不動産の仕事って?就活生が知っておくべき不動産業界の仕事内容

不動産業界を志望している就活生も多いのではないでしょうか。

しかし、一口に「不動産」といっても、業態によってかなり仕事内容が異なることに注意が必要です。内定を勝ち取るためには、十分な業界研究が必要となります。

この記事では、不動産業界の仕事内容を業態ごとに分けて紹介していくので、ぜひ参考にしてください。

「マンションデベロッパー・販売会社」の仕事内容とは

「マンションデベロッパー・販売会社」の仕事内容とは

不動産会社のなかでも、非常によく知られているのが「マンションデベロッパー」です。

「デベロッパー(developer)」とは開発業者のことを指しますが、分譲マンションの場合は、企画から販売まで一貫して行っていることが多いという特徴があります。

企画や設計などは外注することが多いものの、販売については自社で手掛けることが一般的です。

「総合デベロッパー」の場合は、販売に特化した「販売会社」を子会社として設置しているケースが多くみられます。いずれにせよ、マンションの分譲で非常に重要な役割を担うのが「販売」であり、そこで活躍するのが「営業職」です。

ここではマンション営業職の仕事内容をみていきましょう。

マンション営業職の1日のスタートは、9時や10時など、少し遅めの時間帯であることが一般的です。

勤務時間を後ろ倒しにすることで、顧客は帰宅後などでも営業担当者に連絡を取りやすくなるためです。休日も顧客の動きに合わせた体系になっていることが一般的で、平日休みであることがほとんどです。

一般的なサービス業と似たような勤務体系と考えておけばよいでしょう。営業の方法は、会社によってかなり異なります。1

0年ほど前までは電話営業で潜在的な見込み客を掘り起こすという手法が一般的でしたが、今は少数となっています。個人情報の保護や、自宅の固定電話が使われなくなってきたことが大きな理由です。そのため、現在では問い合わせに対する「反響営業」が主流となっています。

広告や雑誌、WEBなどを見た顧客は、メールや電話で問い合わせをしてきます。この問い合わせを成約まで結びつけるのが営業職の仕事です。

最初の大きな仕事は、モデルルームの案内という「アポイント」を取りつけるということです。モデルルームに足を運んでもらわないと、マンションを契約してもらえる可能性はほとんどないからです。

ただし、このあたりの流れは会社によって大きく異なるので注意が必要です。

どちらの場合にせよ、モデルルームでの案内が営業職の腕の見せどころです。もちろん、商品知識やトークの流れについては、しっかりと勉強しておく必要があります。

マンションに興味を持ってもらえたら、いよいよ商談で詳細を詰める段階に入ります。一般の販売職と違い、マンションは数千万円単位の商談であるため、セールスというよりはカウンセリングに近いスキルが求められます。

宅建士やFPなどを資格を取っておくと、商談に説得力を持たせることができるでしょう。

なお、成約したあとの契約業務については、営業職がそのまま担当する場合と、契約業務が専門の担当者になっている場合とがあります。

マンションの販売の営業職は、歩合制の給与体系になっていることがほとんどです。インセンティブの割合や、支給されるタイミングは会社によってかなり違うので、募集要項でしっかり確認しておく必要があります。

成果主義である以上、契約を取れなければ給料も上がらないので、その点については覚悟しておく必要があります。

しかし、頑張った分がそのまま給与に反映されるので、やる気のある人にとっては魅力的な給与体系であるといえます。

「総合デベロッパー」の仕事内容とは

「総合デベロッパー」の仕事内容とは

もっとも規模の大きい不動産会社が「総合デベロッパー」です。財閥系企業がほとんどで、代表的な企業は売上高は1兆円、総資産は5兆円を超える規模となっています。

総合デベロッパーでは、数百億円単位どころか、数千億円単位のプロジェクトも珍しくありません。特に「不動産開発事業」では、プロジェクトの規模が大きいものとなります。

都心の超高層ビル群の開発や、大型商業施設、リゾート施設の開発などが代表的です。街を丸ごと再開発するようなプロジェクトも行われます。

新卒で入社していきなりプロジェクトを任されることはありませんが、実績を積めば将来的に自分の手で街を作るようなことも夢ではありません。こういったスケールの大きさが、総合デベロッパーで働く醍醐味といえるでしょう。

仕事内容は、「企画」「事業」「営業」「運営」の大きく4つに分かれます。プロジェクトはまず「企画」の立ち上げから始まりますが、これは土地の取得とほとんど同じ意味です。土地がなくては何も始まらないからです。

そのため、企画内容も土地の状況に大きく影響を受けます。土地の入手方法はさまざまですが、土地に関する情報を普段から足を使って収集しておくことが必須となります。

金融機関や官公庁との情報交換も欠かせません。関係各所とのコミュケーションや人脈作りといったものが必要になるのです。就活生の多くが想像するような「定型」の仕事を超える発想が求められます。

次に「事業」と呼ばれる仕事に取り掛かります。具体的には、商品企画や事業推進などを行います。事業の収支や採算のシミュレーションは緻密さが求められ、曖昧な部分は許されません。

また、その土地をどういった空間にするのか、どういった人たちに楽しんでもらえるのか、といったコンセプトの立案も行うため、自由な想像力と緻密なマーケティング能力の双方が求められます。

事業の詳細が完成すると、いよいよ「営業」に入ります。リーシングの方針策定やテナントの誘致などを精力的に行うため、気力や体力も求められる場面です。完成後は、施設運営や管理などの「運営」というフェースに入ります。

長期間にわたって、子会社や関連会社などと協力して行うことになります。

このように、総合デベロッパーは、大胆さと緻密さの双方が求められる仕事です。一般的な事務作業のような、定型業務を繰り返すものではないため、就活生には少し想像しにくい部分があるかもしれません。

しかし、業界研究を深めていくにつれ、具体的な業務のイメージを掴むことができるようになっていきます。

「不動産仲介業者」の仕事内容とは

「不動産仲介業者」の仕事内容とは

主に中古住宅の売買を行うのが「不動産仲介業者」です。テレビCMなどで知名度の高い全国規模の大手企業から、地域密着型の企業まで、さまざまな規模の会社があります。

しかし、大手業者の知名度のわりには、不動産仲介の仕組み自体は一般にあまり知られていません。誤解されがちですが、不動産業者が直接売買を行うわけではないのです。

買主と売主を結びつけるのが不動産仲介業者の仕事で、その成約報酬が収入となっています。不動産仲介業者を志望する就活生は、この仲介の仕組みについてしっかりと理解しておく必要があります。

不動産仲介業の勤務体系は、マンション販売の営業職と似たものになっています。朝は9時や10時スタート、平日休みが一般的です。

ただし、法人営業が中心の場合は土日休みが基本です。マンション販売と大きく違うのは、一日の動きがかなり自由であることです。仲介業の業務範囲は非常に多岐にわたるため、営業マン単位で動きが違うためです。

物件を見てまわったり、法務局や市役所で調査をしたり、顧客宅に出向いて商談をするなど、会社の外を動きまわることが多いという特徴があります。社用車を用意している会社が多く、自動車運転免許を所持していたほうが有利といえます。

不動産仲介業者の仕事は、「売主」をみつけて売り物件を預かり、広告活動を行って「買主」を探すということです。

また、契約業務も担当の営業マンが行うため、宅建の資格は必須といえます。入社後に取得すれば大丈夫という会社がほとんどですが、就活生の時点で所持していればかなり有利といえます。

売主をみつける方法はさまざまですが、Webや広告を見た人からの問い合わせに応じることから始める方法が一般的です。

問い合わせの時点ですぐに売却を依頼されるケースはほとんどなく、まず「査定」を依頼されることから始まります。つまり、査定も仲介業者にとって重要な仕事のひとつなのです。

査定が完了すると、いよいよ売却の依頼を受けるステップに入ります。この時に「媒介契約」を結んで、物件の広告活動に入ります。

なお、媒介契約には、複数の業者に依頼する「一般媒介契約」、1社に依頼する「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」という3種類があるので、それぞれについて知識を整理しておく必要があります。

広告活動はWebや新聞折込広告、ポスティングなどの媒体をフルに活用して行います。無事買主が見つかった場合は、契約書作成から引渡しまで、責任を持って行います

不動産仲介業も、成果主義であることがほとんどです。一般的な価格帯の不動産の場合、仲介手数料は成約価格の「(成約価格×3%+6万円)+消費税」となっているので、高価格帯の物件を売主・買主とも自分で担当することがもっとも有利になります。

分業制ともいえるマンション販売と違い、ほとんどの業務をひとりでこなすのが不動産仲介業の特徴です。仕事は複雑になりますが、不動産取引を本格的学びたいという人にとっては大変にやりがいのある仕事です。

「建売業者・ハウスメーカー」の仕事内容とは

土地付きの一戸建てを販売する不動産会社は、「建売業者」と呼ばれています。建物の設計・販売をメインに行っている住宅建設会社は「ハウスメーカー」と呼ばれ、一般的な建売業者とは区別されています。

ただし、最近では両者の中間的な業務を行う不動産会社も増えてきています。ハウスメーカーに類似した仕事を行う業者として、「地場工務店」や「建設設計事務所」などもあります。

建売業者の場合、「土地の仕入れ」と「販売」が主な職種になります。もっとも募集人数が多いのは販売を担当する営業職で、マンション販売などと同様、平日休みの勤務体系が一般的です。給与体系も、成果に応じた歩合制がほとんどです。

ハウスメーカーや建設設計事務所などは、営業職でも建物の専門知識が求められるという特徴があります。

建築士の資格を所持していることが多く、設計士が販売も担当しているともいえます。顧客の要望に合わせてプランを提示し、成約に結びつけるという仕事の流れになるため、かなり高度な建物の知識が必要になります。

成果主義が多いのはほかの不動産の職種と同様ですが、営業職というよりは専門職に近い存在といえます。もちろん、営業職と設計が分かれている会社もあるため、設計の知識がなくてもチャレンジすることは可能です。

「不動産賃貸業者」の仕事内容とは

「不動産賃貸業者」の仕事内容とは

賃貸の不動産を扱うのは「不動産賃貸業者」で、一人暮らしをしている就活生にも身近な存在です。ただし、居住者を募るだけが不動産賃貸業の仕事ではありません。「不動産管理業」を行っていることがほとんどなので、賃貸営業を行う傍ら、委託された物件の管理も行っています。

賃貸営業の勤務体系や給与体系は、ほかの不動産業者と基本的に同じです。ただし、1年間の仕事のリズムが売買業務とかなり異なります。

繁忙期と閑散期の業務量が極端に違うため、メリハリのある仕事の進め方が求められます。売買業務と比べると、契約1件あたりの金額は小さくなりますが、契約件数は非常に多くなるということが賃貸営業の特徴です。

大手の賃貸業者は「アパート建築事業者」としての顔も持っています。こちらの仕事での募集も多いので、興味のある就活生は調べておくとよいでしょう。

大きな土地の所有者にアパート事業を提案し、建設や建物管理を請け負うのが主な仕事です。1つの取引が数千万円から数億円という規模になるため、一般の賃貸業とはかなり性格が異なる仕事になります。

ただし、簡単に契約が決まるという仕事ではないため、それなりの難易度を覚悟しておく必要があります。その分、1件あたりのインセンティブは非常に大きくなるため、スケールの大きい仕事をしたいという就活生にとっては魅力のある仕事といえます。

「不動産リノベーション業者」の仕事内容とは

「不動産リノベーション業者」の仕事内容とは

近年注目されているのが「不動産リノベーション業者」です。中古のマンションなどを買取り、リフォームやリノベーションを施して付加価値をつけ、再販売するという業態です。

少し前までは不動産業界のなかでもニッチな存在と思われていましたが、今では上場する企業も出てくるなど、不動産業界での大きな潮流のひとつとなっています。

これまでは不動産を売却する場合は、不動産仲介業者に依頼することが一般的でしたが、最近は「不動産買取」という手段も普及しつつあります。この不動産買取を積極的に進めているのが不動産リノベーション業者なのです。

リノベーション業者の営業職は、物件の買取からリノベーションの企画、販売までを一貫して担当することが一般的です。買取する物件はWebや広告からの問い合わせなどから集めることが一般的ですが、仲介業者や金融機関などから顧客を紹介してもらうことも少なくありません。

そのため、こういった業界内のパイプを維持しておくことも営業職の重要な仕事です。仕事が多岐にわたるため、業界からの中途採用者が多く活躍していますが、最近では大手を中心に新卒採用を積極的に行う会社が増えています。

勤務体系は不動産仲介業者に近く、個人の裁量で動くことが一般的です。

自分に合った業態を選ぼう

このように、不動産業界にはさまざまな業態があります。それぞれ仕事の内容がまったく違い、おのずと働き方も異なってきます。

大切なことは、自分に合った業態を選ぶということです。せっかく内定をもらって入社したとしても、業務内容に興味が持てなかったり、働き方のリズムが自分に合わないようでは、自分の能力を発揮することができません。

そのためには、まず不動産業界についての研究をしっかりと行うことが必要です。そのうえで自分に合った業態を見極めて、就職活動を成功させましょう。

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