高校を卒業してすぐに仕事を始めた人の中には、「この仕事は特にきつかった」「すぐに辞めたいと思って辞めてしまった」という仕事を経験したことがある人も多いでしょう。

世の中には様々な仕事があり、働いてみて初めて辛いことがわかる仕事もあります。

そこで今回は、高卒で働いた人が辞めたいと思った仕事について、職種別に辞めたいと思った理由と対策について解説します。

離職率が高い仕事はどれ?辞める人が少ない仕事も解説

高卒で働く場合、人手不足の業種・職種に応募するか、猛勉強して国家資格を取得するか、一芸があって独立するなどの方法に限定されるでしょう。

現実的には、国家資格に合格する人や、芸能界などで活躍できる人はほんの一握りで、多くの人は人手不足の業界で働くことを余儀なくされます。

ここでは、そんな高卒で働くことになった人が離職しやすい仕事と、反対に離職率が低い仕事について紹介しましょう。

離職率が高い業種・職種4選!こんな仕事は高卒で辞める人が多い

「楽な仕事などない」という言葉もあるように、食べていくために働く以上、気が進まないこともこなす仕事を続けている人もたくさんいるでしょう。

また、終身雇用にも限界があるとトヨタの社長が声明を出した2019年以降、「新卒で入社した会社を定年まで勤め上げる」という常識は薄くなってきているようです。

このような状況もあり、世の中では自分に合わないと思った仕事は辞めて、次の仕事に転職するという流れができつつあるようです。

厚生労働省の調査で、どんな仕事の離職率が高いのかが明らかになっています。

  • 輸送・機械運転業
  • 販売業
  • 保安職業
  • サービス業

この4つの仕事の離職率が特に高い傾向があるようです。

つまり、トラックやタクシーの運転手、アパレルなどの販売、警備員や交通整理、飲食業のスタッフなどについては、すぐに辞めてしまう人が多いというデータが出ています。
参考:厚生労働省「より効率的な働き方の実現に向けて」

離職率の高い、この4つの職種については、学歴が不問であることが多いため、必然的に高卒者の応募が多くなっています。

高卒で働き口を見つけたのはいいものの、それぞれの理由ですぐに辞めたくなるような事情があり、出入りが激しい仕事だと言えます。

離職率が低いのはこんな仕事!長時間労働がないのが決め手

上記で紹介した4つの業種・職種に共通するのは、「長時間労働の可能性が高い」ことです。

サービス残業も未だに発生している職場もあり、勤務時間帯が不安定であることも離職率の高さを手伝っています。

一方で、離職率の低い仕事についても、厚生労働省が同様の調査を行ないました。

  • 事務職
  • 生産工程職

この2つについては、特に辞める人が少なく、一度仕事に就くとかなり長期間にわたって働く人が多いようです。

そのため、事務職や工場の職員、ビルメンテナンスなどの仕事については欠員募集がかかりにくく、やりたいと考えている人が多いのに対し、応募できる枠が小さくなっています。

特に事務職については、女性からの人気が高く、一度採用されたらなかなか辞めないため、競争率が非常に高い傾向にあります。

力仕事もなく、デスクワークで、産前産後の休暇も取りやすい環境が多いため、事務職を狙う女性が多いということです。

高卒で就職したけどもう辞めたい!職種別に辞めたい理由を紹介

高卒で就職できたのはいいものの、ここまでで紹介したような長時間労働、肉体労働など、働き続けるのが難しい職種の場合に、もう辞めてしまいたい…と思う人が多いようです。

そこでここでは、高卒で就職した人が辞めたくなる理由について、職種別に紹介します。

警備員・交通整理員・現場作業員を辞めたい理由

離職率が高い仕事としても名前が挙がっていた「保安職業」にあたる、警備員や交通整理員、そして建築業の現場作業員の仕事は、比較的学歴不問で募集がかけられていることが多いため、高卒で働く人が多くなっています。

これらの仕事に共通する「辞めたい理由」は、天候にかかわらず外で長時間労働するのが辛いことです。

警備員はビル内の勤務ならいいのですが、ビル外での不審者対策として配置される場合が特に辛さを感じる人がいます。

真夏の猛暑の中でも、真冬の極寒の中でも、雨でも強風でも、どんな天候のときでも外仕事の可能性があるため、体力を消耗し、体調を崩しやすいという理由で、辞めたいと思うきっかけになるということです。

現場作業員の中には、最近の働き方改革の波を受けて、悪天候の日は作業を行わないことを強調している会社もあり、比較的配慮がされている環境かもしれません。

さらに警備員・交通整理員・現場作業員は足腰を痛めやすいことも、辞めたいと思う重要な理由として挙げられます。

どの仕事も立ち仕事であり、座って休憩する時間は45~60分程度しかありません。

若いうちは耐えられる仕事ですが、高卒で働いて20代後半から30代になってくると、徐々にきつさを感じ始めます。

40代になるとほとんどの人が「このまま一生続けられる仕事ではない」と感じるようになり、もう辞めたい…と考えるようになるのです。

飲食サービス業の調理・接客を辞めたい理由

飲食サービス業もまた、離職率の高い仕事として紹介してきました。

飲食には主に調理を担当するキッチンの調理職と、ホールで注文・配膳を行う接客職があります。

キッチンの調理職は、高卒でも調理師免許を取得することで就くことができますが、調理職の辛いところは職場での人間関係です。

キッチンという狭い環境の中で、調理業界のきつすぎる上下関係がイヤになるという人が多く、強いストレスを抱えた挙句「辞めたい…」と思うようになるといいます。

調理も好きで始めた人もいるはずなのに、毎日毎日同じメニューを作ったり、調理といいつつほとんどが機械作業で楽しみもやりがいもないという人もいます。

一方、飲食サービスの接客業も離職率が高く、人の出入りが多い仕事です。

接客の場合、辞めたくなる理由として挙げられるのが、「マナーのないお客様の対応」「クレーム対応」「コロナ対策の徹底」です。

オーダーを受けて間もないのに呼び出されて、「注文した料理が来ない!遅すぎる!」と理不尽にお客様から怒鳴りつけられたり、「メニューと実際の料理が違いすぎる!」と文句を言われたりすることが珍しくありません。

これらのことは接客担当者の責任ではないにもかかわらず、人前で怒鳴られた上に平謝りするしかなく、精神的に落ち込んでしまう人が多いのです。

また、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、飲食店ではウイルス対策を徹底しないと営業できない期間・地域もあります。

ホールで働く接客担当者は、お客様に検温や手指消毒、黙食、マスクの着用を促すことをお店から求められていて、ルール違反のお客様には直接声がけをしなければいけません。

素直に従ってくれるお客様もいますが、中には「法律で決まってるわけでもないし、お前に何かの権限があるわけでもないのに、指示される覚えはない!」と怒るお客様もいます。

その度に、「もう辞めたい…」と思う人が多いそうです。

トラック・タクシー運転手を辞めたい理由

運転免許すらあれば、学歴関係なく始められるということから、高卒の人が選びやすい仕事であるトラック・タクシーの運転手の仕事も、辞めたいと思っている人がたくさんいるようです。

トラック運転手の場合、基本的に荷物をトラックに積んでしまえば、あとはトラックの中で1人、わずらわしい人間関係にも悩まされることなく、自分のペースで運転することができます。

1人が好きな人や、コミュニケーションをとるのが苦手な人にとってはありがたい仕事かもしれません。しかし、トラックの場合は荷物の手積み・手おろしという過酷な業務が付きまといます。

中央センターで荷物を受け取り、各家庭に配送していく宅配便の場合、お米・水など重量の多いものを運ぶことも多く、1日中運転するか、手積み手おろしの繰り返しで、肩・腰に莫大な負担がかかるため、「辞めたい」と思う人が多いようです。

タクシーの運転手も、昨今の車載カメラの標準化により、以前よりもお客様からの暴力や強盗などの大きなリスクは取り除かれたようですが、一方で辛いこともたくさんあります。

タクシー会社は固定給ではなく、歩合制の会社が多いため、実車率が低いこのご時世では稼ぐのが大変ということです。そもそも新型コロナウイルスにより、夜に飲み歩く人も減ってしまい、外国人観光客もめっきり減ってしまいました。

この状況により、歩合制のタクシー運転手が稼ぐためには、長時間労働しなければならず、大変非効率的な働き方を余儀なくされています。

長時間働いても手元に入るお金は微々たるもので、こんなに拘束時間が長いなら、他の仕事をしたい、もう辞めたいと考える人が多いようです。

介護職を辞めたい理由

介護職は、専門学校や大学で介護福祉士の専攻コースを卒業し、国家試験に合格してから働くケースが多いようですが、実は高卒でも介護福祉士になって介護職に就く人も一定数います。

高卒の場合、介護職として介護福祉施設で3年以上の実務経験が必須になります。

その後実務者研修を受講して、介護福祉士に必要な知識とスキルを身につけて、ようやく介護福祉士になれるのです。

自治体によっては介護福祉士として働きながら、その土地に特定の期間住むことを条件に、補助金を出しているところもあるため、学歴に関係なく働きたいという人は一定数います。

しかし、問題は苦労してなった介護福祉士の仕事が、きついという点です。特に特別養護老人ホームでは、要介護度の高い高齢者が入所するため、食事や入浴、排泄処理の仕事が高頻度で回ってきます。

車椅子への移乗などもあり、精神的だけでなく、身体的な疲労感がたまりやすいのです。

我慢して働いていても、認知症の高齢者から罵倒されたり、叩かれながらオムツ交換をしている時に「もう辞めたい!」と強く感じる人が多いといいます。

さらに特別養護老人ホームでは、夜勤も発生します。多くの高齢者は寝ている時間帯なのですが、認知症が重度の患者さんがいる場合は、夜中に徘徊する人もいて、仮眠をとることも難しい場合があります。

人手不足で休みも取りにくく、プライベートも確保しにくい労働環境に対して、辞めたいと感じる人も多いでしょう。

高卒で仕事を辞めたい!辞める対策と辞めない対策を解説

離職率の高い仕事は、学歴不問の仕事が多いだけに、高卒の人が就きやすい傾向があります。

ドライバー、接客、販売、介護などの仕事を辞めたいと思ったとき、状況を少しでも改善するた目には「すぐに辞める」「辞めないでとどまる」という2つの選択肢があるでしょう。

辞めるという選択をする場合、今あなたが「辞めたい」と思っている理由のうち、大きい理由を3つ書き出してみましょう。

給料が安い、肉体労働がきつい、人間関係がきつい、などの理由を書き出してみたら、次に転職する仕事は、そのすべてが少しでもよくなる仕事を選ぶことが対策として考えられます。

3つすべてを解決するのが難しい場合は、一番悩んでいるものだけでも構いません。給料が安いことに一番悩んでいるなら、少しでも給与水準が高い職種に転職しましょう。

例えば飲食の接客業を給料が低くくて辞めたいという場合は、営業職に転職してみることが挙げられます。営業職は基本給に加え、営業成績によってインセンティブが上乗せされます。

接客のスキルを生かすことができ、給料も改善できることを考えると、今の仕事を辞めて転職する意義があるでしょう。

今の仕事を辞めないのであれば、「昇進を目指す」「部署移動願いを出す」などの対策が考えられます。現場作業員などは監督職まで上がれば、作業員ほどの力仕事は必要なくなります。

また、警備員も立場が上になり、マネジメントを行うクラスまで昇進できれば立ち仕事は減って行きます。

それでも、ドライバーや介護職は昇進してもきつい仕事が多く、部署移動もできないため、辞めて異業種転職するという対策が最も現実的なものになるでしょう。

まとめ:高卒で辞めたい仕事は長時間労働・肉体労働が多い!辛くなったら転職も考えよう

仕事を辞めたいと思う理由の中で、多くの職種に共通するのが「労働時間が長い」「給料が安い」「肉体労働が辛い」というものでした。

どれも選んだ職種によっては仕方のないものが多く、改善するためには転職することが最も現実的です。

もしも転職することを選ぶ場合は、今悩んでいる辞めたい理由を深掘りしてみて、一番解決したい問題を1つ選び、次の仕事ではピンポイントでその問題が解決できる仕事を選びましょう。

肉体労働がきつくて辞めたい場合は、多少給料が低くてもデスクワークができる仕事を選ぶことで、今よりも仕事への悩みを減らすことができるでしょう。