高卒で働いている人の中には、建設現場や工場、介護福祉など、肉体労働で稼いでいる人も多いでしょう。

しかし肉体労働は身体的にキツいのはもちろん、長い目で見れば精神的にもキツいことがたくさんあり、転職を決意する人も少なくありません。

そこで今回は、肉体労働がキツいその理由と、早めに肉体労働を辞めた方がいい理由について解説します。

立ちっぱなし、力仕事の肉体労働はココがキツい!

肉体労働といえば、建設現場、工場、配送、引越し、介護福祉士などが挙げられます。

それぞれ思い切り体を動かして働く仕事のため、体が鍛えられたり、消費カロリーが大きいため多少カロリーオーバーしても食べたいものを食べられるというメリットがある一方、メリットを上回るキツさもたくさんあるでしょう。

ここでは、肉体労働がキツい理由について、仕事別に解説します。

建設現場は肉体労働+過酷な労働環境もキツい

建設現場では、足場を組んだり、材木を運んだりといった肉体労働が盛んであり、仕事はその作業の進捗状況で測られるため、休みなく働く人が重宝されるものです。

現場での上下関係も厳しく、年齢はもちろん、どちらが先に入社したかという社歴の上下関係もあり、精神的なキツさを伴うという特徴もあります。

また、建設現場はほとんどの場合が天候や季節がキツさを増幅させるでしょう。

例えば真夏の炎天下の中でも、真冬の極寒の中でも、同じような仕事量を求められます。

ただでさえ重いものを運ぶために肉体が悲鳴をあげているにもかかわらず、加えて気温や天気のキツさも上乗せされるため、疲労度が非常に高い仕事だと言えます。

重機などの機械化で、昔に比べればラクになったという建設現場ではありますが、やはり細かな場面では相変わらず負担の大きな肉体労働を伴うため、年齢を重ねるとともに転職を考える人が多いのです。

配送・引越しは腰への負担が大きすぎるのがキツい

配送や引越しの仕事も肉体労働の代表的な仕事です。

最近は高齢者の増加とIT化が進んだことで、重たいものは全てネットで買い物することが当たり前になってきました。

水や米、家具など、何十キロもある大荷物を、エレベーターのない建物では階段を使って運ぶことも多く、世の中が便利になるとともに配送業の肉体労働は過酷さを増しているのです。

引越し業も同じように、家具・家電を運ぶことが仕事であり、これがかなりの肉体労働になっています。

どちらの仕事も重い荷物を運ぶ際に、足腰に大きな負担がかかり、おまけに休む暇がないため、疲労回復できないまま肉体疲労が積み重なっていきます。

高卒だと配送や引越しはアルバイトから始めていて、社員に登用される人も多いため、「高卒で正社員になれたんだから、辞められない」と思いこみ、深刻な肉体疲労に悩んでいても転職しようとしない人も多いでしょう。

介護福祉士は利用者への気遣いも必須なのがキツい

実は隠れた肉体労働なのが、介護福祉士です。

車椅子から高齢者を移乗させたり、入浴介助のために体を持ち上げたり、着替えやオムツの交換で体を支えたり、何十キロという高齢者の体を持ち上げ、支えるという動作が実はかなりの肉体労働になっています。

利用者の意識がはっきりしている場合、直接「ありがとう」と言ってもらえる、やりがいのある仕事でもあるのですが、特別養護老人ホームなどでは、認知症が進んでいる高齢者もたくさんいます。

すると、良かれと思ってやったことに対して激しく文句を言われたり、逆に利用者から叩かれるなどの攻撃を受けたりすることもあるのです。

さらに大変な肉体労働があることに加えて、最近では利用者の家族からのクレームという精神的な負担も増えています。

介護の一環として行ったレクリエーションに対し「うちの親を子供みたいな行事に参加させるな」というクレームがついたり、自分は見舞いにもこないのに「もっとヒゲの手入れを頻繁にしろ」などと、細かな要望が入ることもあり、キツさの原因となっています。

肉体労働は早めに辞めた方がいい理由3選

肉体労働を長年続けた人の末路を見ると、多くの人が体を壊すと同時に精神的にも落ち込み、引きこもったり、働くことをやめて人生を諦めてしまう人がいます。

そうなってからでは対策のしようがないため、今肉体労働をしていて将来に不安を感じている人は、できるだけ早めに辞めた方がいいのかもしれません。

ここでは、肉体労働を早めに辞めた方がいい理由について、3つ厳選して紹介します。

体力の限界=退職勧奨の可能性が高い

肉体労働の場合、当たり前ですが体が資本ですから、その資本が尽きた時、会社側からすれば戦力外ということになります。

今は正社員で雇用すると、簡単にはクビにできないのですが、それでも肉体労働の現場では、かなり居心地を悪くすることで、「もう辞めます」と労働者の方から言わせるという流れを作る会社もあるのです。

さらに悪いケースでは、もともと非正規雇用で、体のどこかしらに不調が出た次の日から契約を更新しないという場合もあります。

仕事のためと思って頑張ってきた人でも、体を壊したらそこでキャリアが突然終わる可能性があるということです。

年齢を重ねれば重ねるほど、このようなリスクは高くなるため、まだ体が元気なうちに早めに辞めた方が、身体的にも将来の経済的にも追い詰められずに済むでしょう。

家庭とのバランスが保ちにくい

肉体労働をしている人の中で、結婚して家庭を持っている人の場合、休日には体を休めたくても、家族との時間を確保しなければならず、それが難しい状況で悩んでいる人も多いようです。

週5日、フルで肉体を酷使しているからこそ、本来であれば休日くらいは体を休めてゆっくり過ごしたい人が多いでしょう、

しかし、子どもがいると公園に連れて行ったり、習い事の送迎をしたり、妻の用事に付き合ったりと、自分の体をいたわる時間がほとんどないという現状があります。

そこで自分の体のケアを優先しようとすると、家族からは非難されることになり、家庭と自分の体のケアとのバランスが取りにくくなるでしょう。

家族を優先すれば、肉体には疲労が蓄積して業務に支障が出る可能性があり、仕事を優先すれば、帰宅しても居場所がないほど家族との関係が崩れたりする可能性があります。

肉体労働を続けることで、仕事を辞めた後の居場所である家庭が壊れるくらいなら、早めに肉体労働をやめて家庭での時間を取れる仕事に転職した方がよいでしょう。

限界がきてから転職活動を始めても遅い

肉体労働を早めに辞めた方がいい理由は、「次のステップに進みにくくなるから」です。

肉体労働で積み重ねてきたキャリアを生かして転職できるのは、同じような肉体労働が一番可能性が高いでしょう。

しかし、体力に限界を感じて退職した後では、ほかの肉体労働に転職するのは難しく、長い休職期間を経ることになります。

年齢も重ねている場合、休職期間が長い元肉体労働者の転職は非常に難しく、長期間にわたる転職活動に対して精神的な負担が大きくなってしまいます。

だからこそ、転職活動がしにくくなる前に、早めに肉体労働を辞めておいた方がよいでしょう。

肉体労働から転職しやすい仕事3選

肉体労働を早めに辞めたとして、「肉体労働の次にどんな仕事ができるか想像できない」という人も多いでしょう。

そこでここでは、肉体労働から転職しやすい仕事を3つ厳選して紹介します。

営業職

営業職は基本的に社用車で移動して、トークスキルで勝負する仕事です。

肉体的な負担はかなり少なくなる一方、契約が取れればインセンティブがつくため、肉体労働で高い報酬をもらっていた人でも給与を下げることなく転職することが可能でしょう。

ただ、コミュニケーションが苦手という人にとって、飛び込みの営業は精神的にキツいと感じるかもしれません。

そんな方にオススメなのが、反響型の営業です。

飛び込みの新規営業と異なり、商材に興味関心を持って問い合わせをしてきた顧客に対して行うのが反響営業であるため、心理的なハードルはかなり低くなるでしょう。

エンジニア

今まで肉体労働をしてきた人にとって「今更エンジニアなんて無理」と最初から選択肢に入れていない人も多いのではないでしょうか。

しかし、IT化が進んだ現代に対してエンジニア数は足りておらず、企業としては異業種転職でもいいから採用したいほど人材不足で困っている現状があります。

ハローワークの職業訓練を使って、未経験からプログラミングの知識とスキルを身につけることも可能です。

20代の場合は未経験でも積極的に採用する企業も多く、身体的負担は肉体労働に比べてかなり軽いため、実は肉体労働の人にオススメの仕事だと言えます。

コールセンタースタッフ

肉体労働にうんざりしていて、もう体を使う仕事には転職したくないという人のオススメなのが、コールセンターのスタッフです。

会社が作成したマニュアルに従って、ユーザーからの問い合わせに答えたり、クレーム処理を行うなどの仕事内容になっています。

自分で考えて答えるというフローではなく、基本的にマニュアルがある仕事のため、未経験からの異業種転職としてのハードルが低く、肉体労働からの転職先としてオススメです。

女性の割合が高い職場ではありますが、業績が良ければスーパーバイザーなどにキャリアアップして、給料を上げられる可能性もあります。

まとめ:肉体労働は完全に体を壊す前に早めに退職!肉体を酷使しない仕事に転職して長く働ける未来を描こう

肉体労働は体が資本であり、その資本である体に支障が出たら、その時点で稼げなくなるという脆さがあります。

事故に遭う可能性も高く、すでに家庭を持っている人はもちろん、これから家庭を持とうとしている人にとっても長く続けることで高いリスクを背負うことになるでしょう。

だからこそ、体を壊して転職できなくなる前の早めの段階で転職活動を始めることをオススメします。

この記事で紹介してきたように、営業職やエンジニア、コールセンタースタッフなど、体を酷使しなくても稼げる仕事に転職し、自分と家庭をいたわることができる将来を描くことで、キャリアとしても1人の人間の人生としてもポジティブな変化が期待できるでしょう。