せっかく転職したのに、新しい転職先がブラックだったり、人間関係が最悪だったりと失敗してしまった場合、短期間で辞めて再転職すると転職市場価値が下がるかもと思う人も多いでしょう。

そこで今回は、転職で失敗した人が短期間で再転職することが可能かどうか、また今後の転職活動に与える影響について解説します。

転職に失敗したと思う理由とは

転職は大人が経験するかなり大きなライフイベントの一つです。

しかし、転職に成功する人がいる一方で、せっかく転職したにも関わらず様々な理由で「失敗した…」と感じている人がたくさんいます。

ここでは、転職した人の退職理由に関するデータを見ながら転職に失敗したと思った理由について解説します。

転職理由のトップは「出向等を含むその他の理由」!3位には男女差あり

転職に失敗したと思った人の中には、実際にその会社を辞めて次の会社に転職していく人も少なくありません。

そこで厚生労働省による「転職入職者が前職を辞めた理由」を見てみましょう。

男性も女性も共通の「転職入職者が前職を辞めた理由」のトップは「その他の理由(出向等を含む)」

でした。

出向という理由以外にも、会社には言いにくい理由があったり、結婚や妊娠による退職など、様々な要因がここに含まれていると考えられます。

男性の2位の理由は、「定年・契約期間の終了」です。

3位の理由が「給料等収入が少なかった」となっています。

契約社員・派遣社員にも総じて取られた質問調査だったため、実際は多くの男性が給料や賞与などの報酬面を見て「失敗した」と感じ、次の会社に転職していったのだと考えられます。

家庭を持ち、配偶者が働いていなかったり、パートで働いている場合、男性の稼ぎは重要となるため、収入面での理由で転職していく人が多いのも納得できるでしょう。

一方で、女性の転職理由は男性とは少し異なります。

1位と2位は男性と共通でしたが、女性の3位の理由は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」がランクインしています。

やはり会社には直接言いがたい理由で転職している人が多いようです。

男性が報酬面を理由に退職する人が多い一方、女性の場合は勤務時間への不満が転職につながっていると考えられます。

例えば結婚して育児しながら働いている女性の場合、予定外の残業や休日出勤があると、子どもの行事に参加できなかったり、保育園へのお迎えが遅れたりするなどの不都合を感じやすいのかもしれません。

また、前年度からの上げ幅で見ると「職場の人間関係が好ましくなかった」が挙げられており、人間関係で失敗した結果転職を決意した人が増えてきていることが分かります。

まとめると、男女別に下記のような理由で「失敗した」と感じていると言えます。

男性の場合

入社してみたものの、男性の場合は求人票にあった給与額よりも実際に支給された金額が少ないのを見て「失敗した」と感じた

女性の場合

求人票に記載されていた「平均残業時間」よりも多く残業しなければならず「失敗した」と感じた

男女共通

会社に申告できない事情で転職する人も多く、入社して初めてわかる人間関係についていけず転職する人も多い

どれも入社前に聞いていた話とのギャップがある点が問題であり、会社の実態を掴めないままに転職したことが「失敗した」と思う根本的な原因であるように考えられます。

(参考:厚生労働省「-平成 30 年雇用動向調査結果の概況-」)

転職に失敗したら短期間で再転職してもOK?

報酬・労働時間・人間関係などを中心に、人によって様々な理由で「失敗した」と感じ、再転職していくことが分かりました。

しかし、「転職して失敗した!」と感じたら、それがたとえ短期間のことであっても、すぐにまた再転職できるものなのでしょうか。

法律(民法)的には、雇用期間に定めのない正社員の場合、いつでも解約の申し出を行うことが認められています。

民法627条によると「雇用は解約申入の2週間を経過したるに因りて終了する」と定められています。

つまり、会社側に退職の意思を示して2週間後であれば、会社側がいくら引き止めても辞めて転職することができるということです。

転職先で、求人票にあったような給料がもらえなかったり、年間休日120日とあるのに休日出勤が多く事実と異なるなど、「失敗した」と思うことがあったら、最短14日で転職できるということになります。

しかし、問題は再転職が可能であるかどうかより、再転職先が短期間で前職を辞めてきたあなたのことをどのように評価するかという点ですので、それについて次で解説します。

短期間で転職した場合の転職活動に与える影響とは

転職に失敗した理由はそれぞれですが、前職を「短期間で」辞めて再転職しようすることを採用サイドはどのように考えるのでしょうか。

短期間で辞めるということを「転職グセが強く長期間勤務できないタイプの人」であると考える場合もあれば、「見切りが早くつけられる決断力のある人」と考える場合もあるでしょう。

ここでは、短期間で転職したことが、あなたの転職活動に与える影響について解説します。

短期間で転職したことが転職活動に及ぼす「悪い」影響

転職してみて、例えば強烈に個性の強い同僚がいたり、パワハラそのもののような上司がいた場合、遅くても1ヶ月あれば「あ、これは失敗したな」と気がつくでしょう。

かと言って、もし本当に1ヶ月で退職した場合、次の転職活動にどのような影響を与えるでしょうか。

一般的な採用担当であれば、職務経歴書を見て、その人全体の職歴の中での勤続年数を確認します。

1ヶ月で前職を辞めて再転職してきていたとしても、その前の会社に長期勤続していた場合は、「何か大きな失敗をしたか、ハズレの会社に転職したのかな」が考えるでしょう。

しかし1ヶ月で前職を辞めて再転職する前にも数ヶ月レベルの短期で辞めてしまっている場合は、「転職グセが強く、ここで雇用してもまたすぐに辞めてしまうかもしれない」と判断する可能性があります。

つまり、前職よりも前の職歴が重要であり、前職だけが失敗して短期間で辞めているなら、影響がない可能性もあると言えます。

短期間で転職したことが転職活動に及ぼす「良い」影響

短期間で再転職することは、必ずしも転職活動に悪い影響しか及ぼさないというわけではありません。

採用担当によっては、ポジティブなとらえ方をする場合もあります。

例えば、あなたが短期間で再転職しようと決めた理由が「入社してみたら10年も先輩の給料と今の自分の給料がほぼ変わらないことがわかったから」だったとしましょう。

実際は給料が原因で転職しているのですが、見方を変えると「前職の業界が数年前から右肩下がりで今後の明るい展望が見えなかった」という理由にもなり得ます。

すると採用担当者によっては「目の前のことだけにとらわれず、業界全体を俯瞰で見ることができる人」や、「ゆでがえるにならずに適切な決断を下して実行に移すポテンシャルのある人」というように、良い方向にとらえる人もいるのです。

このような判断をしてもらうためには、やはりあなたが前職までの職歴でも目に余るような短期間で辞めていないことが前提条件となります。

数週間から1ヶ月程度くらいの短期間で転職を繰り返している場合には、転職活動にこのようなポジティブな影響を与えるのは難しいでしょう。

すべては職歴と退職理由次第!前向きな理由なら悪い影響を及ぼす心配なし

ここまで解説してきたように、実は短期間で再転職すること自体には、ネガティブな要素は少ないものです。

大切なのは前職の前までのキャリアと、退職理由でしょう。

転職の応募書類である職務経歴書を見て、短期間でも実績を残している場合や、会社都合で短期間の再転職になっているような場合は、問題なく書類選考を通過することができるでしょう。

また、応募書類や面接で話す「退職理由」も同様に重要です。

前職で特筆できる実績も残しておらず、人間関係などの自己都合で「失敗した!」と感じて転職しようとしている人も多いのではないでしょうか。

そのような場合でも、事実をとらえる角度を変えていい方向に表現する「リフレーミング」という方法で退職理由を前向きなものに変えることができます。

例えば、「社風が合わなかった」という場合、

「前職の職場は非常にアットホームな社風でした。しかし、私自身がさらにビジネスライクで合理的な考え方をした方が業績につながると考えるようになってしまいました。これは私の企業研究不足によるものが大きく、今回はこのような齟齬がないよう、しっかりと会社見学に3度にも参加させていただいております。」

など、「会社が悪かった」とは言わず「自分の企業研究が足りなかった。でも今回はきちんと研究してきた自負がある」と、ポジティブな締めで採用担当に残る印象をいいものにします。

前職での失敗経験をリフレーミングを用いてポジティブなものに言い換えることができれば、短期間の再転職でもイメージをネガティブな方向に持って行かずに済むでしょう。

3年は勤続しないとダメなんて嘘!限られた20代を無駄にしないために即決もアリ

短期間で転職しようとする若者に対し、昔から「せめて3年は続けてないと次の転職で不利になる」という、嘘か本当かわからない噂があります。

なぜ3年なのか、また本当に3年以上勤務しないと転職活動で不利になるのか、詳しいことはどこの機関にも調査結果が出ていないため、「噂」の程度と言えるでしょう。

しかし、転職する人が珍しくない令和の現代では、20代の貴重な若い時期の3年を、何の根拠もなく「失敗した!」と感じている企業に捧げるのは非常にもったいないとも考えられます。

そもそも天職と思える仕事や、相性の良い職場に、新卒で最初から当たる人の方が少なく、多くの人は「失敗した」と感じながらも我慢しているのかもしれません。

20代や30代のいわゆる転職限界年齢の手前の時期は、我慢で過ごしてもいいものでしょうか。

むしろ様々な仕事・職場を経験して、自分の居場所を見つけるために、短期間でもどんどん転職しても良い時代だとも考えられます。

3年という謎のくくりにとらわれず、「失敗した」「この会社は長くいられない」と感じたら、転職活動を始めてみるのも、長い目で見ればあなたのキャリアにとっては良いことなのかもしれません。

短期間での退職理由作成に不安な人は転職エージェントに相談するのもおすすめ

短期間での再転職でポイントになるのは、先ほども解説したように「退職理由」がポイントになります。

しかし、文章作成が苦手な人などは、「短期間で前職を辞めた理由をポジティブに書くなんて無理」と感じるでしょう。

また、短期間での転職希望者を受けて入れてくれるような会社を自力で探すことに難しさを感じている人も多いのではないでしょうか。

上記のような人の場合は、転職エージェントを活用することをお勧めします。

応募書類の添削はもちろん、転職面接の練習にも応じてくれるエージェントもあります。

自分で退職理由を書いてみて、転職のプロに添削してもらえば、採用担当者にも短期間の再転職についてポジティブにとらえてもらうことができるでしょう。

まとめ:転職で失敗して短期間で再転職しても大丈夫!退職理由次第では希望大

せっかく転職したのに、転職先が思ったより給料が低かったり、休日出勤や残業が多かったり、人間関係が悪くて失敗した!と感じた人は、ガマンせずに再転職に挑戦してみましょう。

在職中の転職活動なら、いい仕事が見つかるまで収入を途絶えさせずに、少しずつ進めることができます。

3年間続けないと再転職に不利という根拠のない噂を信じて今の会社にとどまるよりも、転職活動を始めてみた方が、自分にぴったりの仕事・職場に出会ってストレスのないキャリアを築くことができるでしょう。

そのためにも、退職理由をポジティブなものに言い換えて、前向きな再転職であることをアピールし、ネガティブなイメージを払拭することをおすすめします。