誰かから聞いた話やインターネットの中で、「高卒は負け組」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。

よく考えてみたら大変失礼な言葉で、しかも負け組と決めつける根拠もよくわかりません。

そこで今回は、高卒は負け組と言われる根拠や、高卒でも仕事の中で未来を変えるために考えるべきことについて紹介します。

高卒は負け組と言われる原因は?根拠はあるの?

なぜかまことしやかに囁かれている「高卒は負け組」という言葉は、一体何を根拠に言われているのでしょうか?

そもそも根拠があるのか、それとも真実味のないただの噂なのか、ここでは高卒が負け組だと言われてしまう原因について解説します。

原因1.平均年収が大卒よりも低いから

高卒が負け組だと言われてしまうことの背景には、収入の面で大卒よりも不利になることがあるからだと考えられます。

実際、高卒と大卒の平均年収を比較してみたデータがあり、厚生労働省の調べによると、平均年収に約100万円ほどの差があることがわかっています。

高卒の平均年収が288万円と、300万円を下回っているのに対し、大卒の平均年収は高卒よりも100万円ほど高い399万円というデータがあるのです。(参考:厚生労働省「平成28年賃金構造基本統計調査」)

もちろん、この数値は平均値ですから、大卒よりも稼いでいる高卒の人もいれば、高卒よりも年収が低い大卒の人もいます。

しかし、「平均値」で比べた場合、高卒の方が年収が低いことは事実であり、この点を踏まえた人々が「高卒は大卒よりも年収が低い傾向にあるから負け組」と言っているのかもしれません。

原因2.学歴差別・学閥のある企業では出世しにくいから

高卒が負け組だと言われているもう1つの原因は、「出世しにくい」ことも考えられます。

大手企業であればあるほど、平社員から役職がつくまでの期間は長く、また役職をもらうための条件のようなものがあるのです。

その条件の中には、「学歴」や、もっとハイレベルな「学閥」というものがあります。

学歴の条件は、多くの場合大卒以上を指します。

大卒はもちろんですが、それ以上の大学院修士課程・博士課程を条件にしている企業もあります。

また、保守的な企業の中には、まだ学閥が存在するところもあります。

学閥とは、同じ学校出身者による派閥であり、東大出身者の「東大閥」や、慶應義塾大出身者の「慶應閥」などが有名です。

もちろん表沙汰にはしていないものの、大手企業ほど出世に学閥が影響するといいます。

東大出身で経営陣が固められているような企業の場合、高卒でいくら優秀な人材がいたとしても、「東大を出ていないから」という理由で出世できないことがある、ということです。

このような学閥のある企業では、そもそも高卒者を採用しない傾向もあるため、まずスタートラインに立てないという意味で、「高卒は負け組」のような噂につながっているとも考えられます。

原因3.大卒が大学時代に築くOBOG関係がなくコネができにくいから

社会人として給与を上げていくには、やはり欠かせないのが出世です。

役職について、給与テーブルを一気に引き上げてもらえば、月給はもちろん、ボーナスの額も驚くほど増えます。

だからこそ、多くの人が精神的・身体的な苦労を重ねながらも出世を目指すのです。

しかし、この出世を果たすには、先ほど解説したような学歴差別が存在するため、高卒者では限界があるのも事実です。

また、営業職などでかなり重要となる「人間関係のコネクション」も、高卒の方が大卒に比べて不利になると言われています。

大卒の場合、サークルなどで縦のつながりができ、そのつながりがそのまま社会人になっても生きてくるケースが多いのです。

例えば営業をかける先に大学のOBOGがいれば、それだけでアポイントメントを取りやすくなります。

共通の話題や、過去のつながりがあるため、営業のスタートもよく、もしもそのOBOGが取引の決裁者だった場合、かなり営業にとっては有利な展開を望めるでしょう。

高卒の場合、このように仕事に直接つながるようなコネクションをつくる機会が、大卒に比べて少なく、それが社会人としてよい成績をつくることに悪い影響を及ぼすと考えられます。

営業成績はインセンティブにもつながり、ひいては給与、出世にも響くものですから、この点も高卒が負け組だと言われる原因の一つと言えるでしょう。

高卒は負け組なんて言わせない!未来を変えるためにできること

平均年収が大卒よりも100万円ほど低いという事実に加え、学歴差別やコネクション形成の点からも不利になることが多いことはわかりましたが、中には大卒よりも稼ぎ、幸せな生活を送っている人もいます。

そこでここでは、高卒でも未来を変えるために今からできることについて、具体的に解説します。

「高卒だから」を理由にこれからを諦めない

高卒で今の仕事や給料に不満を持っている人は、どこかで「自分は高卒だから」と諦めていないでしょうか。

確かに高卒を理由に採用してもらえなかったり、実際に初任給が高卒と大卒では異なることから、「どうせこれからも大卒より低い給料なんだ」とネガティブになることもあるでしょう。

しかし、高卒でもFIRE(早期リタイア)を実現できるほど成功した人もいますし、大卒よりも高い給料で働いている人も少なくありません。

このような人は、そもそも学歴自体にあまりこだわっておらず、「自分が何をしたいのか」を判断軸にキャリアの行く先を決定している傾向があります。

「高卒だからこの仕事しかできない」「高卒だからこれくらいの給料しかもらえない」と、高卒を理由に仕事内容や給料について諦めてしまうこと自体が、負け組となる環境を作っているのかもしれません。

また、給料だけが「人生の勝ち負け」を決めるものではないと考える方法もあります。お金は確かにあった方が、人生の選択肢が増えることは言うまでもありません。

内閣府の調査によると、「世帯年収が高いほどの幸福度は高くなる」という結果も出ています。一方で、人が何を基準に幸福だと決めるのか、その基準でもっとも多くの人が選んだのは「自分の理想との比較」です。

つまり、理想が「高年収・高学歴」の人ほど、高卒で給料が低い自分について負け組だと判断し、不幸感を持ちやすいと考えられます。

逆に言えば、高卒で高いとは言えない年収でも、自分の理想が実現できていて、幸せだと感じるなら、その人は誰がなんと言おうと、負け組にはならないのです。(参考:内閣府「人々の幸福感と所得について」

負け組だと感じていて、これから年収を引き上げたい、もっと社会的地位をあげたいという人は、これから紹介する方法で年収を上げていくことが幸福感につながるでしょう。

しかし、「自分は年収を上げたいわけではない、負け組だと感じる自分が嫌なんだ」と言う人は、理想の自分とは何か、自分が本当にやりたいことは何かを見つめ直すことで、今の仕事のままでも「負け組」だとは感じにくくなるのではないでしょうか。

個人・実力を評価する企業に転職する

高卒が負け組だと感じてしまう人の多くは、実力よりも学歴を評価するような企業で働いている可能性があります。

初任給が高卒と大卒でかなりの差がつけられていたり、今の職場の役職についている人がもれなく大卒で、しかもMARCH以上の学歴などで固定されている場合、あなたがどれだけ努力しても、学歴を理由に評価してもらえないかもしれません。

このような企業の多くは、トップに絶対的な学歴観があり、採用はもちろんですが、昇進・昇給などでも高卒と大卒、大卒の中でも特定の大学を優先するような動きをする場合があります。

学歴を重視する企業で努力しても、評価されないことに落ち込み、自分は負け組なのかもしれないと思い込む原因になるかもしれません。

だからこそ、あなた個人の実力を評価する企業に転職するという方法で未来を変えることができるでしょう。

終身雇用制度が崩壊しつつある今、企業が欲しがるのは「即戦力」「年齢に関係なく業績に貢献できる人材」です。

例えば外資系企業やベンチャー企業では、学歴よりも前の会社でどんな業績を残したかを重視して採用する傾向があります。

あなたが今の企業で「これだけ会社に貢献したのに、学歴だけを理由に正当に評価されていない」と感じているなら、実力重視の企業への転職活動を始めてみることをお勧めします。

個人事業主として学歴の関係ない世界で活躍する

自分で自分を負け組だと感じるとき、他者と自分を比較していることが多いのではないでしょうか。

例えば、同期で入社した大卒の社員が、自分と同じような仕事ぶり、あるいは自分よりも明らかに仕事ぶりが劣るのに、自分よりも早く昇級していく様子を見たとき、「自分は高卒だから負け組なのかも」と感じる人が多いでしょう。

この状態が続くと、自分自身への評価が低くなってしまい、生きづらさやコンプレックスを抱えたまま、明るいとは言えない未来を歩む可能性が高くなります。

人と比べることで明るい未来が見えなくなるくらいなら、個人事業主になって、誰とも比較されない未来を作るという選択肢もあります。

プログラミングや営業代行など、自分の得意なことで独立し、最初はクラウドソーシングサイトで個人事業主としての実績を作り、ゆくゆくは直接企業から依頼を受けて軌道に乗せていけば、「同僚のいない自分だけの世界」で明るい未来を築いていけるかもしれません。

まとめ:給与面では確かに暗い一面もある高卒だが、これからの行動次第で未来を変えられる!

初任給や平均年収が大卒に比べて低いことは高卒の事実であることがわかりましたが、これはあくまでも社会人としてのスタートライン時点での事実です。

社会人生活を続けていく中で、あなたが実力を身につけ、学歴など忘れ去れるほどの実績を重ねていけば、実力ベースで昇級・昇給させる企業で負け組どころか大卒よりも稼ぐことができるでしょう。

大切なのは、「高卒だから」と言い訳をして、不満を抱える現状に甘んじないことです。

チャンスを狙って、コツコツと実力を磨くことで、高卒でも明るい未来に変えられる可能性は十分にあるでしょう。