正社員採用を目指している人の中には、履歴書の志望動機欄で詰まってしまい、うまく書けずに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は書類審査が通りやすくなる志望動機の書き出しと締めくくりの書き方の例文を紹介しながら、志望動機の注意点について解説します。
例文付き!正社員の志望動機でチェックされていることを把握しておこう
アルバイト経験がある人は、履歴書の志望動機欄を書いたことがあるでしょう。
しかし、アルバイトよりも間口が狭く、審査が厳しい正社員の場合、アルバイト時代同様の志望動機を書いてもまず通過することができない可能性が高いのです。
そこでここでは、正社員の書類審査で、採用担当が志望動機で特によくチェックしていることについて解説します。
志望動機では「入社に対する熱意」をチェックしている
採用サイドが志望動機欄でチェックすることとして、「どれくらいの熱量を持ってこの選考に望んでいるのか」「どれくらい熱意を持って応募してきているのか」の2点が挙げられます。
正社員求人への応募者の中には、ダメ元で複数社に応募していて、書類選考を通したのに「第一志望は別の企業で、結局採用までの間に選考を離脱した」というケースも少なくありません。
ダメ元以外の理由でも、優秀な人はたくさんの企業に応募して、最も条件が良かった会社に内定承諾を出すというケースもあります。
どちらにしても、会社側としては「せっかく書類審査を通過させたのに、本気で入社する気のない人だった場合、また選考をやり直さなければならない」というリスクがあるでしょう。
採用には、会社側も時間と人件費というコストをかけています。
だからこそ、最初から会社への熱意が高い人を選び抜いて選考を進めたいと考えているのです。
志望動機では、いかにあなたに会社への熱意があるのかをアピールすることが重要です。
事業内容について詳しく把握しているだけではなく、企業の最新の情報についてもリサーチし、「好きだからこそここまで知っている」ということを強調すると良いでしょう。
志望動機例文:熱意を表現する場合
私は高校生の頃に飲んだ貴社の清涼飲料水の味が忘れられず、大人になってからも毎朝の習慣になっております。
このたびその貴社からルートドライバーの求人が出たことを確認し、この忘れられない味を自分の足で全国の人にも楽しんでいただけるチャンスだと感じました。
まだ貴社商品の素晴らしさを知らない人にも、私と同じように仕事の疲れを癒す存在として愛飲している人にも、貴社商品を届けるこの仕事にどうしても従事したく、志望致しました。
志望動機で最も重視されるのは「入社後に会社に提供できる成果」
正社員の志望動機で、「熱意」よりももっと重視されているのが「あなたが入社することで会社が得られるメリット」です。
入社に対する熱意があることは必須条件として、それ以上に「この人を採用したら、こんな仕事で活躍して、こんな成果を挙げてくれそうだな」ということを、採用担当者にリアルにイメージさせられるような志望動機が書ければ、かなり有利に転職活動を進めることができるでしょう。
具体的には、アルバイトでも他の職場の正社員としてでも、これまでの職場で得てきた経験を生かし、志望先のどの分野で貢献できるのかを記載するようにしましょう。
志望動機の中で一貫して「自分にはこういう経験があって、その経験をあなたの会社でこういう風に活かせます」ということをアピールすることで、採用側も安心して選考を進めることができます。
志望動機例文:入社後に会社に提供できる成果を表現する場合
私は今年の3月まで、30代の女性をターゲットにしたスーツ専門店で接客・販売業のアルバイトに従事しておりました。
前職ではアルバイトではあったものの、1日10組以上のお客様を接客し、ご指名をいただけるほど、お客様との信頼関係を形成し、店舗売り上げに貢献してきた自負がございます。
貴社でもこの経験を活かし、30代の働く女性をターゲットにしたアパレル販売に貢献できると考えております。
貴社商品は価格帯がミドルクラスをターゲットにしたものが多く、実際のユーザーのペルソナも前職のものに近いため、前職での経験により、数多くのお客様にご満足いただける接客が可能であると思います。
お客様が着こなしやすく、また来店したいと思えるようなお店づくりと接客に邁進したく、志望致しました。
志望動機の構成は「書き出し」「具体的な動機」「締めくくり」
志望動機の全体が300字程度だとして、構成は「書き出し」「具体的な動機」「締めくくり」の3段階に分けることができます。
具体的な動機と締めくくりを1つにまとめて2段階に分けて書く場合もあるため、そのあたりは柔軟に考えて問題はありません。
大切なことは、まず書き出しで採用担当者の注意を引きつけ、具体的な動機を読ませて、その注意を削がないまま短い文章でインパクトのある締めくくりに持ち込むことです。
難しいのは、この3つの要素を300字程度でまとめることでしょう。
伝えたいことがあって、どうしても長くなりがちな志望動機ですが、ここで短くしておかないと、面接まで進んだときに志望動機の受け答え自体が長くなり、自分でも覚えておくことが困難になります。
必要最低限の事項に絞り込み、無駄を省いて魅力的な志望動機を作成するように心がけましょう。
正社員の志望動機の書き出しと締めくくりを例文付きで解説
志望動機の中で見られているポイントについては解説してきましたが、多くの人が具体的な中間部分より、どのように書き出しを始めて、どのように締めくくったらいいのかについて悩んでいるのではないでしょうか。
そこでここでは志望動機の書き出しと締めくくりの書き方について、ポイントを踏まえつつ例文で解説していきます。
志望動機の書き出しは「結論」から!読み手を引きつける文章で始めよう
採用担当者は、あなたの履歴書以外にも何十、大企業の場合はさらに多くの履歴書を読んで書類審査を行っています。
少ない時間であなたの良さを出し、読み手である採用担当者を引きつけるためには、志望動機の書き出しで「私が貴社を志望した理由は~」のようにだらだらと一般的なこと語っていてはいけません。
書き出しは、採用担当者に一番伝えたい結論の部分から書き始めて、他の応募者との違いを明確にする必要があります。
長すぎてもだれてしまうため、志望動機全体の文字数の目安はおよそ300字程度でまとめましょう。
一度パソコンで文章を書き起こして、文字数カウント機能を使用すると、「思っていたよりも文字数が行き過ぎていた」などの客観的事実に気がつくことができ、より読みやすい書き出しにすることができるでしょう。
ここでは、コールセンターで荷電業務を担当していた人が、同業種に転職する場合と、異業種に転職する場合の両方のケースの例文を紹介します。
アルバイトからの転職の場合でも、仕事内容の中で応募先に通じるものがないかどうか、共通点を探してから下書きしてまとめておくことで、より読みやすい書き出しを作成することが可能です。
書き出しの例文:前職と同業種に転職する場合
これまでのコールセンターでの荷電業務で培ったスキルを活かし、貴社でも同様の荷電業務でより多くのアポイントメントを獲得したいと考えております。
前職での荷電業務はマニュアル厳守で自分なりの工夫を出し切れない環境だったため、裁量の大きな貴社での業務内容に大きな魅力を感じました。
書き出しの例文:前職とは異業種に転職する場合
これまでのコールセンターでの荷電業務で培ったスキルを活かし、営業業務に携わりたいと考えております。
荷電業務では、初めてお話しするお客様に対してアポイントメントを取り付けることがメイン業務でした。
この経験を活かし、新規営業でも話のきっかけを作り、お客様のインサイトを汲み取った営業活動をしていきたいと思う気持ちが強くなりました。
志望動機の締めくくりは「メリット」でインパクトを残す
志望動機の締めくくりの部分で大切なのは、人材としての価値をインパクト重視で具体的に書くことです。
前述したように「前の職場(アルバイトを含む)でどのような経験をしてきて、それが応募先の企業でどのように役立つのか」を書いて締めくくることによって、採用担当者に採用後のイメージを具体的にわかせて印象に残る志望動機に仕上げることが目的です。
だからこそ、応募先の企業があなたを雇用することによって得られるメリットをピックアップする作業が重要になります。
あなたを採用した後、企業はあなたを適切な部署に配属させ、仕事を与えることになります。
その部署であなたがどのような力を発揮して、その力が企業にとってどのような旨味があるのかについて考えてみましょう。
「自分なんてメリットを与えられるようなことなんてない」と思う人もいるかもしれません。
しかし、どのようなことでも前の仕事で学んだこと、身につけたことはあるはずです。
その学びや身につけたことを、応募先の仕事を結びつけて考えてみれば、志望動機の締めくくりも魅力的な文章が書けるようになるでしょう。
締めくくりの例文:前職と同業種に転職する場合
前職では部署平均で1週間5件のアポイント獲得が目標でしたが、私は週に15件のアポイントを獲得してきました。
よりお客様の生活に寄り添った貴社商材でこのスキルを活かし、自身の成長はもちろん、貴社の売上に貢献したいと考え、貴社を志望致しました。
締めくくりの例文:前職とは異業種に転職する場合
お客様のインサイトを汲み取って、自社商材から適切な商材をご紹介し、確度の高い商談を取り付けることができると考えております。
このようにコールセンターでの荷電経験を活かし、貴社の業績に直接的に貢献したく、貴社を志望致しました。
まとめ:正社員の志望動機は短く要点を伝えつつ、熱意とインパクトを残すことがポイント
履歴書作成時、多くの転職者の頭を悩ませる志望動機ですが、志望動機は書類審査の入り口にすぎません。
採用側からすれば、たくさんの会社がこの日本にある中で、どうしてうちの企業を受けようと思ったのかを知りたくて志望動機を確認するわけです。
さらに意識が高い採用担当からすると、どれくらいの熱意があって、どのような経験をしてきて、その経験をうちの企業のどのような仕事に活かせると思っているのか知りたい、という温度感で読んでいます。
ただ、不況の時代ですから、優良求人だと1度の応募に何十人も同時に応募してくる可能性があります。
その時、多くの応募書類の中を読んでいる採用担当者の負担が少ない文章量で、的確に知りたいことを書いてくる応募者は、やはり目に留まるものです。
正社員の志望動機では、書き出しで採用担当者の注意を引きつつもアピールをしっかりできるように、結論となる動機から入りましょう。
より詳細な動機は100字以下で端的にまとめて、最後の締めくくりで100~150字程度で、応募先にもたらすことができるメリットや熱意をまとめます。
300字程度の短い志望動機の中に、企業への熱意、これまでの経験、さらに採用後に企業にもたらせるメリットをまとめるのは大変かもしれません。
もし自分1人で添削するのに限界を感じたら、無料の転職サービスを活用し、応募書類の添削をしてもらうという選択肢もあります。
志望動機をしっかり書き込んで書類選考を通過し、内定に一歩近くためにも、プロの添削を受けることもオススメです。