就活でセクハラがあるのって本当?知っておくべき具体例と対処方法のまとめ

就活は新卒の学生には人生を左右する局面なので、いかなる質問や要求も忠実に受け止める覚悟で面接などに臨むはずです。

これに対して採用側の人間は悪意があれば採用をチラつかせ学生に対して理不尽な要求をできうる優位な立場にあります。

こうした立場の差がある状況下で学生がセクハラ被害に遭うこともあります。

就活で応募者が経験したセクハラの具体例

就活で応募者が経験したセクハラの具体例

最もひどい例は、女子学生が内定を餌に採用担当の男性から性交渉を迫られたというものです。自分が内定の決定権限を持つから要求に応じれば代わりに内定を決めてあげるという、学生の弱い立場を利用した卑劣なやり方です。

あるいは内定の後、内定を取り消されたくなかったら性交渉の要求に応じろと言われた例もあります。本当は既に内定が決まっているのに、合格ラインに達していないのでこのままだと不合格になると虚偽の申告をし、要求に応じれば自分の権限で採用に持ち込んでやるという誘惑をされた場合もあります。

他の用事を偽って会社外に呼び出されてから、逃げ場のない状況に追い込み、性行為を強要されるパターンが多いです。このように相手の弱みにつけこんで肉体関係を迫ることは、強制性交の罪に問われうる重大な犯罪行為です。

次に、性行為に及ばないまでも衣類を脱ぐよう求めたり身体に触るなどの行為をされたという事例があります。

衣料品会社の面接中に、スタイルが良いからモデルとしても仕事があるかもしれないなどと偽り、服を脱ぐよう求められたという例や、リラックスして本音で意見を交換したいからと隣の席に面接官が密着して座り、身体を触られたという例もあります。

また身体接触をともなわなくても、言葉によるセクハラの事例も多く見られます。採用に関係のないプライベートな情報を聞くことや、身体の特徴について侮辱的であったり、からかったりするような表現もセクハラに該当することがあります。

具体的には「彼氏はいるのか?」「ファーストキスはいつか?」「性交渉したことはあるのか?」「胸が大きいね」「足が綺麗だね」などがこれに相当します。

さらにセクハラの被害者は女性だけとは限りません。男子学生が女性職員から性行為を強要される例は稀ですが、男性も女性から性的魅力の優劣について侮蔑的な評価を受けることがあります。

採用面接において、「あなたどうしてそんなに不細工なの?」「そのダサい服装じゃもてないでしょう?」などと中傷されることもセクハラに当たる場合があります。

就活においてなぜ社員はセクハラ行為に及びやすいのでしょうか?

就活においてなぜ社員はセクハラ行為に及びやすいのでしょうか?

採用担当の面接官などは会社の権威や社会的地位を笠に着る立場となり傲慢な感情が湧いてきて、「まな板の上の鯉」の状態にある学生の謙虚な態度を利用してセクハラに及んでも許されるという錯覚に陥ることがあります。

就活は大抵初対面で行うものなので、若い学生に対して面接官は気兼ねなく不用意な言動に及び易いという傾向もあります。

学生側も内定が欲しいと言う強い願望に支配されているのでガードが低く、多少の不条理があっても採用されることが最優先だというバイアスに抗いきれない弱さがあるものです。

また親しい先輩の紹介など内定をふいにしたくない場合にはどうしても我慢してしまうこともあります。したがって就活でセクハラを受けても泣き寝入りしてしまう例が多いことも事実です。

しかしながらもしセクハラが学生から告発されれば、加害者の社員は懲戒免職の憂き目を見る可能性もあるので、無意識に生活を賭けた大博打をやっているのと変わりません。

事の重大さに気付いていない加害者の社員は事件の発覚とともに我に返り後悔することになりますが、どんなに就活中のセクハラが世間で騒がれ問題視されても、自分だけは大丈夫という正常化バイアスが働くのでなかなかセクハラは減ることが無いのです。

また古い体質の男性優位の会社では未だに日常的にセクハラまがいの行動を行っていることもあるため、新卒の学生に対しても日頃の行いが欲望のままに露呈してしまうと言う面も否定できません。

セクハラに反発する学生に対して、逆にセクハラを受け入れることが処世術であり成熟した社会人の常識であると大真面目に説く人もいるくらいです。

就活におけるセクハラへの対処法

就活は面接官などの個人と学生が交渉するものではなく、会社と学生が採用についてお互いの長所短所を探りあいながら決めていく過程と言えます。

採用担当職員は単なる窓口であって、面接官などが個人的に学生に接触してこようとしたら権限濫用の疑いがあると考えてもかまいません。

個人的な接触を他の職員には秘密にして欲しいと言われたら、十中八九下心があると考えても間違いありません。

個人的に接触してこようとしたら、会社に確認してみることも重要です。「面接担当の○○さんからカフェに呼び出されたのですが、急用で行けなくなったのでお伝えください」などと探りを入れてみることも有効です。

ホテルなどではなくても現実的に性交渉が可能な密室などに直接呼び出されたら、一人でうかつに近づかないことが重要です。

性交渉に及ばない軽い身体接触については、決して甘受する態度を見せないようにすることが重要です。電車の痴漢と同じで少しコンタクトして抵抗が少なければどんどん助長してくるものです。

初期段階できっぱりと「やめてください」と拒絶の意思を示しましょう。それでもしつこい場合はさっさと退室しましょう。就活の段階でセクハラが行われるような会社は、採用されてもろくなことはありません。

セクハラに該当する言葉については判断が分かれることもあり、微妙だな?と迷ってしまうことも少なくありません。「君のそのダサい格好じゃ女性客に嫌われるよ」と男子学生が女性職員に言われた時など、たしかに言われた方は屈辱的な感情を抱きますが、これがセクハラなのかどうか識別が難しいものです。

特にセクハラを受けやすいという自覚のある学生は密室の少人数面接に録音機を持ち込んで録音しておくことも効果的かもしれません。録音してあれば面接後に第三者に聴いてもらってセクハラかどうか判断できるからです。

セクハラは刑事事件となりうる犯罪行為です。刑事事件は被害の内容や加害者の特定について被害者が証拠を保全する必要があります。

セクハラは物理的に残存する証拠が少ないので、録音や録画が重要な証拠になります。

たとえ録音や録画が残っていても特に性交渉については被害者の同意の有無の認定が重要なポイントになりますので、明確に拒絶の意思を示した事実が認定できるような言動を記録に残せるように行動しなければなりません。

就活でのセクハラを防止するために会社は何をしてくれるかを見極めましょう。

就活でのセクハラを防止するために会社は何をしてくれるかを見極めましょう。

大きな会社であればハラスメント対策の部署があります。これは社内のハラスメントについて防止や対策を担当する部署なので、未就労の就活生の訴えまで聞いてくれる保証はありません。

ただ加害者は社内の人間なので、就活生の声を一切無視するとしたら社会通念上道義的責任を問われうる問題です。

セクハラは個人が行うものですが、就活という採用担当者と学生が対等でない関係において接点を持てば必然的に発生しうる危険性をはらんでいます。

採用担当者に限らず就活という場面において採用権限のある会社側の人間が学生とコンタクトを取る局面があれば、どうしてもセクハラのリスクが生じます。

会社はこの構造的な問題を直視して社員個人の倫理観に依存せず、特に学生と接触する関係社員に対して予め厳重な注意を喚起しセクハラがあれば厳罰で臨む旨を随時明示しておく必要があります。

また学生と社員が就活の局面において個人的接触を持たないよう、会社は採用のプロセスを厳重に管理する義務があると言えます。

会社は学生に対しても「もし弊社社員が内定前に個人的に接触してきたら必ずこちらに通報してください」などと通告しておくことが望ましいといえるでしょう。

このような対応をきちんと決めている会社はコンプライアンスもしっかりしており、入社しても安心して働けるという保証の根拠になりえます。

会社のハラスメント防止担当部署が形骸化していないかどうかも学生が会社を選ぶ基準のひとつとして重視すべきです。

就活におけるセクハラ被害に遭った場合にどこに相談すればよいのでしょうか?

就活におけるセクハラ被害に遭った場合にどこに相談すればよいのでしょうか?

就活に臨む学生は誰からもサポートを得られなければセクハラに対して無防備であり、採用という人参を目の前にぶら下げられてはセクハラに対して耐え忍ぶことしかできません。

もし就活でセクハラに遭ってしまったら大学に相談してみようという学生もいるかもしれません。大抵の大学にはハラスメント対策室というものがあります。

主に学内でのハラスメントに対応する部署ですから、学生が就活でセクハラに遭ってもアカハラと同様に対処してくれるかどうかは、大学にもよりますが期待はできません。

就活生は会社とまだ雇用関係が成立していないので、労働局や労働基準監督署に訴えてもやはり効果は期待できません。就活は一過性のものなので既に採用されて勤務している社員と異なり、事後的な救済策が奏功しにくいという特殊性があります。

民間の特定非営利活動法人でセクハラ相談を行っているところもありますので、電話してみると良いでしょう。

就活中のセクハラは特殊なケースとはいえ、場合によっては弁護士も紹介してくれる場合もありますし、就活継続中の場合には今後の対応についてアドバイスをもらえます。

弁護士に法律相談をすることになると、学生には躊躇する人も少なくありません。最初だけ無料の弁護士相談もありますが、正式に弁護士に相談することになると30分で5000円程度かかる場合が多いです。

法律問題となるとセクハラの認定と証拠収集に基づき、加害者と会社に損害賠償請求をすることになります。

裁判にならなくても調停や和解で解決できますが、加害者の懲戒免職、内定確保や謝罪請求よりも原則的に金銭解決が多くなります。

就活にもセクハラのような世間に存在する犯罪の危険が潜むことを忘れないようにしましょう。


セクハラは被害者の人権を踏みにじる行為ですが、人間の本能的欲望の発現として永遠に消えないものなのかもしれません。

したがって、会社や大学もセクハラが就活においても起こりうることを広く周知し社員や学生を教育しておくべきであり、学生も就活に臨む前にセクハラに遭ったらどのように対処するか決めておくことが重要です。

どんなに入社したい会社であっても、セクハラを告発して改善できないような所と判明したら入社しないことも必要でしょう。

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