転職市場でも多くの企業が採用に力を入れている第二新卒ですが、そんな第二新卒の中でも前職を一年未満で退職した人は採用されにくいという事情があります。

この記事では、なぜ一年未満で退職すると危険なのか、また第二新卒でも転職成功させるコツについて紹介します。

第二新卒とは?一年未満の退職も第二新卒と言える?

そもそも第二新卒とはどのような状態を指すのでしょうか?

ここでは第二新卒の定義や、新卒で入社した会社を一年未満で辞めた人も第二新卒と呼べるのかどうかについて紹介します。

一年未満で退職すると「既卒」にカウントされる可能性あり

実は第二新卒には、厚生労働省のような省庁が明確に定義したようなものはありません。

しかし、一般的には「最終学歴となる教育機関を卒業してから就職した企業に1~3年間務めた者」と言えるでしょう。では、1年未満で辞めてしまった人は新卒には分類されないのでしょうか。

実はこのあたりも「新卒」の定義同様、明確に定義されているわけではありません。

しかし、実際に1年未満(8ヶ月)で前職を退社した新卒社員が次の企業を受けようとした際、「君は第二新卒というより、既卒に該当する」と、とある転職エージェントからアドバイスされた事例があります。

この例が事実だとすると、一年未満で退職した人は第二新卒に含まれず、既卒として扱われることになります。

既卒にカウントされると第二新卒に比べて不利になる?

一年未満で退職した新卒が第二新卒ではなく既卒に分類されるということは、前職の職歴は加味されずに書類選考から挑戦しなければいけないということです。

前職でわずか数ヶ月とはいえ身につけてきたビジネスマナーが評価の対象としてカウントされなくなる可能性を考えると、既卒にカウントされた時点で第二新卒として転職活動をするよりも不利になると言えるでしょう。

ただ、「既卒歓迎」のようなタグをつけて求人をかけている企業もあるため、転職活動をすること自体は可能です。

それでも職歴として前職がカウントされなければ、「第二新卒枠」を設けて募集しているような企業には応募できなくなります。

一年未満で退職していてブランクがあるとさらに危険

一年未満で退職していると、企業によっては「第二新卒」で募集をかけている企業には応募できない可能性が高い中、さらに転職を難しくするのが「ブランクがあるケース」です。

実際にあったケースを例に挙げて説明しましょう。

新卒を2ヶ月で退社し、療養のために2年休んだAさん
新卒で入社した会社で、「新人研修」という名目で新卒だけが集められた合宿に参加しました。
この合宿は山奥の寺で行われ、朝6時半に起床して社訓を合唱し、寺の掃除をして精進料理を新入社員全員で食べます。

座禅に掃除、体力をつけるという名目での山登りなどが行われ、インドア派で体育会系でもないAさんは精神的にも肉体的にもかなりのダメージを負ったそうです。
その合宿の最終日、Aさんは取り乱して上長に「退職したい」旨を申し出たものの、まずは現場で働いてから考えろと一蹴され、現場での長時間労働を体験することに。

さらに退職したい意向が固まったAさんは、上司の引き留めにも応じず、退職代行会社を利用して、わずか2ヶ月で退職しました。

その後転職活動しようと思っても、精神的なダメージが残ってしまい、転職活動をしないまま2年間を自宅で過ごしたAさん。この2年間、アルバイトもせずに過ごしたため、完全なブランク期間となり、次の転職が決まるまでにさらに1年半がかかってしまいました。

Aさんは「応募した企業からは、2年も何をしていたんだと必ず聞かれる。でも研修で心も体もボロボロになった事実を伝えたら、弱い人間だと思われて採用されないと思い、どうしてもその質問には答えられず無言になったことが原因だったと思う」と当時を振り返ります。

できれば一年未満の退職は避けるのがベスト

これまでのことをまとめて考えると、新卒で入った会社を一年未満で辞めることは、既卒扱いになることや、ブランクが空く要因にもなるため、できるだけ避けるのがベストだと言えるでしょう。

しかし、もちろん例外もあります。

上記で紹介したAさんのように、体も心も悲鳴をあげるような労働環境の場合、「我慢して一年以上働き続けること」だけが正解ではありません。

自分の身を守るために、賢く逃げる勇気も必要です。そもそも厚生労働省によると、新卒者のおよそ3人に1人が3年以内に離職しているという事実もあります。

もはや終身雇用が当たり前ではなくなった令和の今、何が何でも1年以上続けなければならない理由は、消えつつあるのです。(参考:厚生労働省 「新規学卒就職者の離職状況(平成29年3月卒業者の状況)」)

一年未満でも大丈夫!?第二新卒で転職成功させるためのコツを徹底解説

一年未満で前職を退職した場合、転職活動を成功させることは難しいのでしょうか。

実はあるポイント・コツをしっかり踏まえておくことで、転職活動を有利に進めることもできます。

そこでここでは、一年未満で前職を退職した第二新卒が転職を成功させるために気をつけたいポイント・コツについて解説します。

ブランクを空けないのが鉄則!在職中の転職活動がベスト

まず、あなたがまだ退職しておらず、「一年未満で退職しようかなと思っている在職中の新卒社員」である場合、ブランクを空けないことがポイントです。

これを簡単に実現する方法はただ一つ、在職中に転職先を決めて内定をもらってから退職することです。

この記事でも紹介したように、一度一年未満で退職して、さらにブランクを空けてしまうと、次の転職の際に前職で起きたことについて、事実よりもネガティブにとらえられてしまい、転職活動が不利になってしまいます。

できるだけ在職中に転職サイトやエージェントを活用して、次が決まるまでは辞めないことをお勧めします。

あなたが「すでに一年未満で退職してしまい、今現在休職中である」場合、ブランクをいかに縮めるか、またいかにブランクにもっともらしい説明を加えるかがポイントになるでしょう。

第二新卒向けの転職エージェントを活用し、希望条件の中で最短で内定が狙える求人を紹介してもらうことをお勧めします。

転職エージェントの多くは、応募書類の添削や、面接練習などのフォローも万全です。

この時、自分なりにブランクの説明を書いてみて、プロのコンサルタントなどに添削してもらうことで、「この理由なら、ブランクが空いても仕方ない」と企業に思ってもらえるような内容にすることができるでしょう。

会社説明会では質問を重ねて熱意をアピール

一年未満で退職した第二新卒が転職活動を有利に進めるために欠かせないのが「企業研究」です。

ただでさえ一年未満で退職した事実に対して、保守的な企業であればあるほどポジティブな目で見てもらうことは困難です。

「やる気がない人間なのではないか」「働くことに向いていないのではないか」と勝手に評価されないためにも、「20代ならではの確かなやる気」を深い企業研究でアピールしましょう。

具体的には会社説明会などに積極的に参加し、採用担当とのコミュニケーションを深めておくことがお勧めです。最近では新型コロナウイルスの影響で、会社説明会もWebで行われることが増えてきました。

ZOOMなどのWeb会議ツールを使用して説明会が行われる場合、採用担当に対して積極的に質問していくことも有効手段です。

グループで行われる説明会の中で積極的にアイコンで挙手して、企業の理念や展望、実務についての質問を重ねて掘り下げていくことで、あなたの前職に対する偏見よりも「やる気がある人だ」というポジティブな印象を植え付けることができるでしょう。

面接まで進めたら前向きな退職理由とフレッシュさでアピール

書類選考の時点で採用担当に「良い理由」で顔を覚えてもらうことができれば、前職を一年未満で退職していたとしても、それだけの理由で門前払いされることは起こりにくいはずです。

「説明会のときに積極的に質問してきた人だ。前職は短期間で退職しているが、まずは理由を聞いてみよう」という方向に持っていくことができれば、ここからは面接で採用の方向に持っていくことができるでしょう。

採用担当がここで気にするのは、やはり「なぜ数ヶ月で、せっかく新卒で入社した会社を辞めてしまったのか」という退職理由です。

短期間での退職というだけでネガティブに評価することもありますが、その前に採用担当とある程度コミュニケーションが取れる関係になっていれば、挽回のチャンスがあります。

事実ベースで退職理由を伝える必要はありますが、重要なのは「前向きな退職理由」として面接官に伝えることです。

先輩からの当たりが強く、ストレスが強すぎて退職した…という場合、「人間関係に耐えられなくなり退職しました」とネガティブに伝えてしまうと、それだけで面接通過率は下がるでしょう。

同じ事実であっても、以下のように答えることで、面接通過率は向上します。

「先輩社員からは多くのことを学ぶことができましたが、人間として尊敬できない部分を目にしてしまい、自分自身が業務の中でこれ以上成長するためには転職するという道を選ぶしかありませんでした。御社の会社説明会では、尊敬できる○○様とすでになんどもコミュニケーションを取らせていただいており、素晴らしい環境の中で働けると期待し、応募させていただきました」

というように、ストレスを感じた人間関係について言葉を選んで伝え、退職理由となった要因が転職先では解決される見込みがあることも申し伝えることで、結果的に退職理由をポジティブなものに言い換えることができるでしょう。

まとめ:一年未満の退職は既卒に分類されやすい!書類と面接でやる気をアピールできるかどうかがカギ

一年未満で前職を退職してしまうと、第二新卒として扱われることもありますが、実際に「既卒」として扱われ、前職の職歴が正式にカウントされないまま、転職活動に不利になる可能性があります。

そのため、精神的に耐えられないなどの事情がなければ、一年未満で退職するのはあまりお勧めできません。

すでに一年未満で退職してしまったという人は、できるだけブランクを空けずに次の求人に応募しましょう。

今は既卒向け・第二新卒向けの転職エージェントも充実していますから、このようなエージェントを活用して、プロのアドバイスをもらいながら、納得してもらえるような退職理由を添えて応募書類を提出したり、面接での受け答えができれば、転職成功率はアップします。

在職中で「一年未満で辞めようかと思っている」人の場合は、できるだけ一年は勤続してから、在職中に転職活動を始めるようにしましょう。

そうすることでブランクを空けず、さらに既卒ではなく第二新卒枠で転職活動を始めることができ、通過率もアップできるでしょう。