同じ会社で働いていても、正規雇用の正社員と非正規雇用のアルバイトなどでは、賃金や保障内容に違いがあると感じている人も多いでしょう。

実際に正規・非正規の間では明確な違いがあります。

そこで今回は正社員と非正規雇用枠の賃金・休日・福利厚生など保障の違いについて解説します。

正規雇用・非正規雇用とは?それぞれの特徴の違いを解説

まず正社員と非正規の違いを知る前に、そもそも正社員を含む正規雇用とは何か、非正規雇用とは何かについて解説します。

正社員は正規雇用!無期・フルタイムで働くのが特徴

正規雇用の枠に当てはまるのは、正社員だけです。

正社員の特徴は、雇用期限がないということと、労働時間が月で定められていることです。

雇用期限がないということは、転職などの本人都合で退職したり、倒産など会社都合で解雇になったりすることを除き、定年までずっと働く権利があることを指します。

そのため収入が安定していて、決められた拘束時間の中で会社が求める業務内容をおこなうという特徴があるのです。

勤務時間については、1日8時間・週5日勤務が一般的ですが、フレックス制を導入している企業などでは1ヶ月で160~180時間程度働けば、あとは何曜日に何時間働くかは自由としているところもあります。

また、「時短(短時間)正社員」という労働枠もあります。

例えば育児や介護などで長時間の労働が難しい環境になった正社員が、そのような事情で雇用形態を変更しなくても済むように、特定の期間だけ雇用形態を時短正社員として、普通の正社員同様の無期雇用でありながら、通常より少しだけ早く仕事を上がれる、少しだけ遅く出社できる、というものです。

時短とはいえ、雇用保険の関係上1日3時間などの短時間で働くということではありません。

雇用保険の限界ギリギリである1週間の所定労働時間が20時間以上になるように調整する必要があります。

それでも普通の8時間労働に比べてかなり負担は軽く、しかも正社員としての雇用枠内で働けるという、労働者にとっては嬉しい雇用形態でもあるのです。

正社員以外はすべて非正規雇用!アルバイトも契約社員も非正規

正規雇用が正社員だけであるのに対し、非正規雇用枠はかなりさまざまな働き方を含みます。

例えば、以下のすべてが非正規雇用です。

  • アルバイト
  • パートタイマー
  • 契約社員
  • 派遣社員
  • 臨時職員
  • 嘱託社員

いずれの雇用形態も、正社員との一番の違いは「雇用に期限があること」です。

年単位のものもあれば、プロジェクト単位のものもありますが、どれもが有期雇用であり、正社員と違って雇用契約が終了する時がいつか来ます。

そのため正社員に比べて収入が不安定になる人も多く、安定を求める人には向かないこともあるのです。

例えば派遣社員の場合、雇用契約を結ぶのは企業ではなく派遣会社であり、各派遣先によって時給が異なる仕事に次々と移り変わります。

時給1,000円の仕事もあれば、時給1,800円の仕事もあり、月の収入に変動が起こりやすいとも言えるでしょう。

正社員と非正規の違いを項目ごとに徹底解説

正社員と非正規雇用の一番の違いは雇用期間に定めだあるかどうかでしたが、他にも違いはたくさんあります。

ここでは気になる賃金・休日・福利厚生について、正社員と非正規雇用の違いを解説します。

正社員と非正規の賃金の違い

同じ会社で働いているにも関わらず、雇用形態が正規か非正規かによって、実は賃金にも少なからず違いが生まれています。

厚生労働省の調査によると、2005年時点では非正社員と正社員の差は 1.7倍、また、所定外給与やボーナスなどの特別給与額を含めた年収全体で時給を比較すると、その差は 2倍以上であることが報告されています。

(参考:厚生労働省「働き方の変化と経済・国民生活への影響」)

つまり、正社員と非正規の賃金にはもともと1.7倍の違いがあり、さらにその差を大きくしているのがボーナスや期末手当など、正社員にしか支給されない報酬であるということです。

実際に「データ入力がメインの事務職」で、正社員と非正規雇用の場合の賃金を比較してみましょう。

ある求人サイトでは、データ入力メインの事務職の正社員求人に「年収300万円以上」とあります。

また同じデータ入力メインの事務職のアルバイトでは、「時給966円以上」とあります。

アルバイトが時給換算のため、週5日勤務で8時間労働したとして、年収に換算してみましょう。

すると、同じ仕事内容であってもアルバイトの方は「年収185万4千7百2十円」でした。

正社員が300万円、アルバイトが約185万であるとすると、正社員はアルバイトの「1.62倍」の賃金を受け取れる計算になります。

この数字を見てみると、確かに厚生労働省が報告した「1.7倍」という数値は間違っておらず、2022年の現在でもなお、2005年当時と変わらない賃金格差があるようです。

同調査によると2015年から2016年にかけては、非正社員の賃金上昇率が高くなるとともに、正社員登用の動きも進んでいると報告されているものの、データ入力の仕事の例で挙げたように、賃金差はいまだに解消されておらず、非正規雇用の方が正社員に比べて年収も低いという現状が続いています。

正社員と非正規の休日の違い

賃金には厚生労働省が言及するほど違いがありましたが、休日については労働基準法という法律によって非正規雇用が守られていることもあり、表向きは正社員との間に大きな違いはないように見えます。

労働基準法39条3項によると、雇用主は労働基準法に従い、勤続が半年以上で、なおかつ8割以上出勤していれば、アルバイト・パートなどの非正規雇用枠出会っても所定の労働日数に比例した年次休暇を与える義務があります。

休みについては正社員と差別化できないようになっているのですが、実際に非正規雇用で働いている人の中には「いや、正社員より休みが取りにくい」と感じている人もいるのではないでしょうか。

確かに法律的には一定の条件が揃えば、正社員同様の休みがもらえるかもしれません。

しかし、実際には休みを取りたくてシフトを入れていなかったのに、社員から「この日イベントですごく混むからシフト入れておいたから出て」と言われたり、「別のバイトの子が来られなくなったから、今日休みのはずだったけど来て」と言われたり、よく言えば柔軟な対応を求められることが多いのが非正規雇用の現状ではないでしょうか。

本来休めたはずの日に休めなかったり、希望した日に休みをもらえなかったり、休む権利を軽視されていると感じている非正規雇用枠の方は少なくないでしょう。

正社員と非正規の福利厚生の違い

正社員と非正規では福利厚生面でも違いがあります。

法律上は、同一条件で働いているのであれば、正規も非正規も差別してはいけないとはなっているものの、実際の就業規則を見てみると、明確な差があるのです。

例えば、正社員の場合は社会保険、交通費、賞与、退職金、財形などの福利厚生が標準的です。

しかし、アルバイトなどの非正規雇用の場合は、労働日数によっては社会保険にも入れず、交通費も上限があったり、賞与が支給されなかったり、退職金制度が適用されなかったり、財形制度も利用の対象外にされていることが多いでしょう。

特に退職金は、正社員であれば退職時に数百万円から数千万円を手にする正社員がいる一方、非正規で同じだけ働いたとしても、非正規雇用だというだけでこの退職金を手にすることなく、老後の資金は自分で確保しなければいけません。

賞与も月収の1~5ヶ月分が支払われることが多く、企業によっては年間2回~3回ほど賞与が支給されることがありますが、この権利はすべて正社員にだけ認められるという企業が少なくないのです。

企業に対して貢献していることは一緒でも、雇用形態が違うことでここまで待遇に差があると、非正規雇用を抜け出して、なんとか正社員を目指したいと考える人が多いのも当然のことでしょう。

まとめ:正社員と非正規では賃金と福利厚生に大きな違いあり!安定と高収入を求めるなら正社員を目指した方が賢明

正社員と非正規雇用では、1.7~2倍ほどの差をつけて正社員の方がより多くの賃金をもらっているという違いがあります。

その背景には福利厚生も絡んでおり、賞与や退職金などの月の収入以外のお金がより大きな差をつけているようです。

休みの面では法律上は違いがあってはいけないとされているものの、現実をみるとアルバイトなどの非正規雇用枠は社員よりも社内での立場が弱く、社員に言われたら断れずに休みが少なくなるという人も多くなっています。

正社員は非正規雇用と異なり、雇用期間に定めがないため、より安定して高い収入を得られるという仕組みもあるため、現在非正規雇用で生活が厳しい、不安定な収入で将来が不安という方こそ、正社員を目指すことをおすすめします。