転勤は嫌だ!転勤なしの会社を探すための効率的な方法とは

新卒で初めての就職ともなると、まずは慣れるまでは同じ場所で腰を落ち着けて仕事がしたい、転勤のない会社に入りたいと思う人が多いものです。

今回は、そもそもなぜ転勤があるのかという理由から、転勤なしの会社をスムーズに見つける方法まで詳しく解説していきます。

どうして同じ企業内で転勤があるの?

どうして同じ企業内で転勤があるの?

「転勤」とは、会社の中での人事異動の一つです。昇進や降格、同じオフィス内での部署変更なども人事異動に含まれますが、転勤は勤務地変更を伴いますので、場合によっては家族と離れて単身赴任という勤務形態になります。

転勤ありの企業に就職すると、同じ会社で働き続ける限りは数年おきに何度も転勤を命じられますので、様々な事情があり家族と一緒に暮らしたいという人には痛手です。

転勤が発生する理由は、プラス面マイナス面ともにあります。マイナス面としては、その社員本人が仕事で大きなミスをしたり、ハラスメントなどの職務上ふさわしくない行為があった場合に、その社員の「処分」という意味合いで左遷されるといった内容です。

また、これは必ずしもマイナスの理由とは言えませんが、事業の拡大や縮小に伴い物理的に人員整理が必要な場合も含まれます。

実際に上記のような理由での転勤は割合としては少なく、企業が転勤を命ずる目的は、社内での人材育成や組織の発展が主です。例えば、同じ場所で同じメンバーが長く働いていると、人間関係のこじれ等も含め職場の雰囲気がマンネリ化し、社員の士気が下がることがあります。

これに対し人材の一部を入れ替えて流動的にすることで、組織が活性化し、ひいてはそれが業績を上向きにする場合もあります。

また人材育成の観点では、経験やノウハウをもった人材を別の配属先に配置して他の社員の能力の底上げを図ったり、従業員自身の持つ才能を開花させるためにあえて別部署への転勤を命じるケースもあります。

もし転勤を命じられた場合は断れる?

まず結論として、日本では「転勤は基本的に拒否できない」という考えが未だに根強いです。

しかし最近では、過去の様々な判例を基に法制度も徐々に整ってきていて、2002年には「改正育児介護休業法」が施行されました。この法律の一部として、本人の病気や家族の介護などの理由により転勤を断りたい従業員への配慮を事業主に求める内容が規定されています。

具体的には、事業主は従業員との面談及び本人からのヒアリングを通して、家族の状況や本人の意向を把握し、それでも転勤を命ずる場合は、その課題に対応できる代替手段があるかを確認する必要があります。こういった背景から、少しずつではありますが「考慮しうる事情がある場合は転勤を断れる」という風潮になっています。

他に転勤を拒否できる特殊なケースとして、会社側の「配転命令権の濫用(嫌がらせを目的とした転勤命令など)」が認められた場合や、採用の際に「勤務地限定」という条件で雇用された場合などがあります。

とは言え、このような正当な理由以外では転勤を拒否できないことに変わりはありません。一般的な企業は法律により人事権が大きく認められています。

それだけでなく、先程の「勤務地限定」の社員以外は基本的に、就業規則上の「転勤に関する条文」に合意した上で入社しているので、ただ単に転勤先が気に入らないからといった理由で断ることは出来ないわけです。こういったトラブルを防ぐためにも、転勤なしの会社を希望する人は、採用条件を事前にしっかりチェックするべきです。

また、同じ会社の中でも、転勤がありの職種となしの職種に分かれている事がありますので注意が必要です。


転勤なしの会社(業界・職種)って具体的にどんなもの?

転勤なしの会社(業界・職種)って具体的にどんなもの?

転勤なしの会社を効率的に探すには、転勤がないもしくは少ない業界や職種を知ることが大切です。では、転勤がないもしくは少ない業界について説明します。「特定の地域のみでビジネスを展開する」会社、例えば地銀や全国区でないローカルな私鉄などが挙げられます。IT業界もエリアが関係なく働ける業界です。

昨今のIT業界の人手不足により、企業は人材を集めるために「リモートワーク」と呼ばれる雇用形態も同時に取り入れています。これは企業に所属する従業員であるにも関わらず、出社がほとんど求められず、自宅や自分の好きな場所で仕事が出来るものです。このようにどこに居ても仕事が成り立つことから、転勤の必要は必然的になくなります。

学校と医療福祉関係もその一つです。転勤を希望しない人は、学校の中でも私学を選ぶ必要があります。教師だけではなく事務職や用務員などの間接業務もあり、特に私立大学はその給与の高さも相まって、常に多くの就職希望者を獲得しています。私学の場合、系列校や分校ができて転勤となる可能性もゼロではありませんが、それも限りなく低いと言えます。

医療福祉関係については、ごく一部の大きなグループ施設を除き、病院や福祉施設は地域密着型です。さらに、福祉業界はIT業界と並び、今後伸びていく分野として期待されていて、それに伴い人材確保が必要になるため、採用情報に「転勤なし」を強調して従業員を募集する施設も多くあります。

他にも、会社ではないですが地方公務員も基本的に転勤がないと言えます。

次に「転勤なし」が期待できる職種ですが、大きく分けて「専門職」と「事務職」が挙げられます。専門職の具体例としては、研究機関や開発機関の職員です。日本国内の企業(特に大手企業)の所有する研究所などの組織は、効率性の観点等から一ヶ所に集中していることが多いです。

大手企業は一般的に転勤が多いものですが、こういった専門職であれば、一つの拠点を中心に転勤なく働けて、さらに自分のスキルや知識も磨けるという一石二鳥の状態になります。

事務職は一般事務職とも呼ばれます。この職種については、採用の際の条件として「転勤なし」と定める会社が多くあります。職務内容としては経理、法務、総務、人事など事務関連全般で、大手企業であれば本社でずっと働けますし、地域に根づいた中小企業であっても会社の規模から考えて転勤はないと言えます。

なお、業界を問わず全体的な傾向として言えるのが、比較的規模の小さな企業(例:本社のみの会社)では、転勤を求められにくい事です。しかし各企業で当然条件は異なりますので、応募前に確認が必要です。

転勤なしの会社で働くメリットは?

転勤したくないと考えている人には、家族と離れたくない、個人的に転勤が嫌いだなど、それぞれの理由があるはずです。実際に、転勤なしの企業に就職することのメリットはたくさんあります。ここではその代表的なものを見ていきます。

まず、家族と一緒に居られる事です。新卒での就職には期待以上に不安が付きまといます。仕事でくたくたになった後に家事がちゃんとできるのか、食事の管理はどうするのかなど、経験の無いことに対して心配になるのも無理はありません。

そんな時に、実家からの通勤を前提に転勤なしの会社を選択すると、困った時や精神的に辛い時でも頼れる家族がそばにいますし、自分自身も家族を支える事ができます。また、実家に住むことで貯金もでき将来設計もしやすくなるので、金銭面でもメリットがあると言えます。

次に、職場や取引先の人と濃い人間関係が作れる事が挙げられます。例えば、営業職に限らず事務職でも取引先とのやり取りが必要な事がありますが、先方の担当者は同じ人なのに、こちら側だけしょっちゅう変わるのは相手に良い印象を与えません。長い付き合いがあるからこそお互いの信頼関係が生まれ、それが最終的に貴重な人脈になるものです。

職場環境でも同様で、人間関係を一から作り直す必要がなく、結果的に同僚や上司とも気心の知れた関係を構築できます。

他には「専門性が磨ける」というのも大きなメリットです。社員の転勤を頻繁に行う会社では、従業員に成長してもらうために様々な分野やポジションの仕事を与えようとする傾向にあります。

このような手法は、同じ企業内での出世目的であれば通用しますが、もし転職したいとなった場合に、専門性に欠けるため中途半端な印象を相手に与えてしまいます。転勤がない会社は、基本的にポジションごとに分けて採用するため異動がないとも言えます。

こういった会社は中小企業が多いのですが、大企業と比べて従業員に裁量がありますので、自身で試行錯誤しながら責任を持って業務を行わなければなりません。こうしてそのポジションに特化した努力を繰り返すことで、最終的に専門性が身につき次のステップへも進みやすくなります。

以上転勤なしの会社で働くメリットの主なものを紹介しましたが、この他にも、友達と会いやすい、マイホームが購入しやすい、結婚した時に単身赴任になる心配がない、などが挙げられます。

デメリットも知っておこう

デメリットも知っておこう

メリットがあると言うことは、それに対するデメリットも必ずあるという事です。転勤なしの会社を選択することは、家族と一緒に過ごせるという最大の利点があるため、どちらかと言えばメリットの方が強いですが、ここでは2つほどデメリットにも触れてみます。

まず、職場での負の人間関係を断ち切れません。育った環境も性格も違う人間同士が給料を対価として働く会社では、人間関係のトラブルは少なからずあり、それを理由に会社を去る人もいます。

転勤がないという事は、基本的に同じメンバーで働くことなので、その職場の雰囲気によっては居づらさを感じる事もあります。しかしこういった問題も、新しいメンバーの加入などで解消されるケースも多くあるので、一概にデメリットとは言えません。

次に、求人の内容や職種にもよりますが、一般的に転勤ありの仕事と比べて給料が安いことが挙げられます。特に事務職や「勤務地(エリア)限定」の社員はその傾向が強いですが、これも本人の頑張りや工夫次第で給与アップに繋げることも十分可能です。

したがって「転勤なし」イコール「給与が少ない」という構図には必ずしもなりません。

転勤なしの会社を効率的に探すには?

転勤なしの求人には、先に述べたような「事業所が一つ、または地域内限定である」「小中規模で社員数が比較的少ない」といった特徴があります。他にもインターネットを利用したメディア運営企業なども含まれますので、ネット経由で求人を探す際に、こういった条件で企業を絞り込む事ができます。職種から選ぶ場合は「新卒エリア職」「新卒勤務地限定」「新卒一般職採用」といった言葉から検索する必要があります。

また、最も手っ取り早い絞り込み方法は「転勤なし」というキーワードから検索することですので、是非試してみて下さい。

転勤なし企業への就職を成功させましょう

転勤なし企業への就職を成功させましょう

いかがでしたでしょうか。今回は新卒として転勤のない会社に就職を決めたい学生向けに、役立つ情報をまとめました。ひと昔前とは違い、現在は働き方の多様化が叫ばれています。

そんな中で転勤なしの仕事を希望する人は意外に多く、それに伴い企業側も「転勤なし」の条件付き求人を多く掲載しています。初めての就職ですので、生き生きと働けて、尚かつ自身を成長させてくれる企業に出会いたいものです。

この記事を参考に、転勤がなく、自分の希望に合う会社を是非見つけて下さい。

正社員なれるくんは、人材紹介を行う株式会社プロバイドジャパンが運営する第2新卒・高卒・フリーター向けの就活お役立ち情報メディアです。就活の基本情報からエントリーシートやインターンシップ、面接・マナー、先輩社会人の就活体験談を配信しています。