就活で採用担当者が評価する「趣味」「特技」の書き方

就職活動の一環で履歴書を書き始めた時、趣味・特技の欄に筆を止めてしまう人は少なくありません。

一体何をどのように書けば良いのか迷ってしまいがちな項目ですが、順を追って理解していけば、必ず良い考えが思い浮かぶことでしょう。その内容について詳しく解説します。

就職活動で趣味や特技を問われる理由を考える

そもそも就職活動において、趣味や特技といった個人的な話題に、あえて触れる必要があるのでしょうか。そのような疑問を感じてしまい、何も書けないと悩む人がいるかもしれません。
しかし、この趣味・特技は重要な確認事項の一つと言えます。というのも、一般的にこの手の質問は、「その人の考え方や性格、個性を知るため」に行われています。また、就職活動という緊迫した場面において個人的な話題に触れることで、緊張感を和らげ、自分の言葉で語って貰うために質問することもあります。

これらは、杓子定規なやり取りにならないようにする工夫の一つです。例えば、「この会社に就職したい理由はなんですか?」という質問は、ほとんどの企業が問う内容ですので、回答がテンプレート化しがちであり、中には暗記した上で面接に挑む人もみられる程です。しかし、企業側はその人がどういった長所・短所を持つ人物であるかを知り、会社全体や配属先において、長所を活かして働いて貰えるかどうかを判断しようとしています。

つまり、型にはまった回答よりも、個性がうかがい知れる生き生きとした言葉を求めているので、こういった個人的な話題にあえて触れていると考えられます。無意味な質問であると捉えず、自分のことを知って貰おうという気持ちを持って回答すると良いでしょう。

本当に楽しんでいること、得意なことを書こう

改めて趣味や特技について問われると、何を書けばいいのか戸惑う人も多いでしょう。

まず、最も重要なポイントとして、「自分自身が本当に楽しんでいること・得意としていること」を書くことが欠かせません。その趣味の面白いと感じるポイントや、特技を取得した経験談について、口頭ですらすらと語れるような事柄を選択しましょう。というのも、中には採用担当者の印象を良くしたいと思うあまり、よく知らない分野を無理やり趣味・特技としてしまうことがあります。しかし、本心から楽しんでいることや得意としていることを語る文章と、知識として知っていることを語る文章には、少なからず差が生じます。それらを補強するような具体的なエピソードや実績などを書くことは難しく、更に担当者は何十、何百、何千という履歴書に目を通していることも多いので、簡単に偽りが露見してしまう恐れがあるのです。

また、仮にどうにか書類審査には通過したものの、いざ面接となった時に、問題が発生する恐れがあります。なぜならば、履歴書に書いた同じ趣味・特技を持つ面接官がいるかもしれないからです。共通事項を持つ者同士、話題が盛り上がると思いきや嘘だった、という流れになってしまうと、ほとんどの場合、面接官の心象が悪くなってしまうことでしょう。はたまた入社後、新人として迎えられた後で「同じ趣味なんだけれど」と話しかけられる可能性も否定できません。このように、あらゆるリスクが潜んでいるため、本当に楽しんでいること、得意と言えることを書くことが大切です。

趣味や特技をアピールポイントにつなげる書き方とは

自分の趣味・特技がいくつか浮かんだら、今度は、就職活動の履歴書に相応しいアピールポイントと結びつける作業に入りましょう。というのも、何かを楽しんでいる、あるいは得意としているという事実も大切なことではありますが、就職活動を行う上では、その経験を通じて育まれた能力などをアピールすること、自分の長所を具体的に相手へ伝えることが更に重要視されているからです。

例えば、長年スポーツを楽しんでいる場合は、継続力や忍耐力などに繋げられます。もしくは、効果的なトレーニング方法を考える合理性などがアピールしやすいでしょう。スポーツを辞めてしまいそうになったトラブルや、大事な試合の前に起きたトラブルなどのエピソードがあれば、それを話題の中心にすることもおすすめです。トラブルと聞くとネガティブな印象を招きそうだと不安に思うかもしれませんが、そこから解決策を見出す力やストレス耐性などをアピールする、絶好のチャンスと言えます。

インドア派に人気な読書が趣味の場合、能力に繋がるアピールポイントが少なく、困ってしまうかもしれません。そのような時はまず、「趣味は読書」とするだけではなく、どのようなジャンル・作家を好むかを明記すると、話が膨らみやすくなります。例を挙げると、推理小説が好きなので洞察力が高い、純文学を読み解くのが好きなので洞察力や文章を書く能力に自信がある、といったアピールが考えられます。

また、「本ならば何でも読む」という場合は、月に読む本の冊数などを示しつつ、自身の集中力や速読力などをアピールしても良いかもしれません。そうではなく、本を通じて知り合った人や、興味を持っている世界・分野などを通して、入社を希望する理由づけにすることもできるでしょう。例えば、「本を読んでいたら知り合った高齢女性との交流を通じて、人をケアする仕事につきたいと考えた」といった展開方法があげられます。

それから、特技をアピールポイントにする場合は、具体的な実績や数値を示す方が印象付けやすくなります。特技とは「自信をもっている特別な技能」を意味する言葉のため、取得した資格試験の点数や大会出場の結果などがあることで、より特別さを際立たせることができるのです。なお、必ずしも人と比べて優れている必要はないので、良い成績や結果を得ていなければならないということはありません。自分自身が自信をもって人に紹介できることをあげましょう。

マイナーな趣味や特技はアピール力が高い

趣味・特技が浮かんだものの、マイナー過ぎて困った・就職活動に相応しいか悩む、という人もいるかもしれません。しかし、他にはないマイナーなものであれば、むしろ企業側に強い個性をアピールできる武器だと考えられます。

例えば、初対面の人に「世界各国の国旗を見たら、すぐその国名をこたえられる」や「柑橘系ジュースを飲めば、商品名を当てることができる」といった特技がある、と自己紹介されたら、非常に強いインパクトを受けることでしょう。同様に、趣味として「道の石畳を数えて歩く」や「自然に関するドキュメンタリー番組の視聴」などと言われたら、マイナー過ぎてなかなか忘れられるものではありません。こういったことから、同じ就活生たちの中に埋没しないで済む、つまりは就職活動における武器であると言えるのです。

マイナーな趣味・特技であろうとも、それを元に自身の能力をアピールする点は、メジャーな趣味・特技と何ら変わりありません。

例えば、何かを暗記する特技ならば、暗記するために行った努力や苦難について話ができることでしょう。石畳を数える趣味ならば、これまで最も数えにくかった道を数え切った話題から、集中力の高さがアピールできます。このように、一見すると「それは就職活動に役立たないだろう」と思うような趣味・特技であっても、きちんとしたアピールポイントに繋げることはできます。まずは、率直に自分の趣味・特技を洗い出し、そこから自分自身の長所や人となりの話題へと、発展させていくことが大切です。

趣味や特技が思いつかない時は

どれだけ考えても、趣味や特技が何もないと苦悩する人や、就職後などを考えると自分の趣味を相手に伝えたくないと考える人がいることでしょう。好きなことはあるけれども、就職活動におけるアピールポイントに繋がるほどではない、というケースも含めれば、そういった悩みを抱えている人は珍しくありません。また、そう考えることも個人の自由と言えます。しかし、履歴書の該当欄を空白にしてしまうと、手を抜いたり回答を避けたりしたようなネガティブな気持ちを抱かせてしまいかねないため、出来る限り回避したいところです。

このような場合における対処法の一つとして、率直に「特になし」と回答することがあげられます。社会人として活躍していても、特に趣味は無いという人はいるので、学生のうちから特に趣味が無い人物がいても不思議ではありません。それも一つの立派な回答として、胸を張って書きましょう。

ただし、これまで打ち込んだ学業経験など、他の項目についてはしっかりと書かないと、無気力な人だという印象を与えかねない点に注意が必要です。社会人として働く上では、意欲や向上心を求められることも多いので、良い結果につながらない恐れがあります。面接の際に話題になった場合は、「趣味などはありませんが、他のことにしっかりと打ち込んでいました」という話の展開がおすすめです。

また、回答が面倒で書かなかったのかもしれない、などという誤解を招かないように、履歴書全体をより丁寧に作成すると良いでしょう。

特になしという回答は避けたい場合は

趣味が無いものの、「特になし」と回答したくないと考える人は、就職活動をきっかけに趣味・特技を作ってしまう方法がおすすめです。ただし、前述した通り本当に楽しんでいないことを趣味として回答する、いわゆる付け焼き刃な対応はリスクをはらんでいるので注意しましょう。その問題を回避するためには、できれば「就職活動をきっかけに」という一言を添えられる趣味・特技を持つと良いでしょう。

例えば、今まで興味はなかったものの、就職活動を通じて企業のIR情報を見比べる趣味ができた、などという話はインパクトがあります。就職活動に備えてワイシャツにアイロンをかけていたら、アイロンがけの魅力に目覚めたので今や家族全員分を担当している、というエピソードも面白いものです。就職活動をきっかけに、という展開も非常に説得力があります。

また、素直に「これまで無趣味だったものの、社会人として働く上でも、なにか趣味を持った方が良いと持ったから」と説明する方法も良いでしょう。実際、企業側は社会に出た後でのストレス発散方法や、余暇によるオンオフの切り替えができるかどうかをチェックすることがあります。その一つが趣味の有無なので、今から先を見据えている姿勢は評価に値することでしょう。幾つになっても挑戦する姿勢としてアピールすることもできますので、就職活動をきっかけにした趣味・特技づくりはおすすめです。

趣味や特技で自分を語ろう

履歴書や面接というごく限られた書類や時間の中だけで、一人の人物の才覚を見極めることは容易ではありません。その厳しい制約がある中で、その人について深く知るために趣味・特技という質問項目を設けていると考えられます。

このため、くれぐれも無理に取り繕うのではなく、素直に自分自身を表せる事柄を回答することが大切です。就職活動においては、能力や資格の有無が重視される傾向にはありますが、担当者に「この人と一緒に働きたい」と思わせることも欠かせません。そのための切り口として、最も個人的な話題に及びやすい趣味・特技の項目を活かすと良いでしょう。

 

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