第二新卒は転職市場価値が高いという意見がある一方で、門前払いされてしまうという意見もあるようです。

実は、採用されやすい第二新卒にはある特徴が見られます。

そこで今回は、第二新卒を門前払いしやすい企業、門前払いを回避する方法について紹介します。

第二新卒が門前払いされる2つの理由

積極的に採用される第二新卒がいる一方で、一次の書類選考すら通らない第二新卒もいます。

このように、書類選考で落とされることを「門前払い」と定義したとき、門前払いされる人とされない人には何か違いがあるのでしょうか。

実は、「ある2つの理由」が門前払いされる人とされない人に分けていると考えられます。ここでは、第二新卒が門前払いされる可能性とその理由について紹介します。

目に見える実績が少なく採用する価値を判断しにくい

企業が喜んで採用する第二新卒は、前職で目に見える形で実績を残しているという特徴があります。

具体的には、あるプロジェクトのメンバーに抜擢されて、そのプロジェクトが会社の業績にプラスになるような成果を残した場合などが挙げられます。

企業としては、「会社でプロジェクトメンバーに抜擢されたこと・チームの成果とはいえ実績を残していること」をかなり大きく評価するでしょう。

または、会社で長年無駄にあった業務プロセスを、外部ツールを導入することで社員の工数を30%削減できたなど、何か新しい発見をしたことも評価されます。

しかし、実際には新卒でそこまでの行動力を発揮し、評価されるほど成長する人は多くないでしょう。

多くの新卒は、先輩社員に業務フローを教えてもらったり、メンターとペアで業務にあたり、「まずは仕事を覚える」ことで精一杯で、実績を残すところまではいけないのではないでしょうか。

企業としてはこの後者の「仕事を覚えるので精一杯」の第二新卒を想定することも多く、第二新卒を採用するくらいならキャリア採用でもう少し実績を積んだ人を採用したいと考えてしまうのです。

前職を短期間で退職したことが気になる

第二新卒が門前払いされるもう一つの理由は、「前職を短期間で退職していること」でしょう。

そもそも「第二新卒」という言葉自体、国が明確に定義しているものはありません。

しかし、転職サイトや求人内容から考えるに「最終学歴となる教育機関を卒業して就職し、1~3年ほど経過している人」だと言えます。

特に年配の社員には、未だ「終身雇用」「一つの会社に長年勤続することが正義」と考えている人が多く、このような人が人事で重要な役職に就いていることも珍しくありません。

「第二新卒」という言葉が当たり前のように使われるようになった今でも、「1年や2年で会社を辞めるなんて、けしからん」「根性がない人に決まっている」「採用したとしてもまたすぐに辞めるに決まっている」と決めつけられてしまい、書類選考の時点で門前払いされてしまうのです。

実際に第二新卒を門前払いする企業の特徴

第二新卒を積極的に採用する企業も実際にある一方で、第二新卒を門前払いしてしまうケースとしては下記のような場合が多く見られます。

  • 短期間で退職することを悪とする価値観を持っている企業
  • 新卒で会社色に染めたいと考えている企業
  • 第二新卒向けの教育環境が整っていない企業

まず考えられるのは、先ほど紹介したように、「短期間で退職することを悪とする」価値観を持っている人事の上層部や、採用担当がいる企業です。

個人の価値観なので、他の採用担当に当たれば「別に相応の理由があって退職しているなら、第二新卒でもいいじゃないか」と柔軟に見てもらえることもあります。他にも、大手企業で保守的な体制であるほど、第二新卒を欲しがらない傾向にあります。

大手企業の場合、「まっさらで育てがいのある新卒」か「すでに目に見える実績を残してきた即戦力」のどちらかしか求人をかけないからです。

その中間で「少し社会人経験はあるが、実績を残していない社会人」である第二新卒は、大手企業が採用しても、その後の業務フローにあてがいにくいという理由があります。

つまり、新卒ならきっちり教育体制があるし、キャリア採用の即戦力なら1週間もすれば現場でバリバリ働けるのに対し、第二新卒を迎えるだけの体制を敷いていない大手企業は第二新卒を最初から歓迎していないと言えるでしょう。

第二新卒が門前払いを回避するために今からできること

第二新卒が門前払いされる理由は、目に見えるような実績がなく、短期間で退職することが理由だと考えられます。

ここでは、上記のような原因を踏まえて、門前払いを回避するためにできることを紹介します。

在職中なら定量化できる実績を作る

門前払いされない第二新卒になるためには、まず「定量化できる実績」を在職中に作っておくことです。

定量的というのは、「数値で示すことができて、客観的に観測できる」ことを指します。

営業などが最も定量化できる結果を出しやすく、月間のアポイントメント数、商談成立数など、とにかく結果が「数字」に現れるため、転職先としても評価しやすいのです。

評価ポイントが明確になると、第二新卒でも実力のある人なら門前払いされることはまずありません。

職務経歴書に定量化した実績を時系列できちんと記載すれば、むしろ「新卒からたった数年でここまでの実績が出せるのか」と、採用担当としてはポジティブな方向に評価するでしょう。

だからこそ、第二新卒こそ実績は定量化して細かく記載することをおすすめします。

定量的と定性的の違いとは?

「定量的」の反対が「定性的」です。

定性的なものは数値では示すことができないことから、客観的に測定することが困難であるという特徴を持ちます。

具体的には「新卒で入社した前職の職場のムードメーカーとして評価され、職場の人間関係を良好にすることに貢献した」などが定性的な実績に該当します。

上記の「職場の雰囲気をよくした」ということ自体は、おそらく多くの企業が歓迎することでしょう。しかし、残念ながらその実績を客観的に「真実である」と」証明できるデータはどこにも存在しません。

特に「雰囲気」「人の気持ち」などは定量的に評価しにくく、職務経歴書に書かれても、採用担当としては評価の対象にしにくいのです。

実は多くの第二新卒が、後者の「定性的な実績」を掲げて転職先に応募してきます。応募書類を提出する前に一度自分でも定性的な実績を挙げていないか確認するようにしましょう。

「新人研修を他の社員よりも圧倒的に早く修了することができた」のような内容を記載しようとしているなら、数値化すれば良いのです。

「一般的な新入社員が6ヶ月かけて修了する研修を、毎日1時間早く出社して予習・復習することで、1/3の2ヶ月で修了し、その後はメンターとともに現場で仕事を覚えていくフローに移行できた」

上記のように数値を交えて記載し、他の社員と比較することで、「使えない第二新卒」という固定概念は払拭され、門前払いされることは回避できるでしょう。

退職理由をポジティブな内容に言い換えて印象アップ

第二新卒が門前払いされやすい「前職を短期間で辞めている」という理由は、実は比較的簡単に退けることができます。

退職までの期間がたとえ本当に短かったとしても、退職理由をポジティブな内容に言い換えるのです。心理学の専門用語で「リフレーミング」という言葉あります。

リフレーミングとは?
同じ事実を違う角度・観点から見ることによって、とらえ方を変えるという方法

たとえば「口うるさい母親が、毎日転職先は決まったのかと聞いてくる」という表現をすると、どうしてもネガティブにとらえられるでしょう。

しかし、このネガティブな表現の中に隠れている事実は「母親が転職先について質問してくる」ということだけです。

この内容をポジティブにリフレーミングすると「母親が転職先が決まらない自分を心配してくれて、関心を持って質問してくる」という内容になります。

「口うるさい=ネガティブ」ですが「関心を持ってくれている=ポジティブ」というリフレーミングです。このように、退職理由についてもリフレーミングをうまく用いることをおすすめします。

「前職が大企業で、仕事の裁量がなく上司に言われるままに働くのが嫌になって辞めた」というネガティブな退職理由があるとします。

リフレーミングを使うことで「新卒で大企業に採用してもらうことができた。しかし自分の成長とともに裁量を持って様々なプロジェクトに挑戦したくなり、転職を決意した」というポジティブな内容に言い換えることができるのです。

まとめ:定量的な実績とポジティブな退職理由があれば第二新卒でも門前払いを回避できる

新卒かキャリアかの二択採用の傾向がある大手企業は、そもそも第二新卒というだけで門前払いされる傾向があります。

もしもあなたが大手企業への転職を望んでいる場合は、キャリア枠に応募できるだけの実績を作ってからでないと、書類選考の時点で落とされる可能性が高いでしょう。

中小企業やスタートアップで、とにかく人材が欲しいという企業の場合、基本的に第二新卒だというだけで門前払いされることはないようです。

それでも、採用担当によっては「カウントできるような実績がない」「前職を1年で退職していて採用してもまたすぐに辞めるかもしれない」と門前払いされるかもしれません。

このような事態を回避するために、まずは定量化できる実績を作るか、今ある実績に数値を乗せて定量化して表現しましょう。

また、採用担当が見たときに「前向きな退職だから退職までの期間にこだわる必要はない」と思わせるような、ポジティブな退職理由を添えることができれば、第二新卒でも門前払いを回避できるでしょう。