遠方への転勤がなくなります。

ただ、エリア制限のない正社員に比べると基本給が少し低くなる傾向があるため、住む場所と給料を天秤にかけて、自分にとってどちらの方が大切か見極めておく必要があるでしょう。

また、総合職の正社員の場合は転勤に加えて部署異動も発生する可能性があります。

企画部門だった人が、いきなり営業部に異動になったり、反対に営業畑で育ってきた人がいきなり人事部に異動になることもあるのです。

自分にとって向いていると思っていた仕事内容が突然変更になるため、ここで大きなデメリットを感じる人はたくさんいます。

部署異動がイヤな人は、総合職以外で転職するという方法もあります。

特定部署に最初から配属されて、マニュアル的な仕事が求められる一般職に転職すれば、部署異動のデメリットを回避しつつ、正社員として賞与や退職金といったメリットを受け取ることもで切るでしょう。

正社員のデメリット3.失敗したときの責任が重い

ここまで解説してきたように、総合職でバリバリ働く正社員の場合、仕事内容に工夫が求められ、また会社の業績に直接影響を与えるような大きな仕事を任されるため、常に非常に思い責任を背負っています。

この責任感が「やりがいがある」と捉える人もいれば、「大きなストレス」と捉える人もいるでしょう。

後者の場合は正社員でいることがデメリットのように感じる人も多いかもしれません。

もしも責任感に耐えられず、「このようなデメリットがあるくらいなら非正規雇用に変更してもらおう」と考えている人は、行動に移す前に、自分から部署異動を願い出るという方法もあります。

確かに正社員はアルバイト全般に比べて仕事内容に大きな責任があるのですが、部署によって背負う責任は異なります。

営業のように直接部門と呼ばれる職種は、ノルマがあったり、成果がでなければ評価が下がることもあります。

一方で事務のように間接部門と呼ばれる職種は、基本的にノルマがなく、成果を出すことよりも大きなミスをしないことが1つの目標となり、毎日の心理的ハードルの高さが直接部門と比べて低いという特徴があります。

もちろん事務職も大変な仕事ですが、ノルマや成果のように個人に対して求められる大きなハードルがないという点で、働きやすいと感じる人も多いでしょう。

直接部門の正社員のデメリットを感じたくないという人は、間接部門への部署異動を願い出てみることをおすすめします。

まとめ:正社員はメリットの方が多い!高年収・安定を求めてチャレンジしてみよう

正社員は非正規雇用よりも賞与や退職金を含めて、最終的に受け取るお金が多く、暮らしが豊かになると言えるでしょう。

さらに雇用期限もなく収入が安定し、自分の希望次第では大きな仕事にチャレンジして昇進し、さらに給料アップを狙うことも可能です。

デメリットとして挙げた転勤や責任感という側面も、同じ正社員という枠組みの中で雇用形態を少し変えてもらったり、部署異動を自ら申請することで回避することができます。

将来的に家庭を持ったり、自分の好きなことにお金を使って生きていきたいと考えている人は、安定も高年収も叶う正社員採用を目指してみることをおすすめします。