商社の仕事って?就活生が知っておくべき商社の仕事内容

いつの時代でも人気な業界である商社の世界。しかし、実際に何をしているのか、その実態は分かりにくいものです。

実際に働き始めたらイメージと違った、とならないように、就活を始めるまえに、商社が具体的に何を行っているのかを確認しましょう。

商社の主な仕事内容は?「トレーディング」と「バリューチューン」について

商社の主な仕事内容は?「トレーディング」と「バリューチューン」について

「世界を股に掛けた、グローバルな仕事」というイメージもあれば、「ただ単にモノを右から左に流すだけ」というイメージもある商社の仕事。

商社の仕事は基本的に、「企業から企業」への、いわゆるB to Bの仕事のためか、実態が掴みにくいかもしれません。

商社の行う主な仕事は、「トレーディング」「バリューチェーン」の構築です。

トレーディングとは、メーカーにできるだけ安く原材料を仕入れられるルートを作り、メーカーに代わり仕入れを行う仕事です。商社の仕事のイメージに一番近いのがこの仕事でしょう。

仕入れるモノは多岐に渡り、食品はもちろん、石炭や金属、さらには情報なども含まれています。端的に言うと、買い手と売り手とを繋ぐ役割です。

しかし、インターネットの発達に伴い、メーカーは自分達で情報を得ることが出来るようになりました。そして、商社を間に挟まずに、原料を自分達で調達、売買する直接取引をすることが増えたのです。

その結果、商社はトレーディングだけでは企業が成り立たなくなったため、新しく「バリューチェーン」という事業も始めました。これにより、多くの商社が「物流のプロセスの一部」から、「製造も行う新たな価値創造をするもの」へと変化しました。

では、どのような仕事なのでしょうか。一つ例を挙げながら説明しましょう。

石炭や鉄鉱石などの金属を手がける商社の場合、海外からの資源調達はもちろんですが、そこからのモノの製造や加工も、子会社、下請け会社に行わせ、他メーカーへの販売も行うというのがバリューチェーンです。

つまり、原料を売り手から買い手に流すだけでなく、「原料加工」や「製品、部品製造」も行うということです。こうすることで、自分たちの仕事に新たな付加価値を付けたのです。

商社のもう一つの仕事、「事業投資」

商社のもう一つの仕事、「事業投資」

いくら新しい事業を進めているとはいえ、物流や貿易の範囲にとどまるのでは、と思われるかもしれません。

しかし、商社の仕事はそこだけに留まりません。「事業投資」も、商社の大きな仕事の一つです。特に、総合商社で多く行われています。

では、なぜ事業投資を行うのでしょうか。例を挙げながら説明しましょう。例えば、とある小売店のチェーンを持つ企業へ投資したとします。

すると、その小売店は企業としての価値が向上し、その上、投資され資産が増えたため、より事業を広めることが出来るようになります。

そして、売り上げが上がると、商社にもメリットが生まれるのです。

小売店に日用品や食品が並ぶまでには、それらを作るための原料の仕入れと、製造が必要になります。これらはトレーディングとバリューチェーンを構築している商社の仕事です。

これらを消費者に販売するのは小売店の仕事ですが、そこでの売り上げが上がれば結果的に商社の利益にも繋がります。

また、小売店側の業績が上がり、企業としての価値が高まると、そこに投資をして株を保有している商社の価値も上がります。事業投資をすることによって、商社は様々な利益を得ることが出来るのです。

商社で働く人の働き方、給料や労働時間など

商社で働く人の働き方、給料や労働時間など

商社で働く、いわゆる商社マンの給料は、会社の規模にもよりますが、大手の場合はかなり高めです。

年収は、20代で500~800万、30代では1000万を超えるケースも少なくありません。商社マンの生涯年収は4~5億とも言われており、サラリーマンの平均である約2億円の倍近くにあたります。

しかしそれは、商社の事業展開が広く、働く人は激務になり、残業代が多く支払われているからとも考えられます。

労働時間は、部署や業務内容にもよりますが、基本的には9~18時のような実働8時間です。休みも、土日祝日という一般的な休みのケースが多いようです。

しかし、業務外での仕事もあります。主なものは、取引先との接待です。仕事の後に接待で食事へ行ったり、休日に接待でゴルフへ行くなど、業務外での人間関係の構築をする必要があります。

また、商社で働く上で大変な点が2つあります。1つ目は、繁忙期になると突然忙しくなるという点です。

商社は、常に忙しいというわけではありません。しかし、大きなプロジェクトが入ったりすると、何度も海外出張をしたり、帰国してすぐに仕事をしなければいけなかったり、毎日遅くまで働いて、終電で帰らなければいけなかったりと、かなり忙しくなるようです。

2つ目の大変な点は、転勤が多いということです。大手の商社は、国内外問わず複数の事業所を持っています。そのため、20~30代の場合、1~3年周期で転勤があると考えてよいでしょう。

また、国内での転勤だけではなく、海外赴任も少なくありません。海外赴任と聞くと、少しワクワクするかもしれませんが、場合によっては日本よりも住みにくい場所に転勤になることもあります。

例えば、インフラ整備や資源開発などを手がけている商社の場合、発展途上国への赴任が多くなるでしょう。

こういった大変な点の多い商社マンですが、そのなかでやりがいを見つける人が多いのも特徴です。

一度に数億、数十億のお金が動くことも珍しくないのはこの業界だけでしょう。また、契約が決まりプロジェクトが動き出せば、莫大な人数の人が動きます。

そういった、ダイナミックな仕事を成功させたときの喜びは、この業界でしか味わえないものでしょう。

また、様々な事業をしている商社ですので、一人がする仕事の種類も様々です。そういった中で、短期間でも人間的な成長を感じれることもやりがいの一つになるようです。

就活を進める前に「総合商社」と「専門商社」の違いを把握しよう

就活を進める前に「総合商社」と「専門商社」の違いを把握しよう

商社には「総合商社」「専門商社」があります。どちらも、就活サイトなどでは「商社」と一つのカテゴリーにまとめられてしまっていることが多いです。

しかし、働き方や行っている事業などは大きく異なるので、就活を進めていく前に、特徴を把握しておきましょう。「総合商社」は、その名前の通り、様々なモノを扱います。

「ラーメンからロケットまで」と形容されることもあるほどです。基本的には、幅広い分野でのトレーディングや、バリューラインの構築を行っています。そのため、物流はもちろん、原材料の調達や、製品の製造、加工流通、販売も手がけます。

また、先ほど述べた事業投資をメインで行うのは総合商社です。事業投資に興味のある方は、専門商社よりも総合商社の方を視野に入れるのがいいでしょう。

一方「専門商社」は、総合商社のように幅広く様々なことはせずに、特定の分野に特化しているのが特徴です。売り上げ比率の50%以上が特定の商品である商社がこちらのカテゴリーに含まれます。

特定の事業分野に特化しているため、独自のノウハウや、他社とのコネクションが強い傾向にあるのも特徴の一つでしょう。専門商社のメインの事業はトレーディングですが、その専門知識を生かして、コンサルティング事業や、ファイナンスを行う専門商社も多くあります。

専門商社は、いくつかの種類に分けることが出来ます。1つ目は、「メーカー系専門商社」です。特定のメーカーを基盤にしており、そのメーカーの商品を売ることがメインの事業です。

2つ目は、「総合商社系専門商社」です。総合商社の特定の分野を担当する専門商社や、総合商社からの事業投資を受け、子会社化した専門商社のことです。

総合商社では扱わないような専門的な案件や、小規模案件などをメイン事業としています。

3つ目は、「独立系専門商社」です。どこにも属さない専門商社で、単独で事業を行っているためか、独自の歴史やノウハウ、他社との繋がりを持っている企業が多いです。

それぞれの特徴から、就職先を決めるときに注意すべきポイントがいくつかあります。

総合商社の魅力は、事業投資を行っているという点や、バリューチェーンを行っているため、様々な分野で活躍することが出来るという点です。しかし一方で、どこに配属されるのか分からないというリスクもあります。

行きたい分野があるにも関わらず、それとは全く関係のない分野に配属されてしまうリスクがあることは考慮しておきましょう。

一方専門商社では、そういったリスクを気にする必要がありません。

しかし、事業投資を行っている専門商社は少ないため、事業投資に興味のある方は、専門商社を避けたほうがいいでしょう。

商社に就職するために気をつけるべき就活のポイント

商社に就職するために気をつけるべき就活のポイント

基本的な就活のポイントを押さえた上で、特に気を遣うべきポイントが二つあります。

1つ目は、きちんと企業の情報を集めるという点です。先ほども述べましたが、商社の事業は基本的にはB to Bです。

そのため、普段消費者として生活していると、その商社がどのようなことをしているのか、あまりピンとこないでしょう。どのような企業なのかを把握するためには、「企業メッセージ」や「事業内容紹介」、「中期経営計画」などに目を通すといいでしょう。

2つ目のポイントは、きちんと伝わる志望動機を考えるという点です。

まず、自分の伝えたい結論を先に持ってくるようにしましょう。そうすることで、どのようなことを伝えたいのかが明確になります。

これは、エントリーシートはもちろん、面接などでも気をつけるべき点です。また、なぜこの業界を志望したのか、さらにはなぜその企業で働きたいのかを明確にしましょう。

特に後者は重要です。同じ業界なら他の企業でもいいのでは、と思われないような志望動機を考えておきましょう。

商社の仕事は「モノを流す」だけではない!

商社は物流のプロセスの一部でしかない、というのはもう過去の話です。

時代の変化とともに、その仕事の内容も大きく変化しており、総合専門問わず、どちらの商社も様々な事業を展開しています。

そのため、商社で働くと、やることが多く、激務になるのは仕方のないことかもしれません。しかし、だからこそ、多くの人たちがその中で、仕事にやりがいを感じたり、自分の人間的成長を感じたりできます。

自分のやりたいことと商社の特徴を照らし合わせながら就活を進めることで、そういった世界で働く人間になることができるでしょう。

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