第二新卒者など、短期間での退職後に困るのが「転職理由」ではないでしょうか。

なぜ新卒で入った企業を短期間で辞めてしまったのか、ポジティブに説明したいけれど何を言っていいかわからない…という方は多いでしょう。

そこで今回は、前職を短期間で退職した場合の転職理由の考え方と、面接などの選考の中でアピールするポイントを解説します。

短期間での転職、企業側はどう見るか?

企業の見るところ

第二新卒が短期間で前の会社を辞めているという事実は、企業によって見方が大きく異なります。

保守的な企業、主にまだ終身雇用を目指していて、出世は年功序列が基本のような企業は、短期間での退職をあまりいい目では見ない傾向があります。

長期間働くことを前提として雇用しているため、短期間で退職したことがある人は社風に合わないと考えてしまうのでしょう。

また、「せっかく雇用して教育しても、すぐにまた辞めるかもしれない」と思われてしまう可能性もあります。

一方で前衛的な企業、ベンチャーやスタートアップなどで、フットワークが軽く、成長の教育を待たずに自主的な姿勢が求められる企業の場合、短期間での退職に対する偏見は持たれにくい傾向があります。

元々このような企業は最初から終身雇用を保障しておらず、むしろ転職を繰り返すことができるだけのスキルやコミュニケーション能力の方を評価するからです。

前職を短期間で退職しているという事実は、このように企業によってかなり受け取り方が異なります。

つまり、受ける企業によっては転職の武器にもなる可能性があると言えるでしょう。

前職を短期間で退職!転職理由はこう考えよう

面接

転職理由とは、「どうして転職をしたいと考えたのか」というものであり、退職理由とほぼ内容は同じものです。

ここでは、「すぐにまた辞めるかもしれない」と考える企業に対して、前職を短期間で退職した場合の転職理由の考え方について解説します。

たとえ1年未満でも、成長を実感できたなら意味がある

第二新卒を「新卒で入社した企業に1〜3年勤務していた社会人」とするなら、「1年未満で退職した人」は第二新卒と呼べるのでしょうか?

そもそも「短期間」と言ってもその詳細はさまざまですが、基本的には1年よりも短い期間で退職していても、第二新卒と呼べるでしょう。

このように短い期間であっても、社会人としての経験を積んだことに変わりはありません。

ビジネスマナーやIT系ツールの使用、メンターとの関係性構築など、基本的なスキルは身についているとアピールすることも可能です。

少しでも大学卒行時に比べて成長したと実感できたことがあれば、その成長ポイントを自己PRに使うことができます。

また、前職がある程度競争率の高い企業だった場合、「競争率の高い企業の採用試験を突破するポテンシャルがある」「人気企業が一度は欲しがった人材」であることの証明にもなります。

この場合は面接試験できちんと前職のハードルの高さをアピールし、そこをかいくぐって入社できたことを強調すると良いでしょう。

転職理由を考えるときは定量的に説明できる経験を探そう

ポジティブに発言する

前職を短期間で退職していることの評価をプラスにするためには、「感覚的説明」よりも「定量的説明」に重点を置きましょう。

「こんな成長ができたと思います」のような、ふんわりした感覚的な成長体験よりも、きちんと数値で成長した・企業に貢献した実績を表す定量的な表現の方が、初対面の採用担当には伝わりやすいものです。

例えばWeb広告業界から同業他社に転職する場合、「前職の在職期間は短かったものの、担当した10社のうち、8社のCVRを平均120%アップさせた実績がございます」など、具体的な数値を入れて、客観的に評価しやすく説明することがポイントです。

短期間で転職したことを逆手にとって、「短い期間でもこれだけの実績を残すことができた」と表現し、採用後のポテンシャルを予想させるように考えましょう。

なぜ短期間で転職するのか、理由はポジティブ一択

退職理由とも重複する「なぜ短期間で転職することになったのか」という理由については、たとえメインの理由がネガティブなものであっても、考え方はポジティブな方向一択です。

実際に短期間で退職する場合、その理由は残業時間が長い、社風が合わない、人間関係に失敗した、希望とは全く違う部署に配属になった、やりがいを感じられなかったなど、ネガティブな理由である人は多いでしょう。

しかし、このようなネガティブな理由をメインで言ってしまうと、「同じようなことがあれば、またすぐに辞めるかもしれない」と、企業からの評価もネガティブなものになる可能性が高くなります。

そこで転職理由を考える時には、「リフレーミング」を利用して、同じ事実でも異なるポジティブな側面から考えてみましょう。

例えば、「社風が合わなかった」という場合、は以下のように伝えると良いでしょう。

「前職の職場は非常にアットホームな社風でした。しかし、私自身がもっとビジネスライクで合理的な考え方をした方が業績につながると考えるようになってしまいました。これは私の企業研究不足によるものが大きく、今回はこのような齟齬がないよう、しっかりと会社見学に3度にも参加させていただいております。」

など、「会社が悪かった」とは言わず「自分の企業研究が足りなかった。でも今回はきちんと研究してきた自負がある」と、ポジティブな締めで採用担当に残る印象をいいものにします。

終身雇用を前提としていない!ポータブルスキルを強調

ポータブルスキルのイメージ

前職を短期間で退職しているということは、それだけ短期間で辞めても次に行けるスキルを持っているということをアピールできます。

最近では「ポータブルスキル」という言葉で説明されますが、つまりは「どこの企業に行っても通用する、有用なスキル」という意味です。

具体的にはIT系や、伝統工芸、経理・会計などのスキルが多く、どの企業に行ってもすぐに戦力になれるような高度なスキルを指します。

例えば大手広告代理店でWeb広告運用をしていた場合、他の代理店でも同様のノウハウ・スキルを活用してすぐに結果を出せるでしょう。

このようなポータブルスキルは、最初から終身雇用を前提としない現代的な働き方と相性がよく、転職を前提としたスキルです。

どこの企業にいたから有能、ではなく、どんなスキルを持っているから有能と証明できるのがポータブルスキルであり、これからの転職市場ではかなり高評価を得ることができるでしょう。

第二新卒にとって短期間の退職は不利じゃない!転職理由はポジティブに、定量的な観点からアピールしよう

第二新卒にとって、短期間の退職は一部の保守的な大手企業を除けば、全く不利になるものではありません。

むしろ第二新卒はビジネスマナーや一定のワークフローに慣れているのに、まだまだポテンシャルが高く、転職市場では相変わらず需要が高い人材です。

転職理由はネガティブなものであってもポジティブな理由に言い換えて、前職での実績は具体的な数値を使って定量的に説明することで、短期間での転職でも良い結果を残すことができるでしょう。