食品工場勤務は、その作業内容や作業環境など様々な理由から「底辺」と言われることもあります。働いている人からすれば、「確かに」と感じる人も、「自分はそんなことない」と感じる人もいるでしょう。

そこで今回は、食品工場勤務が底辺と言われる理由について詳しく解説します。

雇用形態がカギ!食品工場が底辺だと感じやすいのは正社員ではなくアルバイト

食品工場勤務という条件は同じでも、「底辺」と言われてしっくりくる人とこない人がいる理由。

それは「雇用形態」にあるようです。同じ食品工場勤務でも、正社員とアルバイトでは作業内容が違うケースが多いのです。

正社員は工場で使用する機会の操作やメンテナンス依頼などの仕事が多く、工場外に出て本社での仕事に赴くこともあります。

社用車でコーヒーを飲みながらドライブでき、工場外との人とのコミュニケーションをとることもでき、いい気分転換になる人も多いようです。

一方、アルバイトの場合は勤務開始から退勤までずっと同じ工場内にいなければいけません。

ラインに立って一日中ずっと同じ作業を繰り返し、ミスがあればアルバイトの先輩や、場合によっては正社員から叱責を受けることになります。

ずっと同じ工場内にいるわけですから、人間関係が悪い職場の場合はもっと最悪な状況になるでしょう。苦手な人と一日中ずっと近くにいなければならないストレスはかなり大きいと考えられます。

給料も正社員と比べて賞与が支給されず、多くの場合は退職金制度もありません。

このように正社員と比べて、仕事内容と給与の両面から「底辺」と言われるのだと考えられます。

他にもたくさん!食品工場が底辺だと言われる理由4選

食品工場勤務の中でも、特にアルバイトの場合は正社員と比べて底辺だと言われていますが、正社員と比べるよりも他の理由で「底辺」と言われる理由があります。

ここでは、実際に働いてみると想像以上に辛い、食品工場勤務が底辺と言われる理由について3つ厳選して紹介します。

食品工場が底辺と言われる理由1.室温が暑すぎる・寒すぎる!過酷な労働環境

実際に食品工場で勤務した経験がある人には「あるある」ですが、工場内の温度環境が極めて不快で居心地が悪く、そんな環境下で8時間もの間勤務しなければいけません。

食品工場と聞くと、ゴールデンタイムにテレビ番組で「人気お菓子○○の工場舞台裏に潜入!」というタイトルのもと紹介される、清潔で床がピカピカで快適そうに見える工場を想像する人もいるでしょう。

しかし、実際にはテレビで紹介されるような工場ばかりではありません。テレビで紹介されるような工場は一流企業の中でも表に出せるような工場だけで、「あんな工場で働いてみたい」と思う工場勤務の人も多いでしょう。

実際は床はドロドロに汚れていて滑りやすく、空調管理もされていないような食品工場もかなりたくさんあります。

しかも「夏暑く、冬寒い」という環境に置かれます。食品工場は敷地面積が広く、空調管理をしっかりしようと思うとかなりのランニングコストがかかります。

固定支出を抑えて売り上げを上げることを意識している工場本部としては、空調管理にかかるコストを削減するために、夏でも冬でも空調をつけない方針のところが多いのです。

特に食品の品質管理が緩かったり、缶詰など温度管理の必要性が薄い食品工場の場合、より過酷な環境の中で働く必要があります。

夏は30℃を超えてもクーラーをつけてもらえず、冬は「菌が繁殖しにくいから」という理由をつけて、外気温が氷点下の日でも暖房をつけてもらえません。

起きている時間のうちの大半をこのような過酷な環境で過ごす食品工場勤務の人を見て「底辺」だと言う人も多いようです。

食品工場が底辺と言われる理由2.家に帰っても工場のニオイ…染み付く激臭がきつい

食品工場勤務経験があるBさんは、おでんの具材を1種類ずつパックに詰めて真空パック化するという仕事をしていました。

工場勤務の初日から、工場内が異様に生臭いことに対して、「ちょっとこの工場はまずいかも」と思ったそうです。

実際、おでんの具である練り物に使われる魚も同じ商品工場内で下処理されていて、そのニオイが工場中に充満していました。

血生臭いそのニオイは、Bさんが仕事をするパッキングのコーナーまではっきり伝わってきて、一日中そのニオイに悩まされたと言います。

一番辛かったのは、勤務が終わった後の自分の体に、その血生臭いニオイがこびりついて取れなかったということだそうです。

Bさんは電車通勤でしたが、近くにいる人がこぞってイヤな顔をしたり、ある時はあからさまに鼻をつままれたりして、「こんなにひどい扱いを受けるなんて、私は底辺にいるみたいだ」と思ったとのこと。

同じくペットフードやスルメイカなど、食品工場の中にはニオイのきつい環境がたくさんあります。

その中で働くことも辛いのですが、そのニオイが原因で見知らぬ人からもひどい扱いを受けたときに、底辺で働いていると感じる人がいるようです。

食品工場が底辺と言われる理由3.立ちっぱなしなのに休憩時間が少なく疲れが溜まる

食品工場での仕事のうち、ほとんどが立ちっぱなしでの作業で一日を終えます。ラインに配置されると、一日中同じ場所にいて、同じ作業を繰り返すことになるのです。

立ち仕事は他にも美容師や警備員などいろいろありますが、食品工場の場合は「動いてはいけない」「集中力も必要」である点が、より疲れを実感させるのでしょう。

しかも辛いのが、休憩時間をしっかり固定されていることです。食品工場は全て時間をきっちり決められているため、好きな時間に休憩を取ることができません。

例えばA/B/Cのラインがあるとして、A班の1グループが休憩のときにB班・C班の1グループも休憩に入ることで、その場にいる人数が常に同じになるよう、偏らないように管理されているのです。

さらに休憩時間も短く、休憩室もあまり充実していないところが多いのが現状です。

狭くてあまり綺麗とは言えないような小部屋のみ与えられ、パイプ椅子と長机がいくつかあるだけ。

もちろん社歴が長いアルバイトから椅子に座るため、新人の場合は座ることができない場合もあります。

ある人は、座る場所がないから、トイレにおにぎりを持ち込んで食べたという経験があるそうです。

こんなに身体的に負担が大きい仕事をしているのに休憩すらまともに取ることができず、さらにトイレでしか座れない人もいると聞くと、「底辺」と言われることがあるのも納得できる人もいるでしょう。

食品工場が底辺と言われる理由4.こんなに辛いのに低賃金で生活が厳しい

ここまで紹介してきたように、テレビに出てくるような食品工場ではなく、リアルな食品工場では、室温環境がひどく、ニオイがきつく、休憩時間も短いという、かなりひどい労働環境で働くことが、「底辺」と呼ばれる原因なのかもしれません。

しかし、それ以上に「底辺」と言われることの原因になっているのが、労働に見合わない低すぎる給料です。

こんなにきつい環境で働いているのに、時給は最低賃金程度であることが多く、首都圏でも月給19万円未満の求人が目立ちます。

手取りだと社会保険や雇用保険が差し引かれ、手取りは16万円程度になる人も少なくありません。

さらに地方だと最低賃金も低いため、手取りが14万円以下の人もざらにいます。

アルバイトの場合は賞与もなく、退職金制度がないことの方が一般的ですから、年収は200万円程度の場合が多く、老後の心配もぬぐえません。

以前「月収14万なら終わっているのは社会ではなく本人」という動画がバズりましたが、食品工場勤務を続けると、この手取り14万円を抜け出すのは困難です。

家賃を支払い、食費や光熱費を払えば、手元に残るのはほんのわずかで貯金すらできないでしょう。

このような金銭的な事情からも、食品工場勤務は底辺だと言われているのでしょう。

まとめ:過酷な労働条件なのに低賃金!底辺と言われる食品工場がイヤになったら他職種に転職しよう

全ての食品工場に勤務している人が底辺だというわけではなく、夏暑くて冬寒い、ニオイがきつくて休憩も取りにくいというひどい労働環境で働いたことがある人が、「食品工場って本当に底辺だったよ」と体験談として語っているのかもしれません。

しかも食品工場でより辛い環境に置かれるのは、正社員よりもアルバイトとして働く人です。

アルバイトは、正社員ではしなくても良いライン作業で一日を終え、正社員よりも低い給料で働き、賞与などの福利厚生も正社員よりも充実していないからです。

今食品工場に勤務していて、「もうこんな底辺で働いていたくない」と思ったら、2つの選択肢があります。

「同じ食品工場で正社員になる」か、または「他の職種の正社員として転職する」かです。

同じ食品工場で正社員になれば、ライン作業だけではなくオペレーション業務に回ることができ、賞与や退職金も支給されるでしょう。しかし、ニオイや室温などの労働環境はほぼ変わらないと言えます。

一方他職種に転職すれば、今とは全く違う環境で新しい生活をスタートできるでしょう。

外勤の多い営業職などに転職すれば、立ちっぱなしのストレスからは解放されます。

営業成績によってインセンティブも発生し、会社によっては社員食堂やカフェスペースなど休憩をとる場所も信じられないくらい充実しているところもたくさんあります。

今の食品工場勤務が底辺だと思ったら、他職種への転職を考えてみるのもオススメです。