アルバイトの経験しかないものの、そろそろ正社員として働いてみたいと考えている方の中には、

「正社員の面接もバイトと同様に私服で行ってもいいのか?」と服装について疑問に思っている人も多いでしょう。

そこで今回は正社員面接での服装や、基本的なマナーについて解説します。

正社員の面接はアルバイトの面接と全然違う!

アルバイトと同じような感覚で正社員の面接を受けると、面接の場で自分だけ浮いてしまったり、「こんなはずじゃなかった」と後悔する可能性があります。

そこでここでは、アルバイトの面接と正社員の面接の違いについて解説します。

アルバイトの面接は人柄重視、正社員の面接はビジネスマナーとスキルも重視

アルバイトと正社員の面接では、重視するポイントが大きく異なります。

アルバイトの場合は、業種・職種にもよりますが、正社員同様のスキルを求めている会社はそれほど多くはありません。

コンビニや飲食店でのアルバイト経験がある方は、接客やレジ打ちのスキルをアルバイトの面接で試されたことはないでしょう。

もちろん前に同様の仕事内容を経験したことがあるかどうかは評価されますが、特に接客業のアルバイトで重視されるのは、スキルよりも信頼できる人柄です。

特にアルバイトの場合は正社員よりも比較的離職のハードルが低く、人材の入れ替わりが激しいこともあり、「真面目に継続して働けるか」「職場で問題を起こすような人物ではないか」という点を厳しくチェックしています。

だからこそ、アルバイトの場合は人柄を重視して面接しているのです。

一方、正社員の場合は人柄はもちろんですが、それ以上に仕事をこなしていけるのか、対外交渉が可能な人物か、あらゆるビジネスシーンに適応できるかどうかを重視します。

アルバイトの面接よりもハードルが高く、チェックされる項目も増えます。

特に面接ではビジネスマナーが身についているかどうかが直に観察されてしまうため、服装や立ち振る舞いにもしっかり気を配り、事前準備をしっかりしておく必要があるのです。

正社員の面接試験が重要な理由

正社員の方がアルバイトよりも面接試験を重視される理由はスキルやマナーを確認する他にもあります。

転職活動の流れは、書類審査を行い、通過した人が何度かの面接試験を受けるというのが一般的です。

初めて正社員の求人に応募するという人は書類審査の際に履歴書や職務経歴書を作成することでまず一苦労します。

書類自体は自宅などであらかじめ作成してから提出できたり、他の人からアドバイスをもらって推敲する時間も与えられていて、ある程度準備することが可能です。

しかし面接は違います。

面接でもあらかじめ回答内容を準備できるように見えますが、「面接官との双方向のコミュニケーション」になるため、用意しておくにしても限界があるのです。

聞かれると思っていなかった意外な質問をされたり、面接会場を自分なりに想像してイメージトレーニングをしていたら実際は想像と異なる会場の出入りで緊張するなど、その場になってみないとわからない要素がたくさんあります。

このような失敗のリスクが高いだけではなく、企業側も準備できる書類審査はもちろん、準備に限界があって応募者のポテンシャルを測れるため、重視している企業が多い傾向にあります。

だからこそ、面接は転職活動の中で重視すべきプロセスだと言えるでしょう。

私服はNG?正社員面接の服装マナーを徹底解説

面接の重要性について把握したところで、正社員求人の面接試験まで選考が進んだ場合に備え、面接のマナーについてもしっかり確認しておきましょう。

ここでは服装を始め、髪型・メイクに関するマナーについても解説します。

服装は新卒のリクルートスーツじゃなくてもOK

転職者が面接に臨む場合、特に服装が「私服で」と指定されていなければ、基本的にスーツで参加することがマナーです。

反対に、アパレル業界や一部のクリエイト業では、「私服」を指定する企業もありますが、そこにスーツで参加することはマナー違反になります。

以上のような理由から、基本的にスーツでの参加がマナーではあるのですが、新卒が着るようなリクルートスーツでなくても構わない企業が大半です。

色としては基本的に黒・紺・ダークグレーを選べばよいのですが、新卒と違って転職者の場合は目立たない程度の柄が入っていても不自然ではありません。

むしろ、新卒のような真っ黒のリクルートスーツを30代などで着ていると、「あまりスーツを持っていないのかな」と思われるかもしれません。

女性の場合も、シャツは新卒のようなレギュラーカラーだとあか抜けない印象になってしまいます。白・淡い青などのパステルカラーであれば、首元の露出度の高くないブラウスをインナーとして着用してもよいでしょう。

面接のマナーとして、かがんだときに胸元が見えないようなものであれば、無地のカットソーでも問題ありません。

コートは脱いで裏返しにして手に持っておくこと

私服は指定がない限り、基本NGですが、注意すべきなのはスーツだけではありません。

企業に到着したら、入り口に入る前に必ず「着用していたコートを脱いでおくこと」も大切なマナーです。

到着したら、コートを脱いで手にかけておきましょう。

あまり知られていないマナーなのですが、脱いだコートは裏返して、裏地を見せた状態で腕にかけておくことをおすすめします。

裏地が見えるなんておかしい…と思うかもしれませんが、コートの表生地についたホコリなどのゴミを企業内に落とさないためのマナーなのです。

企業内に入ると、コートをかける場所、置く場所について案内されるので、指示に従いましょう。

コートをかける場合は、元の表生地に直して、どこかに置く場合は、裏生地が見えたままの状態でコンパクトにまとめて置くようにしましょう。

女性も男性も顔が見える髪型にするのがマナー

面接を受ける前に、自宅などで当日着ていくものを一式身に着けてみましょう。

さらに、髪型もマナーに含まれるため、面接日の1~2週間前に理容室や美容室で髪を整えたうえで、下記のようなマナーを守りましょう。

服装だけではなく、髪型にもマナーがあります。

転職者の場合、ある程度自由度が高いこともあって、前髪が長かったり、肩よりも長い髪の毛を結ばずに面接に挑む人も多いものです。

しかし、最低限守っておいたほうがよいのが「顔がよく見えるようにすること」です。

女性の場合は「シースルーバング」が流行していて、目にかかる長さの前髪をわざと隙間を作ってヘアアイロンなどでカールする人が多いようですが、顔がよく見えているのであれば、これくらいのアレンジはマナー違反にはならないでしょう。

面接者は短い時間で、あなたを採用してよいものか判断しています。

その材料となる、人となりがあらわれるといわれる「顔」は、できる限り露出するようにすることがマナーなのです。

顔が大きいから、自信がないから…という理由で髪の毛を使って顔を隠している人は、面接前にカットするか、女性の場合はきっちりまとめ髪にするようにしましょう。

男性はスニーカータイプの靴下を履かないように注意

服装が自由な業種・職種で働いていた人が間違えやすいのが、靴下の選び方です。

特に靴下まで見られていると思わず、面接の際にスポーティなスニーカータイプの靴下を選ぶことがあります。

くるぶし丈のスニーカータイプの靴下は、確かにはきやすいかもしれませんが、マナーとして考えるとアウトになります。

ふくらはぎまでくる靴下で、柄物ではない無地もしくはワンポイントのついた靴下を選びましょう。

色は赤や青などのビビッドカラーは避けて、スーツとの相性の良い黒・紺・ダークグレーから選ぶようにすることをおすすめします。

女性はストッキングの色に注意

多様性の時代ですから、女性の場合はパンツスーツで正社員面接に参加する人も増えてきています。

ただ、パンツスーツを選んだとしても、スカートスーツを選んだとしても、注意すべきなのはストッキングの色です。

パンツスーツの場合は、膝までのストッキング、スカートの場合はパンツストッキングを選ぶようにしましょう。

このとき、地の肌の色よりも白すぎる、あるいは黒すぎる色を選んでしまうと、脚だけが悪目立ちしてしまいます。

特にスカートの場合は脚がしっかり見えますから、そのときに脚が浮くような色を選ぶと「スーツを着慣れていない印象」が残ります。

また、白すぎる場合は不健康そうに見えてしまい、第一印象を左右する可能性もあるのです。

ただ、ストッキングを試着することは難しいという一面もあります。

このような場合、ストッキング売り場に置いてあるテスターのカットされたストッキングを手に透かしてみて、肌になじむ色かどうかを確認してから購入すると良いでしょう。

初めての正社員面接で気をつけたい!面接会場でのマナー

服装や髪型のマナーを守っても、その後の会場の基本的なマナーが身についていないと、選考にネガティブな影響を与えます。

そこでここでは、正社員面接の会場で守っておきたい基本的なマナーを解説します。

約束の5~10分前には必ず到着していること

アルバイトの面接と同じように、面接のマナーとして遅刻は厳禁です。

たとえ公共交通機関の遅れだったとしても、予測できるものは回避して別の方法を選ぶべきだと思われるのが関の山です。

電車なら遅れる・止まることは予測して、企業と約束している5~10分前には、必ず企業に到着しているようにしましょう。

面接に遅れるということ自体が重大なマナー違反ですから、大切な面接において、最初からあなたの印象を悪くしてしまいます。

ノック3回、「どうぞ」と言われてから入室

面接会場に案内されて、ドアをノックする場合、ノックの回数について深く考えていないと、面接官によっては損をすることになります。ノックの最適な回数は、「3回」です。

2回のノックは「トイレの空室確認のノック」といわれており、面接には適していません。

このマナーを知っている面接官に当たった場合、2回のノックをした時点で「トイレノックを知らないのか」と思われてしまいます。

また、4回のノックは多すぎて、面接官にしつこい印象を与えてしまいがちです。少なすぎず、多すぎない、ちょうどよいノックの回数が「3回」なのです。

ノックをして、面接官の「どうぞ」や「お入りください」の声を確認できたら、そこではじめてドアを開きます。中には転職者の面接を複数かかえていて、まだ前の受験者の資料を整理し終わっていない場合もあるため、相手に配慮する意味で「どうぞ」の声を待ちましょう。

面接が終わったらすかさず「ありがとうございました」

「では、これで面接を終わります」と言われたら、あなたはどうしますか?

中には、面接官のその後の「どうぞお帰りください」などの促しの言葉を待って、そのまま動かない人や何も言わない人もいるかもしれません。

実は、最後のこの瞬間にも大切なマナーが隠れています。

「これで面接を終わります」と言われたら、間髪おかずに「ありがとうございました」と言いましょう。

または「本日は貴重なお時間を頂戴し、面接の機会を設けていただき、誠にありがとうございました」と丁寧に伝えてもよいでしょう。

大切なことは、時間をおかずに「忙しい中、自分のために面接をしてくれて、ありがとう」という気持ちを伝えることです。

これができない人は、面接してもらって当たり前、面接を受ける側の視点しか持てない人だと思われてしまいます。

お礼を言わずに、「失礼いたします」と退室していく人もいますが、最後によい印象を与えるために、また面接官へのマナーとして、必ずお礼を言うようにしましょう。

まとめ:正社員の面接に私服は基本NG!服装や髪型のマナーを守って第一印象をポジティブなものにしよう

私服センスをみたいアパレル業界などの一部の特例を除いて、正社員求人の面接を受けるなら、基本的に私服はNGであり、スーツの着用が必須です。

ただ、服装だけ気をつけても、面接会場でコートを脱がない、髪型が奇抜で話に注意が向かないなど、内定をもらうのに不利なマナー違反をしては意味がありません。

正社員面接を通過できるよう、第一印象を形成する服装・髪型・態度など一貫してマナーを守って面接に臨みましょう。