第二新卒枠で転職する場合、多くの人が心配するのが、「前職の退職理由をどう伝えるか」という問題でしょう。

入社してみたら思ったような仕事内容ではなかったり、人間関係が肌に合わなかったりと、本当の退職理由をそのまま伝えるだけでは、書類審査はもちろん面接を通過するのは困難です。

そこで今回は、第二新卒枠で転職する際に面接官が重視しているポイントや、通過しやすい退職理由の伝え方、第二新卒ならではの強みを生かした面接のコツについて解説します。

面接官は第二新卒のどこをみている?転職面接でチェックされるポイント

第二新卒枠を設けて募集する企業もあれば、キャリア採用(中途採用)として年齢に上限を設けず募集する企業もあります。

しかし、多くの面接官は、応募者の年齢や職歴をみて「第二新卒に該当するから、ここを重点的にチェックしよう」という判断基準を設けて面接に臨んでいます。

面接官がチェックしているポイントをおさえて、面接の通過率をアップさせましょう。

なぜ前職を辞めたのか?退職理由をチェックしている

面接官が第二新卒の面接で「最も」と言っていいほど重視しているのが、「前職をどんな理由で辞めたのか?」ということです。そもそも第二新卒というのは、新卒で入社した会社を1~3年以内に辞めて転職を目指している社会人を指します。

つまり、「どうして1~3年で前職を辞めてしまったのか」を知っておかないと、せっかく採用しても、また同じような短期間で辞めてしまうのではないかという不安が面接官に残るのです。

採用するからには長く働いてもらって、教育コストを回収したいというのが会社の本音ですから、面接官が納得いくような退職理由が必要になります。

前職できちんとビジネスマナーを身につけてきたか?

第二新卒の場合、早ければ1年程度で前職を退職することになります。そのような短い期間の間に、どれくらいのビジネスマナーを身につけてきたのかも、面接官は厳しくチェックしています。

主に正しい敬語の使い方や、目上の人間に対する礼儀・態度などがチェックポイントになります。面接でビジネスマナーが身についていないと判断されると、「採用した後に新卒並みの教育コストがかかる」という理由で、面接の通過率は落ちる可能性があります。

だからこそ、書類上の言葉遣いはもちろん、面接での言葉遣い、姿勢・態度などをみて、ビジネスマナーをチェックしているのです。

前職からの逃げではなく、前向きな姿勢で働こうとしているか?

第二新卒の場合、短期間で前職を退職しているため、面接官としては「前職で何かイヤなことを経験して、それから逃げるために転職しようとしているのではないか?」と疑うこともあります。

逃げの姿勢で転職しようとしていると判断された場合、「ストレス耐性がなく、負荷の高い仕事は任せられない」ととらえられてしまい、面接を通過することが難しくなるでしょう。

このように面接官は、面接試験の中で、前職とこれからの仕事に対する姿勢をチェックすることで、ストレス耐性の有無を図ろうとしていることがあります。

ストレスに弱い人は採用しても心身ともに気遣う苦労が増え、休退職のリスクが高いと判断されてしまい、結果的に面接を通過しにくくなるのです。

第二新卒の面接通過率アップ!印象が良くなる退職理由の伝え方

第二新卒が面接試験の通過率をアップさせるには、退職理由をどう伝えるのか、その表現が大切です。

同じ内容を伝えているようでも、表現を他人のせいにするか、自分のさらなる飛躍のためのものにするかで、受け手である面接官が持つ印象はまったく違うものになります。

ここでは、印象がよくなる退職理由の伝え方について、実際に挙げられやすい文例をもとに解説します。

残業時間が長かったという退職理由を印象良く伝えるには

多くの企業が業務効率化のために様々なシステムを導入して生産性をあげている中、それでもなお「長く働いた人が偉い」という価値観の企業もあります。

前職がこのように長時間労働を美学にしていたら、それが原因で退職したという人も多いはずです。

しかし、面接で「前職は残業時間が長かったので…」とストレートに伝えてしまうと、「少しの残業でも嫌がるかもしれない」「企業への所属意識が低い人なのかもしれない」と誤解されてしまう可能性があります。

そのため、面接での印象が良くなる伝え方として、次のような表現に替えてみましょう。

「前職では月に40時間ほどの残業時間があり、私自身に余裕がなく、疲れ切った状態で翌日を迎えるため、自分の仕事のPDCAをうまく回すことができませんでした。その結果、自分自身の仕事に納得いかず、このままでは会社にも貢献できないと判断し、転職を決意いたしました。御社では業務効率化を推進されていると知り、ここなら効率的にPDCAを回し、生産性と成果を両立でき、ひいては御社の業績にも貢献させていただけると考えております。」

ポイントは、残業時間が長くて身体的に辛かったという事実は深掘りせず、あくまでも「自分の仕事の効率が悪くなってしまって、会社に迷惑をかけた」という言い回しにする点です。

会社のせいにしない伝え方にすることで、前向きな退職理由のように感じさせることができるでしょう。

仕事内容が思っていたものと違ったという退職理由を印象良く伝えるには

新卒で入社した企業では、総合職で「ここだけは絶対に無理」と思っていた部署に配属された人も多いでしょう。

また、企業研究は十分したはずなのに、入社前に聞いていた仕事内容とは全く異なる仕事を任されて、泣く泣く退職したという人も多いかもしれません。

この場合も「思ってたような仕事を任せてもらえなかったため、退職しました」というストレートな伝え方をすると、面接官としては「新卒なのに選ぶ立場になれると思って入社したのか?」など、ネガティブな印象を持たれてしまう可能性があります。

仕事内容が思っていたものと異なることで前職を退職した場合は、次のような表現で伝えてみましょう。

「私が他の人よりも得意とするのは、物事を一つ一つ整理し、順序立てて最も効率の良い方法を導き出すことです。またPCスキルが高く、履歴書にございますように高等資格も多数取得しております。しかし前職では自分のスキルが生かせる部署に配属していただくことができませんでした。もっとPCを使用する仕事なら生産性を上げ、業績にも貢献できると思い、第二新卒枠でPCスキルが存分に生かせると考えた御社への転職を決意いたしました。」

ポイントは、自分がどんなスキルを持っていて、そのスキルが前職で生かせなかったことで、「もっと自分のスキルが役立てられる仕事に転職したいと思った」という伝え方にあります。

こうすることで、あなたが持つスキルの差別優位性が伝わり、前職を辞めた理由にも納得感を持たせることができるでしょう。

スキルについてはできるだけ具体的かつ定量的に説明できるよう、資格名や実際の数値を交えて話せるようにすると、面接官にも採用後のポジティブなイメージが湧きやすいため、おすすめです。

給料が安かったという退職理由を印象良く伝えるには

前職の入社前には、会社から「新卒1年目はこんな感じ(低い給与設定)だけど、2年目からは皆さんの実力次第で期待できる額を約束します」と説明された人もいるでしょう。

主にスタートアップなど、成長中の企業ではこのような説明をして、具体的な給与テーブルの話はせずに、ひとまず新卒を連れてくるという採用担当もいます。

もしあなたが上記のような企業に入社していて、「2年目、3年目になっても、1年目の給与と全く変わらない!話が違う!」というのが退職理由の場合、こちらも下記のようなポジティブな伝え方に修正する必要があります。

「率直に申し上げまして、前職では遂行した業務の成果を評価してもらえたと感じられなかったのが退職理由です。私自身はキャリアアップのために、新卒で感じた問題点を反映した新卒用マニュアルを作成したり、既存事業の業績に直接貢献してきたのですが、給与面で適切な評価をいただけなかったと感じております。高いモチベーションを維持したまま、業務改善をはじめ高いパフォーマンスを残すために、適切な評価軸をお持ちの御社に惹かれ、転職を決意いたしました。」

ここまでの退職理由と違うことが一見してわかるように、できれば給与の話は退職理由で出さない方がオススメです。

どんなにポジティブな言い方をしても、前職よりも給与水準が大して変わらないところや、給与の評価制度が整備されていない企業の場合はむしろ裏目に出てしまうからです。

社風が合わなかったという退職理由を印象良く伝えるには

アットホームな、軍隊のような、など、社風にはその会社の経営者の態度が反映されやすいものです。

しかも、社風というのは多くの社員が信念のように抱えているものであり、簡単に変えられるものではなく、転職を決意するのにも十分な理由だと言えます。

もしあなたが新卒で入社した企業の社風がどうしても肌に合わず退職した場合、次のような伝え方を考えてみましょう。

「前職は一族経営で、社風も大変アットホームなものでした。入社してみて、温かみを感じることはできたのですが、何かトラブルがあった時には一変して最も立場の弱い社員が責任をとるスタイルが定着していて、そこに違和感を感じ、退職いたしました。業務で自分がミスをした場合、私はもちろん自分自身で責任を持って対処したいと考えているからです。」

何かあったら誰か立場の弱い人のせいにするような社風がイヤで退職した場合、「自分の仕事には、責任を持って取り組むべきと思っているから」というポジティブな自分軸の考えを添えて伝えることで、好印象をキープしたまま、あなたの思いを表現できるでしょう。

人間関係が悪かったという退職理由を印象良く伝えるには

人間関係、と一言で言っても、「上司からのパワハラ」「同僚・先輩社員からのいじめ」など、社内の誰との関係性が悪かったのかによって詳細な伝え方は異なるでしょう。

どんな人間関係が原因で退職するにしても、共通するのは「環境を変えることで、自分を成長させたかった」というように、人間関係から逃げるためではなく、さらなる自己成長のために退職したという方向性で、以下のように伝えるようにしましょう。

「前職を退職した理由は、もっと主体的に動き、裁量を担保された環境で自分自身を成長させたかったからです。新卒で入社した前職では、新卒以外の社員も上司から降ろされた仕事に取り組むだけで、改善した方が効率的と感じる仕事も、長年のワークフローを変えることの方が大変だからという理由で非効率的に裁量なく進めるほかありませんでした。私は入社から3年経過しても、ほぼ裁量のない仕事をしている自分を省みて、今しかできない自己成長があるかもしれない、またその成長はもっと大きな裁量の元で生まれるだろうと考え、より個人の裁量が大きい仕事への転職を目指すために退職いたしました。」

このように伝えることで、上司との人間関係の悪さを仕事の裁量がなかったと言い換えることができ、そこからさらに自己成長のための退職であった、とポジティブな印象を与えることができるでしょう。

まとめ:第二新卒の転職面接のコツ!退職理由を前向き・ポジティブに伝えよう

第二新卒が退職理由を伝える際には、ネガティブな内容もポジティブな伝え方に変換することで、「成長意欲がある」「期待できるポテンシャルがあるかも」と思わせることができます。

転職面接のコツは、まさに「いかに退職理由をポジティブに伝え、採用担当にこれからの成長を期待させるか」ということです。

転職市場の中で第二新卒の需要が高いのは、新卒よりもビジネスマナーが格段に身についているのに、社会人としての伸びしろがまだまだ期待でき、自分の会社のカラーに馴染む可能性を秘めているからです。

だからこそ、退職理由をポジティブに言い換えることで、「採用したら戦力になりそう」「前職を辞めたのはむしろチャンス」と採用担当に思わせることができ、転職成功への近道になるでしょう。