体を酷使する肉体労働をしている人の中には、辞めたい!と考えている人も多いのではないでしょうか。

重労働の分、給与が高めに設定されていることが多い肉体労働ですが、継続が思わぬリスクになることもあります。

そこで今回は、肉体労働を辞めたくなる時や、辞めた方がいい人の特徴について解説します。

肉体労働を辞めたいと思う時とは

肉体労働と一言で言っても、重い荷物を持ったり、一日中立ちっぱなしだったり、激しく体を動かしたりと、様々なつらさがあります。

ここでは、肉体労働をしている人が、「辞めたい……」と思ってしまう時はどんな時かについて紹介します。

肉体労働のきつさに対して給料が割に合わないと感じた時

例えば警備員・交通整理員などの立ち仕事をしている人は、雨の日も、風の日も、酷暑の中でも、暴風雪の中でも同じように外仕事をしなければならない環境の人がいます。

暑さ寒さ関係なく、一日中立っているだけでも辛いのに、休憩時間が短かったり、交代までの時間が長かったりと、身体的にきついことが毎日繰り返されます。

しかし、こんなに体を酷使して、つらい思いをしているにも関わらず、給料が低いと感じるその時に「もう肉体労働を辞めたい…」と感じる人が多いようです。

これだけ体を使って、毎日ヘトヘトになるくらい働いているのに、給与明細を見て「正直、割に合わない」と思ったとたん、このままでいいはずがないと思ってしまうのです。

肉体労働でも、自分で感じている疲労感を補ってあまりあるほどの給与がもらえれば、また明日から頑張ろうと思えるかもしれません。

しかし、肉体労働の中でも介護業界、運送業など、給与水準に不満を抱える人が多いのも事実です。

給料は、会社からの「評価」です。

自分の働きに対して、十分な評価がもらえてないと感じるからこそ、肉体労働を辞めたいと思うきっかけになってしまうのでしょう。

膝・腰などを痛めているのに出勤しなければならない時

肉体労働をしていると、体の特定の部位に大きな負荷がかかりやすいものです。

例えば重い荷物を抱えて移動している配達員や引越し業務に就いている人の場合、腰を痛めてしまう傾向があります。

一日中立ちっぱなしの交通整備員などは、年齢や体重にもよりますが、膝に負担がかかってしまう傾向があります。

このように、仕事内容にもよりますが、肉体労働は肉体的な負担が大きく、体を資本とした労働のため、資本である体を壊すことで収入が途絶えることが懸念されます。

自分自身で体のどこかに不調を感じていたり、明らかに「これ以上動かすと悪化する」とわかっていても、休んでしまえば収入に直接的な影響が出るため、休めないのが現状です。

さらに悪いことには、一般的な会社にある「有給休暇」が使えないという労働環境もあります。

肉体労働の中でも、工事現場などの作業員の場合、非正規雇用で日雇いであることも多く、有給という制度自体が使えないということです。

だからこそ、腰や膝に痛みを感じていても、サポーターをつけたり、湿布を貼ったりと、その場しのぎの一時的な自己流ケアをして出勤しなければいけません。

こんなとき、「肉体労働はもう辞めたい」と感じるのは、ごく自然なことだと言えるでしょう。

肉体労働を続けている人の中には、サポーターや湿布を毎日続けているという人も多いのですが、購入費用はもちろん自腹です。

1ヶ月で数千円から数万円にもなる自己流ケアの用品を購入して、自分が好きなことにお金を使えなくなる人もいることも、「辞めたい」と考えるきっかけになる人が多くなっています。

このまま年齢を重ねても肉体労働を続ける自信が持てなくなった時

肉体労働を始めたときは、まだ10代・20代だった人も多いでしょう。

しかし、30代・40代になっても肉体労働を続けている人の中には、「いつまでこの仕事、続けられるだろう」とふと考える人も多いのではないでしょうか。

実際、引越し業者で荷物運びをしている作業員の中には、学生のアルバイトのような若者が多く、50代以降の方はあまり見かけることはありません。

このことからも、「一生続けられる仕事ではなさそうだ」となんとなく感じる若者は多いでしょう。

問題は、肉体的に限界を感じ始める30代・40代の世代です。

自分よりも年上で現場仕事を続けている人が少なく、自分と同年代の社員は監督などの役職について現場作業から離れていくとき、「出世もできないし、このまま年を取って肉体労働を続けていく自身がない…」と感じるときに、辞めたいと考える人が多いということです。

労働の資本である体は、年々衰えて作業効率が悪くなるのは、ごく自然なことでしょう。

自分の10年後の体はどうなっているのか、想像がつくからこそ、不安が大きくなり、退職するしかないという答えにたどり着くのです。

肉体労働をすぐに退職した方がいい人の特徴3選

肉体労働を辞めたいと思うきっかけは人それぞれですが、大きく分ければ、給料に不満を感じたり、これ以上体を酷使できないと感じた時などに「退職」の二文字が頭をよぎるようです。

そんな中でも、特に肉体労働をすぐにでも退職した方がいい人の特徴について紹介します。

すでに体のどこかに不調を感じている

もしもあなたが肉体労働をしていて、すでに腰・肩・ひざなどに不調を感じている場合は、無理に仕事を続けることで致命的な怪我や病気に発展する可能性があります。

そもそも年齢とともに筋肉の回復力が落ちていくのに、若い頃と同じような肉体労働を続けていれば、体の回復が追いつかず、疲労が残った状態で翌日の肉体労働に取り掛からなければなりません。

不調を感じたら、その不調は働き続けるとともに大きくなっていくでしょう。

さらに、肉体労働をしている人の場合、肉体的な疲れとストレスから、仕事終わりに高カロリーの食事をとる人が多いでしょう。

仕事終わりにはコンビニの弁当、ラーメンとチャーハンのセットなど、高脂質・高糖質の食事をとって、さらにアルコールも摂取するというこの生活習慣に心当たりがある人もいるのではないでしょうか。

このような高コレステロールや塩分過多な食生活は、高血圧や糖尿病の原因となります。

(参考:厚生労働省「生活習慣病」)

身体的な機能だけでなく、食生活によって内側からも健康的なリスクがあり、少しでも自覚症状がある人は、節制した食生活に加えと職業自体を変えないと、症状が改善されることは期待できません。

体は一生物の資産ですから、使えなくなってプライベートでまでも動けなくなるその前に、一刻も早く退職した方がよいでしょう。

長く働いているのに評価してもらっていない

肉体労働をしている人の中で、長年働いているのに給料が上がらなかったり、キャリアアップを目指したいと上司に申告しているのにずっと役職に就けないままの人も、退職を考えてもいいでしょう。

労働の対価である評価の中で、一番わかりやすく形に現れるのが給料です。

特に肉体労働は給与テーブルが非常にわかりにくく、社員に公開されていない方が一般的です。

先輩社員に失礼ながら給料を聞いて初めて、「勤続20年でも、自分とそんなに変わらない」とわかることが多いのです。

また、評価の中で次にわかりやすいのが役職です。

役職手当がそんなに多くなく、給与がそれほど変わらなかったとしても、「自分が役職にふさわしいと判断してもらえた」という喜びが、やりがいになって働き続ける動機になるものでしょう。

それなのに、何年働いても給料が上がらないことに加え、昇進して役職がつくこともなければ、もう肉体労働は辞めてしまいたいと思うのは当然です。

この記事を読んでいる時点で、「だいぶ長い期間、給料でも役職でも評価されている実感がない」と思った場合は、すぐにでも退職を考えてもよいでしょう。

おそらくその状況はすぐに変わることはありません。

給料や役職の有無に興味がなく、好きで肉体労働を続けているという方は別として、働く以上は会社に評価されたいと感じている方は、退職を考える意味があるでしょう。

肉体労働の他にやってみたいこと・やりたいことがある

体を動かすのが好きで、体力にも自信があり、自分は肉体労働に適正があると感じている人は、そもそも退職を考えなくてもよいのかもしれません。

しかし、好きで肉体労働を続けているわけではなく、他にもやってみたいことがあったのに、資格や学歴などの自分が持っているリソースを踏まえて、肉体労働を選ぶしかなかったという人の場合は、退職を考えてみてもいいのではないでしょうか。

人間はなぜか「自分が明日も生きていて、死ぬのはずっと先のこと」と思い込んで生活しています。

しかし、最近はこの考え方が変わりつつあるのです。

『あした死ぬかもよ? 人生最後の日に笑って死ねる27の質問 名言セラピー』という書籍が累計60万部を超える大ヒットとなっているのはご存知でしょうか。

人間がいかに「明日も自分は生きている」と思い込んでいるかを証明したかのような売れ行きとなっています。

(参考:ひすいこたろう著『あした死ぬかもよ? 人生最後の日に笑って死ねる27の質問 名言セラピー』)

もしも明日、人生が終わってしまうとしたら、肉体労働で辛い経験をしたままでいい、という人はどれくらいいるでしょうか。

これまでの人生を振り返ってみて、「いつかこんな仕事がしてみたい」と思う仕事があれば、場合によってはこれからでも挑戦できる可能性があります。

「いつかやってみたかった仕事」を希望のまま終わらせるのではなく、現実世界で実現に向けて動き出してみるという選択肢も考えてみる価値はあるでしょう。

まとめ:肉体労働は高齢になってからが大変!辞めるなら体に危険サインが出る前がベスト

腰や膝などに毎日サポーターをつけたり、肩に湿布を貼ったり、通院を続けているという人は、すぐにでも肉体労働を退職した方がよいでしょう。

体に支障をきたしている時点で、すでに危険信号であり、さらに肉体労働を続けることで体を壊してしまえば、他の仕事に転職すること自体が困難になる可能性があります。

まだ動ける、まだ病名がついていない今のうちに転職した方がよいでしょう。

肉体労働は年齢を重ねると、さらに体への負担が大きくなります。

会社からも評価されていないという実感がある人こそ、退職して次のキャリアに踏み出す必要があるでしょう。