就活で他の人と差をつける逆質問とは?

就活の面接では、必ずといっていいほど面接官が、「何か質問はありませんか」という問いかけをします。この「逆質問」で面接官の印象に残るような良い質問ができたら、就活を有利に進めることができます。

では、いったい、どのようなことを尋ねればよいのでしょうか。

なぜ逆質問をさせるのか

なぜ逆質問をさせるのか

就職活動をしている就活生に、企業が逆質問させるのはなぜでしょうか。3つの理由が考えられます。

第1に、意欲をはかるためです。働く意欲の強い就活生は、十分な企業研究をしています。企業について調べれば調べるほど、より深く知りたいことが生まれるでしょう。就活生に「聞きたいことはありませんか」と尋ねるのは、「あなたは、この会社についてどれほど研究をしていますか」と言っているのと同じことなのです。

第2に、就職のミスマッチを防ぐためです。

厚生労働省の調査によると、大学の新卒者のうち、3割以上の人が就職後3年以内に会社を退職しています。コストをかけて採用した社員が早期に離職することは、会社にとっては痛手ですし、離職率が高いと今後の新卒採用にも悪い影響を及ぼします。

企業は、せっかく採用した社員が入社早々に退職しないよう、企業をよく理解したうえで納得して就職してほしいと願っています。そのため、企業は面接で質問を受けて、就活生の疑問や不安を解消しようと努めるのです。

第3に、会社の印象をよくするためです。就職は企業が求職者を選ぶというイメージが強いですが、就職活動を行う人も選ばれるだけではなく自分に合った企業を選ぶという側面もあります。

企業も選ばれる立場であることを意識して、就活生に親しみやすさや働きやすさを感じてもらえるように、逆質問の時間を設けているのです。

一方的に企業が求職者を品定めするのが面接ではありません。

就活生が、企業についての生きた情報を手に入れる場ともいえます。ですから、逆質問で聞きたいことがあれば、積極的に聞いておきましょう。

逆質問でチェックされているのは、ここ!

逆質問で採用担当者が見ているのは、どういう点でしょうか。

まずは、就活生の「意欲」「積極性」です。

就職に対する真剣さや、自社に入社したいという熱意の強弱が、どういう質問をするかによって調べられているのです。会社が行っている事業への理解と愛着があるか、逆質問で知ろうとしています。質問があるかと尋ねられたときに、目を輝かせて「これについて教えてください」と言えるのは、意欲や積極性があるからだと判断されます。

逆に、聞きたいことは特にないけど、仕方がないから質問しておくかと言わんばかりの姿で、質問をひねり出しているようでは、評価はマイナスです。

会社との「相性」も見られています。

企業には独自の社風がありますから、歴史ある企業と新興の企業では、求める人材のタイプは違ってくるでしょう。

逆質問によって、企業はその人が会社にマッチする人物かを確かめようとしているのです。社風は入社してはじめてわかる部分もありますが、OB・OG訪問やインターン体験などで知ったことがあったら活用しましょう。たとえば、「自分から仕事を見つけることが重要視される」会社であれば、自分の積極性を前面に出すことがよいのです。

そして、「コミュニケーション能力」もチェックされています。

会話はキャッチボールにたとえられることがありますが、企業は、就活生がどれだけうまくボールを受け取り、投げ返すことができるかを知りたいのです。逆質問への答えを聞いて、「そうですか。わかりました。ありがとうございます」で終わってはもったいないでしょう。

面接担当者の答えから「そうでしたら、私はこのような方向で考えればよろしいのでしょうか」など、「会話」につなげましょう。

会話に発展させることができれば、「コミュニケーション能力が高い人だ」と思ってくれます。会話までいかない場合でも、面接官が答えた内容に対して一言、「それは、こういうことなのですね」と、短く、自分なりのまとめや感想を述べるとよいでしょう。

もちろん、一介の就活生ですからあまり生意気な返答は嫌われますが、質問だけで終わらないようにしましょう。

どういうことに気をつけて質問すればいいのか

逆質問は面接で必ずされるものだと思って、きちんと準備して面接に臨みましょう。

複数の質問を準備しておくべきです。

逆質問までの面接でなされた会話の流れによって、逆質問の内容を変える必要があるからです。たとえば「今日は、これを聞く」と意気込んで準備していた質問でも、面接官が先に説明してしまった場合などは、その質問は聞かない方がよくなります。

そのようなときに、質問することがなくなって立ち往生しないために、できるだけ多様な質問を準備しておきましょう。最低でも3つは、考えておくべきです。

また、面接の相手によって、質問内容を変えましょう。就職のための面接は、複数回行われます。一般的に、最初の面接は、役職がそれほど高くない採用担当者が行います。

2次面接、3次面接と進むにつれて重要な役職に就く人が面接を行い、最終面接に至っては社長や役員が相手になることが多いのです。

最初の面接と社長相手の面接とでは、逆質問の内容はおのずと違ってきます。「一般的な社員の一日のスケジュール」などは、1次面接では聞くことができても、社長や役員に対する質問にはふさわしくありません。

社長面接では「御社の今後の展望」など、会社全体のことを聞くことができるでしょう。

最終面接では経営に携わる人の意見を直接聞けて、しかも、自分の存在を知ってもらえる絶好のチャンスですから、しっかりした質問をしてアピールしたいものです。

事業に関する理解をアピールしたいときの質問例

面接官をうならせる質問をするには、ホームページや会社案内をきちんと読んで理解し、疑問点をピックアップしましょう。

ホームページなどに記載されているのは、企業にとっては重要な事業です。その中から質問を見つけることができたら、企業の事業戦力についての理解が進んでいるわけですから、企業側がもつあなたに対するイメージはグンと良くなります。

たとえば、「御社の売上げの6割は、〇〇部門が占めていますが、今後、〇〇部門以外で力を入れようとされているのは、どのような部門ですか」「御社は今後はネット広告を積極的に行うとのことですが、どのような戦略を立てておられるのでしょうか」などの質問が考えられます。

企業秘密は答えてもらえませんから、「差し支えない範囲で教えていただけないでしょうか」などと付け加えるとよいでしょう。

また、質問する相手を見ておく必要もあります。たまたま特定の部門の関係者が面接官になっていたら、その部門に関して、深い内容の質問を投げかけると相手の印象に残りやすくなります。

たとえば、広報の関係者がいたら広告戦略について尋ねる、海外部門の関係者がいたら海外展開の戦略を聞く、というように臨機応変に質問を変えることができるとよいでしょう。

意欲をアピールしたいときの逆質問例

「やる気」をアピールしたいときは、質問の中に「活躍」という言葉をちりばめましょう。

「御社で活躍できるのは、どのような人物ですか」「活躍するために必要な資格や技能はありませんか」という具合です。そのように、「活躍」という言葉を使うことで、質問した就活生が「活躍」するイメージを抱かせることが期待できます。つまり、質問自体をポジティブな内容にするのがよいのです。

反対に「仕事をするうえでこれだけはしてはいけない、ということはありますか」「今後、気をつけるべきことは何ですか」「仕事で一番大変なことは何ですか」など、ややネガティブな内容を含んだ質問は、暗い印象を感じさせてしまいます。「仕事をするうえで一番うれしいことは何ですか」などのように明るい質問の方が、答える側も気分よく答えられます。

若者らしく、イキイキした元気さにあふれた質問をしましょう。

また、会社の事業と自分を関連づけた質問も、好ましい質問です。「御社では、海外展開をされるとのことですが、私のような者でも、いつかは海外に派遣していただくことは可能ですか」「御社は〇〇事業の利益が伸びているそうですが、私が専攻した有機化学の技術も活かせる局面はあるでしょうか」などの質問は、活躍したいという意欲を見せる質問といえるでしょう。

自分の長所をアピールするための逆質問例

自分の長所、特長は何でしょうか。まず、自分にそれを問いかけてみましょう。

「語学力」「プログラミング能力」あるいは「体力」「笑顔」など、これは他人には負けないだろうというポイントを探します。自分で探すことができなければ、自分の強みを発見するテストなどを受けて、その結果を見て考えてもかまいません。

逆質問は単なる質問ではなく、「自己アピール」の場だという意識をもっておきましょう。質問を通して、自分の能力なり経歴なりをわかってもらえるようにします。

自分の長所でその会社で活かせる点は何か、冷静に分析しましょう。それが、自分のアピールポイントです。自分のアピールポイントを見つけたら、そこを強調する質問を作りましょう。

たとえば、「語学力を活用したいのですが、使える場はあるでしょうか」などです。ただし、「私は、語学には絶対の自信をもっているのですが」など、あまりにもアピールの度が過ぎると自慢めいて聞こえてしまいます。自己アピールをする時間は別にあったはずですから、あくまでもさりげなく、自分の得意分野を伝えることが必要です。

一方、「体力」「笑顔」などは、どれだけアピールしても人を不愉快にはしませんから、この面では思い切り強調していいでしょう。「体力には自信がありますから、残業が多いときには会社に泊まりたいのですが、泊まってもいいのですか」などです。

さらに、面接官個人に向けて質問すると、親近感を持ってもらうことができます。面接官の名字に「様」をつけて、「田中様が新入社員のころ、心がけておられたことを教えていただけませんか」などのように質問するのです。

ただし、会社によっては、面接官が必要以上にフランクに話しかけて、就活生の様子を見るという面接を行うこともあります。砕けた雰囲気だからといって、気を抜いて友達のようなつもりで盛り上がってはいけません。「調子に乗りやすいヤツ」という烙印を押されてしまいます。

これは質問してはいけないこと

逆質問で印象の悪くなることがあります。以下に述べるような質問は、してはいけません。

第1に、調べればわかること。たとえば、「支社はどこにあるのですか」「御社の中心的な事業は何ですか」などの質問です。

会社のホームページなどを見ればすぐわかることを尋ねるのは、企業研究が不足していることを示しています。その企業に就職したいという熱意が不足しているのだと受け取られます。企業研究をきちんとしたうえで逆質問を考えてください。

業界全体に関する質問でも、経済関連の新聞や雑誌を読んでいれば知っているようなことを尋ねることは避けましょう。「新聞に御社の新しい工場の紹介が掲載されていたのですが、そこに配属されることはあるのでしょうか」など、調べたことを深く掘り下げるような質問なら歓迎されます。

第2に、面接官が答えられないこと。「あなたの失敗を教えてください」と尋ねられても、他の面接官がいる中で言いたくないこともあるでしょう。

また、「今後の海外における事業計画はどのようになっていますか」など、特定の範囲で企業の方針を尋ねても、面接官によっては答えられずに、恥をかかせてしまう可能性もあります。逆に、役員や社長レベルの面接であれば、地方の事情などを尋ねてもわからないでしょう。

第3に、面接官がすでに語ったこと。面接官が先に語ったことを、うっかり聞いてしまうと、面接官は「私の説明を聞いていないのか」と思うでしょう。もちろん、会社説明会で話されたような内容を繰り返して尋ねるのもいけません。

最後に「福利厚生や給与など、待遇面について」です。「有給休暇の消化率はどのくらいですか」「残業は多いのですか」などの質問です。気になることはわかりますが、就活の面接で尋ねるべきことではありません。

プライベート優先の姿勢が見えてしまい、仕事への熱意が低いと見られてしまいます。逆質問は、会社の事業に関連したことが最適です。

印象に残る逆質問をして面接を終えよう

面接での逆質問は、多くの場合、面接の最後になります。逆質問で面接が終了しますから、面接官の印象に残りやすいのです。

就活生が退室したあと、面接官どうしで「今の質問は鋭かったね」「答えはあれでよかったかな」などと話すこともあるくらいです。

就職活動を行う人は、逆質問の重要性を理解し、良い質問を準備しておきましょう。無理に高度な質問を考える必要はありませんが、逆質問された面接官は、自分の質問をどう判断するだろうかという視点をもつことは重要です。

どうしてもここで働きたいという意欲とやる気があれば、企業研究によって疑問に感じることが生まれるでしょう。それを質問すればよいのです。

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